俳優の勝村政信がMCを務め、2011年4月6日よりスタートしたテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)が、2月16日に放送400回目の節目を迎える。そんな長寿番組を支え続ける俳優は、どれだけサッカーが好きなのか? 収録現場と番組Webサイトで公開されている「勝村コラム」から、その愛の深さを探ってみた。

テレビや映画、そして舞台などで役者として活躍する一方、大のサッカー好きとしても知られる勝村。高校時代はサッカー部に所属し、現在も草サッカーチームでプレー。国内外のスタジアムにも積極的に足を運んでは試合を観戦している。そのサッカーに関する豊富な経験と知識、さらには一流の役者ならではの視点を武器に、競技だけでなく、スポーツ科学や経済、技術、社会貢献など様々な側面からアプローチする独自路線の番組を見事に仕切っている。

もともと不定期掲載だった「勝村コラム」だが、昨年8月の番組リニューアルを機に連載を本格的に再開。主にスタジオゲストとの収録を振り返りながら、放送とは違った角度からユーモアたっぷりに思いを綴り、ときにはその内容が出演者やファンの間で感動を呼んでいる。俳優のサッカーコラムがなぜ感動を呼ぶのか? その秘密が垣間見えたのが、2019年の第1回、川崎フロンターレの中村憲剛選手が登場した回のことだ。

川崎フロンターレに加入し、クラブと共に苦楽を共にしてきた中村。2017年、ついに念願のJリーグ制覇を成し遂げ、2018年には連覇を達成した。そんな川崎の英雄に対して、勝村はこう綴った。「フロンターレの成長は、中村憲剛くんの成長と同じである」「(クラブやチームが変化する中)何も変わらなかったのは、サポーターと中村憲剛だけだった」と。そして、初めてマイスターシャーレを掲げた中村に対して、「どんなチームが優勝しても、敵対するチームのサポーターは、心から喜ばない。当然のことだ。しかし、中村憲剛がマイスターシャーレを、掲げた時に、すべてのサポーターがしあわせな気持ちになった。こんな選手は、中村憲剛だけではないかと思う」と最大限の賛辞を送った。

勝村は見てきた。中村憲剛が日本サッカーに残してきた足跡を。勝村は知っていた。サポーターが他クラブの選手を“キライ”でありながら、すべての選手のことを“愛している”ことを――。

このコラムを読んだ中村は、Twitterで以下のように反応した。

「勝村さん、コラムありがとうございました
 嬉しすぎます
 またラインしますねー‼︎
 #FOOTBRAIN
 #勝村コラム
 #こんなん書かれたら泣く」

詳しくはコラムを読んでいただきたいが、このコラムとTwitterのやり取りを読んだフォロワーからも「サポーターも泣く」「胸が熱くなった」と感動の声が続出。勝村が中村に「久しぶり」とラインを送ったあと、中村がどのような言葉を返したのか……想像するだけでワクワクさせられる。

この番組の放送時間は30分、CMなどを除くと実際の放送時間は25分程度なのだが、収録は1回あたり1時間~1時間半ほど。しかも、1日で4回分の収録が行われているので、丸1日かけてサッカーについて喋り通している。さらに、収録後にもゲストとサッカートークを繰り広げることも度々。勝村は「サッカートークならいつまでもできる」と述べ、「サッカーバカなんだもん」と飄々と言ってのける。

もちろんただのサッカーバカではない。打ち合わせでも進行や内容の確認をする際、演出家やディレクターに自身のサッカー観をぶつける。本番前にもスタッフやゲストと一緒にボールを蹴る姿がSNSなどで公開されているが、これは番組がスタートした当初から続いている。スタッフから「もうちょっと打ち合わせしたい……」という本音が聞こえてくるが、そうとも知らず、否、知りながら勝村はいつでもボールと戯れる。今となっては、この様子が番組で使われるまでになった。

そしてもう一つ伝えたいのが、昨年のワールドカップでの出来事。大会の開幕を前に、大のサッカー好きとして知られていた俳優の大杉漣さんが亡くなった。この訃報に仲の良かった勝村が大きなショックを受けたことは想像に難くない。そして6月。勝村は、日本vsコロンビア戦を現地観戦した際、大杉さんの写真を持ちながら日本の勝利を見届けた。この姿が番組SNSに掲載されると大反響。多くの人が胸を打たれ「大杉さんを連れて行ってくれてありがとう」と思いを伝えた。筆者もこの投稿に感動したのは言うまでもない。どこまでも愛に満ちたサッカーバカが書き上げる「勝村コラム」。必読である。

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