「心の底から詫びてください」「お・し・ま・い・death」『半沢直樹』の名言を振り返る!

公開: 更新:

9月27日に放送された日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)の最終話が現在TVerで期間限定で無料配信中(Paraviでは第1話から最終話までを配信中)。7年ぶりに帰ってきた新シリーズでも堺雅人演じる半沢直樹の決めゼリフ「倍返し」はもちろん、香川照之演じる宿敵・大和田暁など続投組をはじめ、市川猿之助演じる伊佐山泰二など、新たなクセ者たちによる名言が飛び交った。ここで新シリーズの名言の数々を振り返ってみたい(以下、ネタバレが含まれます)。

【第1話~第4話「ロスジェネの逆襲」編】

■「施されたら施し返す……恩返しです」

第1話の冒頭、中野渡謙頭取(北大路欣也)に対して大和田が宣言したセリフ。

前シリーズのラスト、半沢によって不正を暴かれ、役員全員が揃うなか、屈辱の土下座をさせられた大和田。普通なら子会社に飛ばされても致し方ないところ、中野渡頭取の配慮で、平の取締役として残留できた大和田。そこで、頭取に対して感謝の意味を込めて言った言葉だ。“恩返し”が新シリーズの一つのテーマにもなっている。

■「裏切るときは徹底的に裏切らなければなりません。人を刺すときの準備は念入りに、仕留めるのは一瞬で」

第1話で三笠洋一郎副頭取(古田新太)が伊佐山に言ったセリフ。

伊佐山は、大和田の子飼いの部下だったが、半沢に不正を暴かれ常務を解任されたことで、三笠副頭取に寝返ろうとする。その際、三笠副頭取は、ギロリと伊佐山を睨み言い放った “仕留めるときは一瞬で”というセリフは、その後三笠副頭取が半沢に詰められたとき、一瞬で伊佐山を裏切るシーンにつながる。

■「君はもう、おしまいです。お・し・ま・い・death!」

第2話で大和田が半沢に発したミラクルなセリフ。

前シリーズで半沢に土下座させられた大和田。中野渡頭取の恩情で取締役として銀行に残れた大和田だったが、半沢への恨みは募る。そんな半沢と土下座以来遭遇した場面で、半沢の窮地を知った大和田が救ってやろうと声をかけると、半沢はあっさりと断る。その無礼な態度にキレた大和田が言い放ったセリフ。放送後、香川のアドリブだったことも判明し大きな反響を呼んだ名セリフだ。

■「詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ……半沢!」

第2話で伊佐山が憎しみたっぷりに半沢に放った「詫びろ」8連発!

伊佐山が描いた電脳雑伎集団のスパイラル買収計画。しかし半沢らの調査により、計画がとん挫。怒った伊佐山は、半沢の出向先である東京セントラル証券の仕事を全部取り上げるという。その際「頭の一つでも下げたらどうなんだ」と言ったあと、半沢に浴びせたセリフでインターネット上も大いに盛り上がった名場面の一つ。その後、歌舞伎からヒントを得たセリフ回しだと猿之助が明かしている。

■「いまだけではない未来を見据えるんだ。大事なのは感謝と恩返し。その二つを忘れた未来はただの独りよがりの絵空事だ。これまでの出会いとできごとに感謝し、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば必ず明るい未来が開けるはずだ」

第3話で、半沢が部下である森山雅弘(賀来賢人)に説いたセリフ。

東京中央銀行の子会社である東京セントラル証券は、銀行からの出向組がプロパー社員を蔑み、士気が落ちていた。そんななか、半沢が森山に対して、仕事への向き合い方を説いたセリフ。第1話で大和田が言った“恩返し”という言葉が、ここでも登場する。「大事なのは感謝と恩返し」というセリフは、「銀翼のイカロス」編でもたびたび登場する。新シリーズの半沢の行動指標となる重要なセリフだ。

【第5話~最終話「銀翼のイカロス」編】

■「債権放棄じゃダメなんですか?」

第6話で白井亜希子国土交通大臣(江口のりこ)が、東京中央銀行に乗り込み言い放ったセリフ。

白井大臣は、帝国航空再建のためのチーム「タスクフォース」を結成。一つの再建案として取引銀行による7割の債権放棄を提案するが、半沢は頑なに拒否。しびれを切らした白井大臣は、直接銀行に乗り込み、このセリフを言い放つ。このセリフ、民主党政権時代、事業仕分けを担当していた蓮舫議員が「2位じゃダメなんですか?」と発言した言い回しに似ていることから、ネット上でも大きな話題となった。なお、最終話では箕部啓治幹事長(柄本明)に「恥を知りなさい」と言い放つシーンがあったが、これも三原じゅん子参院議員の発言と重なると話題に。

■「銀行沈没!……頭取もチンヴォッツ!(沈没)」

第6話で大和田が半沢に憎々しく言ったセリフ。

債権放棄を頑なに拒否する東京中央銀行に対して、政府が圧力をかけ、金融庁の調査が入ることに。ある不正を指摘され、業務改善命令が出されるかもしれないという危機に陥った大和田は「このままだとうちは銀行沈没だよ」と嘆く。続けて、半沢に向けて嫌みたっぷりに言ったのがこのセリフ。「ロスジェネの逆襲」編の「お・し・ま・い・death」に続く、ファンタジスタ香川のアドリブ。名言であり迷言であるこのセリフは強烈なインパクトを残した。

■「お・お……おねしゃす」

第8話で大和田が、半沢に対して再タッグのお願いをしたときのセリフ。

紀本平八常務(段田安則)と箕部幹事長との癒着の事実を調べるために再タッグを組むことになった大和田と半沢。第7話で半沢が大和田に頼みごとをした際、大和田は「人にものを頼むときには大事な7文字があるだろ」と「おねがいします」という言葉を言わせた。その仕返しに、今回は半沢が大和田取締役に、その7文字を要求。するとここでもファンタジスタ香川はまさかの「おねしゃす」発言。大和田と半沢のシーンは、緊張感が増す物語の弛緩剤になってきている。

「あなたのことなんて大っ嫌い。だから最後まで私が大っ嫌いなあなたでいてちょうだい、半沢次長」

第8話で金融庁の黒崎駿一(片岡愛之助)が、半沢に言った愛のあるセリフ。

これまで数々の死闘を演じてきた半沢と黒崎。前シリーズでは「半沢」だった呼び方も本シリーズでは「直樹」と変わり、見つめる視線も圧が増すばかり。そんな黒崎は、箕部幹事長の不正を暴こうと周辺を調査することに。そこで箕部幹事長の逆鱗に触れ、金融庁を追われることに。黒崎は「政府に逆らうなんて本当にバカなことをしたわ。誰かさんに影響されたせいかしら」とおちゃらけるが、最後に半沢に思いを託したセリフ。オネエと呼ばれる黒崎が、本シリーズのなかで、最も胸アツで泣かせるセリフを展開するとは……ある意味で伝説的な名セリフだ。

■「やられたらやり返す。倍……いや、三人まとめて1000倍返しだ」

第9話、ようやく手に入れた箕部幹事長の不正を証明する資料が、中野渡頭取、大和田によって箕部に渡されたシーンで放ったセリフ。

中野渡頭取が口を酸っぱくして言っていた「銀行は顧客のために働く」を忠実に実行していた半沢だったが、その中野渡頭取が箕部幹事長の軍門に下り、怒り心頭となり発したセリフ。このセリフの前に、半沢は銀行員であることのプライドや生き様を中野渡頭取と大和田にぶつけていた。頭取だろうが、大物政治家だろうが、間違ったことは「間違いだ」と言う半沢のブレない生き方を象徴する名セリフだ。

■「だめだめのだめざわなおきね」

最終話、助けを求めに来た半沢に黒崎が浴びせたセリフ。

自身が左遷されてまで、箕部幹事長の不正の事実を掴むアドバイスをしてきたのに、してやられた半沢に対して浴びせた黒崎のきつい一言。それでも箕部幹事長に屈しない半沢に「さすが、私が狙ったお・と・こ」と得意の股間掴みを浴びせた(未遂)黒崎は『半沢直樹』のもう一人のMVPと言える。

■「仕事なんてなくなったって生きていれば何とかなる。生きていればね」

最終話、銀行から追い出されそうになった半沢にかけた妻・花(上戸彩)のセリフ。

超大物政治家・箕部幹事長に逆らい、銀行員から追い出されてしまう可能性が出てきた半沢。しかし前シリーズから半沢がピンチに陥るたびに、終始一貫して「なんとかなる」と励ましてきた花。最大のピンチである今回も「なにがあったかわからないけれど、もう頑張らなくてもいいよ。直樹はいままで十分すぎるぐらい頑張った」と肩を抱く。このシーンにネット上では「さすが花ちゃん」「半沢の力の源は花ちゃん」と絶賛が相次いだ。

■「心の底から詫びてください」

・最終話、箕部幹事長が犯した不正に対して「記憶にない」としらを切ったことに言い放った半沢のセリフ。

圧力で他を従えてきた箕部幹事長だったが、半沢は「政治家の仕事とは人々がより豊かにより幸せになるように政策を考えること。いまこの国は大きな危機に見舞われています。それでも人々が必死に歯を食いしばり日々を過ごしているんです。それはいつかきっとこの国に、また誰もが笑顔になれる明るい未来が来ると信じているから。そんな国民に寄り添い、支え力になるのが政治家の務めです」と巨悪に“正義”を説く。コロナ禍で多くの人が未来に対して不安を抱いているなか、ネット上では「いまの政治家全員に聞かせたい」「直樹が政治家になってほしい」「半沢総理がいい」と、この半沢の言葉は多くの人の心に響いたようだった。

(文・磯部正和)

PICK UP