村上アシシ「応援しても勝てはしない」矛盾の先にあるサポーターの想い

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村上アシシ「応援しても勝てはしない」矛盾の先にあるサポーターの想い

サッカー日本代表や北海道コンサドーレ札幌の“プロサポーター”として有名な村上アシシが、テレビ東京系で11月3日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。熱いサポーター論を繰り広げた。

普段は経営コンサルタントとして働き、週末はコンサドーレのサポーターとして日本全国を行脚。インターナショナルウィークになると日本代表のサポーターとして世界を飛び回り、これまで56か国で愛するチームに声援を送ってきた。

村上はこれまでの経験から、FIFA主催のワールドカップとAFC主催のアジアカップの観戦ルールの違いや、現地のしきたりなどを熟知。4年前のブラジルワールドカップまでは、自身の持つノウハウを無償で公開していたが、多くの人から“事業化すれば継続性が生まれる”とアドバイスを受け、今年のロシアワールドカップでは有料で情報提供をするなど、日本初のプロサポーターとして活動をしている。

ロシアワールドカップの情報提供をするにあたり、日本の初戦が行われたサランスクの情報を得るために3度の下見を行い、現地駐在員などにも話を聞くなどして、ホテルやチケットの買い方、交通手段、治安などを調査。日本vsコロンビアの観戦ツアーは大手旅行代理店だと1週間の滞在で60万円以上したが、村上の情報をもとにプランを立てると1ヶ月の滞在で10試合分のチケット、食費、交通費などを含めて総額74万円。これなら観戦できると300人がロシア行きを決めたという。

しかし村上は、ロシアワールドカップを振り返り、「日本のサポーターはまだまだ世界基準ではない」と指摘。サランスクは、コロンビア人のサポーター3万人によって黄色に染め上げられたが、対する日本人のサポーターは3000人程度。明らかに日本より収入が低いと思われるコロンビアのサポーターがこれだけ来ているのを目の当たりにし、そこには大きな差を感じた様子。「10人でも100人でも増やして、僕が生きているうちにワールドカップのトロフィを掲げる日がくれば良いなと思って続けている」と熱い想いを明かした。

また、村上はアウェー観戦の醍醐味として国際交流をあげ、「チームを応援しながら、その土地の文化を理解することが大切」と説いた。一方で、「何回も行った情報を伝えていますが、これは僕の主観でもある。外務省の情報なども調べて、最終的には自己責任になることを忘れずに行ってほしい」とアウェー観戦の気構えを伝えた。

そして、Jリーグ観戦の話題になると、村上がオススメする2つのスタジアムを紹介。まずは浦和レッズのホームとなる埼玉スタジアム2002。米メディアに「熱狂的なサポーターを持つ世界の5クラブ」に選出されたサポーターが作り上げる雰囲気は、同じ埼玉スタジアムでも、日本代表のサポーターが作り出す空気とは異質。その威圧感は村上をもってしても「凄まじい。応援がエンターテインメント」と言わしめた。

続いて挙げられたのは、柏レイソルの日立柏サッカー場。世界でも稀なほど客席からピッチまでの距離が近く、普通はゴール裏にカメラマンが並ぶが、そのスペースさえもないほどで、その臨場感はケタ違い。「PKになって相手サポーターの前で蹴ることになったら、ブーイングでキッカーのメンタルはやられる。それくらい近い」と魅力を伝えた。

そんな大迫力のスタジアムで試合を観たいと思っても、特にゴール裏は初心者に入りづらい空間なのも事実。そこで村上は初心者でも楽しめる観戦方法を提案。ゴール裏の中心部は90分間立って応援しなければならないなど、チームによって異なるが暗黙のルールのようなものがある。「最初はメインスタンドかバックスタンドで見て、ゴール裏にいくときも最初は端っこに行って状況を見た方が良い」と話した。また、アウェーだと訪れるサポーターが少なくなるので、できるだけ一緒に応援してほしいという思いが強まり、結果的にホームゲームよりもゴール裏に入りやすくなることがあると裏技を教えていた。

そして最後に「サポーターを続ける理由」を問われると村上は、「どんなに応援しても普通は勝てないってわかっているんです。でも、何十試合に1回訪れるんです。サポーター全員が声を出して応援して点を取る瞬間が。そうなったときに、“これはもう俺らが勝たせた!”って、嘘だと思っていても言ってしまう」と目を輝かせた。これを聞いた番組アナリストの秋田豊は、「確かにあるからね。(サポーターの声で)試合をひっくり返すことはできる。本当にスゴイ」と頷いていた。

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