公式テレビ動画『TVer』今、なぜ民放5局が共同サービスをスタートさせるのか?

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――各社のキャッチアップサービスとTVer、ほかにも提携サイトがある中で、最終的に視聴者にどこで見てもらいたいのでしょうか?

インターネットの世界では、我々のコンテンツを違法的に使っている方々がいて、削除要請もしておりますが、イタチごっこになっています。正直、どのサービスでも良いので、我々が公式に提供しているところで見ていただければと考えています。

――YouTubeなどにあるような個々へ向けたリコメンド機能の搭載は?

TVerには「注目」というカテゴリがありますが、これは全体の傾向を見て、ご覧いただいている方が多いタイトルを上位表示するような機能になっています。TVerの場合、オンエアした番組で何万タイトルの中から選ぶわけではありませんし、1週間の配信期限が設けられています。現状では、個人の属性を取っていませんが、いずれは属性を取り、一人ひとりの方にリコメンドする機能を搭載することがあるかもしれません。

――データを取りやすい媒体だと思うのですが、なぜ取らないのでしょうか?

まずは、TVerで見る習慣を付けていただきたいと考えています。最初に属性を入力していただくようにすると、その段階で離脱される方も多くなるでしょうし、テレビと同じような、気軽に使える環境に近づけたいと思います。

――配信タイトルは全国ネットのタイトルのみ? ローカル局の番組については?

BSの番組が各社とも入っていると思いますが、あればどんどん入れていきたい。ローカル局の番組については、日本テレビ系の(放送には)読売テレビの番組がありますが、まずはそういった全国ネットの番組をラインナップに加えていきたい。その先に純粋なローカルも考えられるのかなと思います。

――リアルタイムのテレビ視聴の比重は依然として大きいと思いますが、リアルタイム視聴にどのように誘導するのか? ネットに流れる危険性についてはどう考えていますか?

危険性が全くないとは言えないですが、既に各局が行っているサービスのデータを見ても、それによってリアルタイムが減っているという傾向は見られていません。ドラマの場合は、先週見逃したから視聴をやめてしまうという方も多いですよね。そういった方々に対して大きな効果があり、リアルタイムへの回帰もあると考えています。それと、あまりテレビをご覧にならない若い方に、まずは見ていただいて「面白い」「こんな番組あるんだ」というのを感じていただかないことには、リアルタイムに戻るも戻らないもありません。そういう意味では、放送と無料配信によるカニバリはそれほどないはずです。

――ネット配信するのに権利処理は大変だと思いますが、すべての番組が配信を前提にした制作体制になっていくのでしょうか?

現時点では、ドラマは昔から事業として考えているので対応できている番組が多いですが、それ以外については、厳しい時間の制約の中で一つひとつの番組を制作しており、すべての番組でネット配信を完全に意識するのはまだまだ難しい。ただ、比重が大きくなっていくことはあると思います。

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