メルカリ小泉社長、テクノロジーでスポーツに寄与「選手の給料を上げたい」

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メルカリ小泉社長、テクノロジーでスポーツに寄与「選手の給料を上げたい」

人気フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリの小泉文明取締役社長兼COOが、テレビ東京系で8月4日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。番組MCの勝村政信、番組アナリストの北澤豪と共に、同社が掲げる「3つのバリュー」を元にトークが繰り広げられた。

この日の放送からリニューアルした同番組。これまでの“サッカースタジアム”をイメージしたセットから、“大人の部屋”を思わせる新セットへと変更。さらにJリーグ名誉マネージャーの佐藤美希が“BRAINスカウター”として、メルカリ本社の潜入レポートを敢行し、その成功の秘訣を探った。

2013年にサービスが開始され、今年、国内7100万ダウンロード、米英を合わせた世界累計は1億ダウンロードを突破。6月には、東証マザーズに上場を果たすなど絶好調のメルカリ。その原動力の1つにメルカリの行動規範とも言える「3つのバリュー」があるという。これらは「Go Bold=大胆にやろう」、「All for One=全ては成功のために」、「Be Professional=プロフェッショナルであれ」の3つで、社内のあらゆる場所で目にすることができる。エントランスやオフィスに置かれたダルマ、ノートPCに張られたステッカー、Tシャツ、ホワイトボード、そして会議室の名前、さらに来客用のペットボトルなど……。会社の至る所に溶け込み、社員のモチベーションアップを促している。

小泉は、掲げた「3つのバリュー」について「サッカーで言えばチームコンセプト」と表現。「バラつきが生まれがちな1人ひとりの思いを統率し、どのようなプレーが評価されるか、価値基準を芯として持っている」と語り、ハリルホジッチ元日本代表監督が「デュエル」という言葉で“選手に求めるモノ”を提示し続けたことを引き合いに出し、「僕らはこのバリューをひたすら言い続けることで、何を大事にしているかを明確にし、それが組織の文化となり、その先に未来があると信じている」と話した。その思いはオフィスで働く社員の「業務の中でも“Go Boldにやるならどの施策を打つか?”など、全社的にその視点で会話をしている」「3つしかないので、皆が会議で使う」という言葉からも分かる通り、会社全体でその価値観を共有できているようだ。

またメルカリでは、社員の評価は「数値目標の達成」「バリューに沿った行動をしているか」の2軸で行い、仮に「新規利用者○万人」という数値目標を達成しても「All for One」に反する自分勝手なプレーで達成したのであれば評価されないなど、価値基準を明確にしている。さらに小泉は、新入社員であっても、それまでの経験から同じ給与であることはフェアではないと考え、インターンの段階から課せられた課題をクリアすることができれば、入社前の3月にもう一度査定を行い、その能力にあった給与を決めている、と語る。この制度によって、社員の中には1年間で100万円以上アップする人もいるという。一方で小泉社長は「大器晩成の人もいるので、常にその人と向き合って、フェアな給料を支払いたい」と、社員としっかりと向き合うことの大切さを強調した。

すると北澤が現役時代のエピソードを披露。当時、年俸1億円を貰う選手が上に何人かいる中で、自身はその額に届いていなかったという。北澤は自分の方が彼らよりも上だと感じており、そのことを社長に伝えると「あいつはお客さんを1万人以上呼べる。でも、お前は呼べる選手じゃない」とハッキリと言われ、思わず納得してしまったのだとか。透明性の高い評価は、北澤のプレーにも影響を与え、「プロはお客さんを呼んでなんぼ。そこからお客さんを呼べるサッカーをしなくちゃダメだと考えてプレーするようになった」と振り返った。

またメルカリは、2017年から鹿島アントラーズのスポンサーにも名を連ねている。小泉は「日本から世界という意味でもクラブワールドカップで決勝まで行きましたし、伝統と力強さのある、日本の中でもトップのチーム。一緒に夢を追いかけたい」とスポンサードする理由を告白。また、「メルカリが真ん中にいることで違う価値を提供できるのでは」とホームゲームでイベントを開催し、ロシアワールドカップで活躍した昌子源選手の私物をメルカリに出品にするなど、試合のない日でも選手とサポーターの繋がりを提供している。

さらにメルカリは、テクノロジーを駆使して様々な取り組みを行っている。例えばスタジアムのWi-Fiに目をつけると、スマートフォン用のVRゴーグルを2万個配布。チームバスの中や試合前のロッカールームなどの様子を選手気分で体感できるVRコンテンツを配信し好評を博した。北澤はこれらの取り組みに対して「どうやってスタジアムで楽しめるかは、スポーツ界にとっても重要なこと」と語り、勝村も「いつも勝つわけじゃないし、負けると2度と来るかと思うこともある。でも、こういうことで、また行こうかなという気持ちにさせられる」と頷いた。

また小泉は、テクノロジーとスポーツの融合によって、エンターテインメント性が上がると語り、「体育から来ているスポーツから、エンターテインメントに変えていかなくてはならない。そんな時に、テクノロジーによってエンターテインメント性が上がれば、ともするとチケット代が上がる。そして最後には選手の年俸が上がるところまでいきたい。この循環をどう創っていくかが大事と思っていて、テクノロジーが寄与できることはもっとやりたいし、可能性がある」と熱い思いを伝えた。

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