求められるのはオフ・ザ・ピッチの魅力!大学サッカーで培われる人間力

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求められるのはオフ・ザ・ピッチの魅力!大学サッカーで培われる人間力

FC東京の強化部でスカウトを担当する小池知己が、8月22日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。Jリーグクラブのスカウトから見た大卒選手の魅力に迫った。

今シーズン、Jリーグに加入した新人選手204人中、大卒選手は115人。過去5年間で最多となった。また、仲川輝人(専修大学出身)、相馬勇紀(早稲田大学出身)、古橋享吾(中央大学出身)など近年活躍する選手の多くが、大卒でJリーグクラブに加入した選手たちだ。

大卒選手の魅力について番組アナリストの名波は「一つは即戦力。もう一つが人間力。大卒選手の方が4年間で酸いも甘いも経験している」と語り、小池も「人間力は非常に大事。プロで活躍するには、オフ・ザ・ピッチでの振る舞いが大事になるので、我々もそこに期待して獲得しています」と話した。

なぜ人間力を求めるのか? 小池は、FC東京のクラブスローガン「強く愛されるチーム」を実現するには「強く愛される選手」であることが大事だと言い、「凄いプレーをする選手を応援したい方もいれば、ちょっとした挨拶や振る舞いに好意を持って応援したいという方もいる」と、選手の人間性によってもクラブの価値は左右されると考えを披露した。

では、実際に大学ではどのような指導が行われているのか。番組では、大学サッカー三冠を達成し、今シーズン、Jリーグに9人もの選手を送り込んだ明治大学サッカー部を取材。指揮を執る栗田大輔監督は、2015年の就任以来、2度のリーグ制覇と3度の全国優勝を成し遂げている。

練習を取材していると、栗田の指導法を象徴するシーンがあった。練習後のミーティングではサッカーに関する話を早々に終え、「今朝、ものすごく悲しかった」と切り出すと、いただき物のお米が寮に届くことを事前に知らせていたにも関わらず、放置されていたことを憂慮。「お米を贈った人は届いたかどうか気になるよね。真っ先にお礼をしなくちゃいけない。それを誰も気にかけずに置きっぱなしにしていた。それが、この部の全て。それで都合のいい時だけ試合に出たい、プロになりたいと言ってくる。そんな奴をプロにさせるか。人の御恩も感じない奴を使うか。そんな奴はプロになって欲しくない。サッカーなんかよりよっぽど大事」と強い口調で伝えた。

この時のことについて栗田監督は「人としてっていうのがまずあって、自分が置かれている立場の中で何を求められ、何をやらなくちゃいけないのかをしっかりと表現できる人。自分の決断、判断、責任をしっかりと取れる人。どの世界にいっても活躍できる。そのベースつくりは相当こだわっています」と話した。

小池も「細部にわたり指導されることで選手がいろんなことに気づいて、それが最終的にプレーにも反映されるので大事なところ。そういう面では、明治大学の指導は我々も学ぶべき点が多い」と絶賛した。

一方で気になるのが年齢。Jリーガーの平均引退年齢はおよそ26歳。大学でのプレーは遠回りでは? 小池は「それぞれの成長度合いやスピードがある」と言い、例えば阿部柊斗は、トップに昇格できず明治大学に進学。今シーズンFC東京に入団しレギュラーに定着した。また、Jリーグクラブからのオファーを断って大学サッカー部に入った選手もいる。今シーズン川崎フロンターレに入団した三笘薫はユースからトップへの昇格を断り、筑波大学に進学。4年間経験を積んだ上で、大卒1年目ながら、チームの主力として活躍している。

プロを目指す学生たちにも新型コロナウイルスは大きく影響している。関東大学リーグは7月から開催されているが、関西、九州リーグなどは中止。プロか、就職か。瀬戸際に立たされている選手も多い。そんな中、プロを目指す高校3年生、大学4年生を対象とした合同トライアウト「コネクティング・サポート・セレクション」を8月に開催。関東大学サッカー連盟は誰もが見られるように、リーグ戦を毎試合ライブ配信。小池は例年通りのスカウト活動は難しいとしながらも、「ありがたく観させていただき、判断材料の一つとして活用させてもらっている」と明かしていた。

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