大学生も激戦地へ“命じられた死”をどう受け入れたのか?『終戦スペシャル』

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8月5日(日)14時から『終戦スペシャル「学徒出陣~大学生はなぜ死んだ?」あの戦争を忘れない…』(TBS)が放送される。

2年後の東京オリンピックに向け、建設工事が急ピッチで進んでいる新国立競技場。この場所から75年前の10月21日、多数の若者が戦場に赴いた。大学生の兵役免除が廃止され、初めての「学徒出陣式」が行われたのだ。

東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、立教大学などの学徒=大学生たちは、訓練も不十分なまま、フィリピン、サイパン、硫黄島、沖縄などの激戦地へと送り出された。教育程度の高さから、年若いものの下級将校という責務を担わされた者も多かったようだ。一方で知識の多さから操縦士としての任務も期待され、特攻で命を落とす者も多かった。最高学府で高等教育を受けていた彼らの中には、実は敗戦が近づいていることを分かっていた者もいたという。彼らは “命じられた死” をどう受け入れ、いかに死んでいったのか。関口宏の司会のもと、ベストセラー『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の著者、歴史学者・加藤陽子と“あの時代”の意味を考えていく。

番組では、8人の元学徒兵から得られた貴重な証言を放送。さらに、今も西太平洋・ウルシー環礁に沈む米軍艦「ミシシネワ」の水中映像や、最近になってアメリカから遺族のもとに返還された古びた日章旗などから、新たに明らかになった事実もまじえ、特攻の真実や激戦の南方戦線の実相を探っていく。

収録には、当時の学徒たちと同じ年代の現役大学生36人も参加。国はいかに大学生=学徒たちを動員したか、そこにあった国策とは何だったのか……。番組は、国家主義を讃える書籍や、一流の演出家とカメラマンによる国策映画など、学徒たちに向けたプロパガンダにも焦点をあてる。

<関口宏コメント>
僕の親父は、大陸に二度、招集されました。親父は無口な人間で、戦争のことをあまり語りませんでした。けれど、私が子どもの頃は、旦那さんや息子さんを亡くされた方が周囲にたくさんいらっしゃって、そういう方々の話を聞いて育ちました。今回は学生さんたちと一緒にVTRを見たんですが、若い人は感受性が豊かで、いろいろな反応があって……私は良かったなと思っています。戦争の記憶はどんどん風化していくけれど、私たちメディアには伝えていく使命があると思います。これからも、繰り返しになってもいいから、伝え続けてほしいですね。

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