土屋太鳳、岡田惠和脚本に意欲「いまの時代にマッチしている」『優しい音楽』

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2022年1月7日に放送されるテレビ東京新春ドラマスペシャル『優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ』。「そして、バトンは渡された」で本屋大賞を受賞した作家・瀬尾まいこさんの小説を、連続テレビ小説『ひよっこ』などを手掛けた岡田惠和さんが脚本を務め、映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』などの若松節朗監督が映像化した本作で、主人公・鈴木千波を演じるのが女優の土屋太鳳さんだ。

鎌倉を舞台に、女子大生の千波と、江ノ電の極楽寺駅で千波に声をかけられた永居タケル(永山絢斗)の恋模様や千波の家族の物語など、多重的に描かれるストーリーに挑む土屋さんに、作品に臨む意気込みや岡田脚本への思いをお伺いしました。

――作品への出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。

とても素敵なお話に出会えて嬉しかったです。内容的には胸が締め付けられるような部分もあるのですが、岡田さんの脚本によってとても柔らかく、優しい言葉で会話劇が繰り広げられるので、そのアンバランスさみたいなものが作品の良さになっていると感じました。

――岡田さんの脚本には過去にも出演されたことがありますが、印象に残っている作品はありますか?

私が初めて出演した連続テレビ小説『おひさま』の脚本を担当されていたのが岡田さんでした。あとは『8年越しの花嫁 奇跡の実話』という映画の脚本も岡田さんでした。どちらも言葉の掛け合いが素敵で、とても大好きな作品です。

――脚本を読んだとき、どんな感想を持ちましたか?

始めて脚本を読んだときは、胸が締め付けられる思いがしましたが、日常のなかにある悲しさや虚しさみたいなものはすごくリアリティがあり、いまの時代にマッチしているのではないかと感じました。

戦争もなく平和な時代と言われていますが、自分の夢は叶うのだろうかとか、自分は幸せになっていいのだろうか、などいろいろな不安を抱えている人はたくさんいると思う。そういう人に刺さるお話だと感じました。

――ヒューマンドラマに少し恋愛を加えたような作品ですが、新しい挑戦だと感じていることはありますか?

20歳になる前は、恋愛ものではない作品が多かったのですが、20代になって「まさか自分が」と思うような恋愛ものをたくさん経験させていただきました。私自身、役に挑むとき、どんなことでも体験できたらいいなと思っているのですが、例えば殺人犯の役をやるのに、殺人を犯すことはできませんよね。その意味で、本作でも想像できないことがたくさんあることへの難しさを感じています。

でもそこに挑む大変さや苦しさを千波ちゃんという役に活かせていければと思っています。逆境をどうプラスに変えて役に投影していくかが、今回の課題だと感じています。

――土屋さんが演じる千波という女性の第一印象は?

脚本には「とてもきれいな子」と書いてあったのですが、容姿とかそういうのではなく、心がとても純粋で素直な子だという印象を持ちました。

――千波に共感できる部分は?

千波ちゃんの家族に対する思いみたいなものは共感できます。私自身もすごく家族が大好きで、家族がいるからこそいまここにいられるという思いが強いので、千波ちゃんと考え方は似ていると思います。

――「優しい音楽」というタイトルの作品です。土屋さんにとって音楽とはどんな存在ですか?

相棒です。役作りをするときも、どんな音楽を聴いている子なんだろうと考えながらキャラクターを想像することが多いんです。私自身も常に音楽は側にあります。例えば悔しいときは、中島みゆきさんの「宙船(そらふね)」を聴いたり、元気になりたいときやワクワクしたいときには、ドラマ『のだめカンタービレ』のテーマ曲(ベートーヴェン交響曲第7番)を聴いたりします。

――人間の絆の大切さが描かれた作品。最近土屋さんが人との絆の大切さを実感したエピソードはありましたか?

『アイの歌声を聴かせて』というアニメ映画に参加したのですが、コロナ禍ということもあり、なかなか宣伝もすることができなかったんです。そんななか、一度上映が終わったある映画館が、口コミの反応が良かったことで、上映期間を延ばしてくださったんです。そこに多くの人が集まったことで、ほかの映画館も再度上映をしてくれるということがありました。直接的にお会いした方々ではないのに、SNS等で映画への思いを綴ってくれたからこその広がりで、なにかすごく人と人との絆の大切さを実感できたエピソードでした。

――撮影で楽しみにしていることは?(※インタビュー当時はクランクイン前でした)

永山絢斗さんをはじめ、父親役の仲村トオルさんや、母親役の安田成美さんなど、今回初めてご一緒するのですが、過去の作品を見ていて「今回はどんなお芝居をされるのだろう」とワクワクしています。若松監督とも初めてなのですが、血液型が私と同じO型だと知ったので、O型同盟でいい緊張感を持って臨めたらいいなと思っています。

あとは、私の父がサーフィンをしていてよく江ノ電の話を聞いていたので、その場所で撮影ができることはとても楽しみです。一つ夢が叶ったような気分です。

(取材・文:磯部正和)

<イントロダクション>
混雑した駅中で、面識のない女の子・千波(土屋)からいきなり声をかけられ、面食らうタケル(永山)。それもその日だけでなく、次の日も、またその次の日も同じ場所で、千波はタケルを探し続けていた。今まで一度も会ったことないのに、なんとも親しげな千波の態度に最初は不信感をもちつつも、素直で可愛らしい千波に魅かれ始めるタケル。

なぜ千波はタケルに近づいたのか。ミステリアスな様相を呈しながら、2人の関係は密になってゆく。

しかし、千波がタケルに近づいた本当の理由は別にあったのだった。そして、それぞれの秘密を抱えたまま、謎は膨らんでゆく……。人間の絆の大切さ、素晴らしさを描いたヒューマンドラマ。

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