本田圭佑、極端意見に「煮るなり焼くなりして」

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本田圭佑、極端意見に「煮るなり焼くなりして」

本田圭佑が、6月27日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。日本サッカーの現在地や未来について語った。

まず日本サッカーの現在地を聞かれると「すでに世界と戦えているが、戦えるのと勝ちに行くのは大きく違う。その壁が近そうで遠い」と語り、中盤の個は世界的に見てもスタンダード以上のレベルに達しているが、攻守にわたるゴール前の個の力には明確な差があると指摘。「ゴール前で得点を取る、失点を防ぐところは身体能力も求められるので、フィジカルのアドバンテージもない中でパフォーマンスを発揮できる日本人は中々出てきていない」と現状を分析した。

そして、日本の中盤が充実する要因について本田は「教育方針」をあげ、「チームのために犠牲になっているフォワードが多すぎる。育成年代から日本は一致団結して戦わなくちゃいけないと言われ、チームのために戦えるフォワードは生まれるけれど、“1点取ってくればいいんだろ!”と言って奇跡の1点でチームを勝たせてしまうようなフォワードはどうしても減ってしまう」と話した。

そこで本田は、2012年、現役選手でありながらサッカースクール「SOLTILO」を開校。その指導理念は自分で判断・決断できる選手を育てる事。「空気を読める日本人を僕は大好きなんです。でも、そこに1割の鬼才がいないと試合には勝てない」とバランスの重要性を説き、「その重要性を理解して個性を伸ばせるような指導者が増えてくれば、まったく守備をしないで批判されても大丈夫な野性味あふれるフォワードも時には出てくるのではないか」と狙いを明かした。

さらに本田は、日本サッカー界の指導者ライセンス制度について問題提起。日本サッカー協会は、Jリーグクラブや代表監督になれるS級(1年以上の指導経験など受講資格を満たし、2週間以上の海外研修などが必要)をはじめ、A級からD級まで5種類のライセンスを交付している。C級ライセンス以上の指導者は、定期的に研修を受けなければ資格失効となってしまう。

この制度について本田は、「ワールドカップで優勝するという壮大な夢に向かうには、普通のことをやっていても意味がないと思う。だれもが監督になれる扉は作っておくべき」と主張。「ライセンスは評価の一つとしてあって良いが、ビジネスでも経営者にライセンスがないのと同じで、監督を選んだ側の社長やGMが責任を取るべき」と持論を展開。「しっかりと学んだ方が良いという考えもあるのでライセンスは残しつつ、ライセンスがなくてもオファーが来る自信がある一流選手がいてもいい。クラブもネームバリューだけでは選ばないと思いますし、競争率を変えるためにもプロライセンスの考え方を変えるべき」と提言した。一方で、子供の指導者ライセンスに関しては逆で「もっと勉強が必要だと思いますし、もっとハードルの高いライセンスを作っても良い。これでプロと子供たちの育成が大きく変わるのではないか」と話した。

そして、本田は更なる挑戦を今年1月にスタート。新たなサッカークラブ「ONE TOKYO」を設立し、東京都社会人リーグ4部に参入した。このクラブは、オンラインサロン参加者の200名で意思決定されていく全員参加型クラブ。本田自身も1/200のとして加わるため、権力を発揮して何かを決めることはなく、クラブが強くならないのは本田を含めた全員の責任。監督にはサッカー未経験の武井壮が選ばれ、GMはジャーナリストの乙武洋匡。さらに経営責任者は現役大学生・奥山大が担っている。

武井は「僕がチームに渡せる大きなものは、走りとフィジカル。自分の体を理解・コントロールして、90分を最高のクオリティで動き回れる選手にすること。チームに戦術で勝利を呼びこむことは出来ないかもしれないけど、アスリートとしてどう生きていくか、サッカーという人生で勝利を手にできる能力を選手たちにプレゼントしたい」と話した。また、乙武は「(GMとして)評価されたのは知名度だと思いますが、結果こいつに任せてよかったというような働きをしたいと思っています」と意気込む。「まだまだ課題は多く、200名以上で決めていこうというのは聞こえがいいですし、みんながワクワクする形だと思う。けれど、当然スピードは鈍りますし、ダイナミズムは生まれているようで生まれにくい側面もある。そのあたりのバランスをどう図っているが私のGMとしての役割」と語った。

最後に本田は「今後、僕がFOOT×BRAINのレギュラーの一員になるかもしれないので(笑) 番組を通じて、今後とも日本サッカー界を盛り上げるためにいろんな提言をしていただけると嬉しいです」とコメント。番組MCの勝村政信も「言いましたね。証拠が残りましたよ(笑)」とレギュラー入りを歓迎しつつ、「常に人の一歩も二歩も前を見て、まだ光の当たっていない獣道のようなところを突き進んでいく人だからずっと見ていたい」とエール。本田は「やりたいように極端な意見を世の中に発信していくので、それを煮るなり焼くなりしていただけると嬉しい」と笑顔を見せていた。

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