吉川愛の溢れるオタク心「“推し”がいなかったら、生きていけないです(笑)」『カラフラブル』インタビュー

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吉川愛さんと板垣李光人さんがW主演を務めるドラマ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59~)が4月1日よりスタートします。

「FEEL YOUNG」(祥伝社)に連載中の、ためこうによる人気コミックを実写化。仕事熱心だけど、自分自身には手を抜きがちな女性・町田和子(まちだ・わこ/吉川)と、メイクとファッションを自由に楽しむ男性・相馬周(そうま・めぐる/板垣)によるラブストーリー。好評を博した『おじさんはカワイイものがお好き。』(読売テレビ・日本テレビ系)の制作チームが再集結し、フレッシュな恋模様を描きます。

この作品と板垣さんとの出会いを通して、ジェンダーに対する考え方がガラッと変わったという吉川さん。初主演ドラマへの意気込みはもちろん、和子との共通点であるオタクな一面についても、たっぷりとお話を聞きました。

新米漫画編集者を演じる吉川さん
新米漫画編集者を演じる吉川さん

――演じる和子の人物像をどう捉えていますか?

自分のことは二の次で、家事もできないし、メイクもたった5分で終わっちゃう。それでいて、好きなことには夢中になりすぎてしまうところもあって……。かわいくて、仕事に対しては努力家で、すごくおもしろい女の子だなと思いました。ドラマでも、そのおもしろさが出せたらいいなと思っています。

――自分に近いと感じる部分は?

私もオタク気質で、好きなことにはブワーッと集中してしまう性格なので、そこが似てると思います。でも、このお仕事をしているからかもしれないですけど、私はやっぱり自分磨きは大切だと思うんです。それはちょっと、和子ちゃんとは違うところかな。

――お相手の周については、どんな印象をお持ちですか?

周くんは、過去にリボンを付けたり、スカート履いたりしたことでいろいろと言われてしまって、自分に自信をなくしていました。でも、和子ちゃんと出会って「自分をどんどん知ろう」「自分のかわいいところを見てもらおう」と思うようになるんです。自分に対するストイックさがかっこいいなと思ったし、うらやましいなとも思いました。

――吉川さんには、和子と周の性格が共存しているように感じますね。

2人の気持ちがわかるし、本当にかわいくて、いいカップルだなと思います。和子ちゃんと周くんは、好きなものも違うし、性格も正反対。でも、お互いに認め合えているというか、お互いに知ろうとしているところが素敵ですよね。理解し合うって、大切なことだなと思います。

――まだクランクイン前(取材時)とのことですが、板垣さんの印象などはいかがですか?

板垣さんに初めてお会いした時、「本当に綺麗だな」と思いました。たとえば爪って、短く切っておけばいいとか、伸ばしっぱなしの方もいるじゃないですか。板垣さんは爪の先まできちんとお手入れされているみたいだったので「素敵だな!」って。2人ともコスメとアニメが好きだとわかったので、今後の話のテーマは決まっています(笑)。

『カラフラブル』はパンクなドラマに!?
『カラフラブル』はパンクなドラマに!?

――作品を通して、ジェンダーレスについて改めて感じたことはありますか?

板垣さんが、「女子力っていう言葉がイヤだ」「女子力を男子が持っていてもよくない?」とおっしゃっているのを聞いて、私自身そう言われなければ気づかなかったというか。私はずっと「女子力持たなきゃ」とか「女子力ほしい」とか言っていたタイプなんですけど、その言葉を聞いた時に、自分の個性が出せて、好きなことができていればそれでいいんだなと思えたんです。この台詞は、たまたま第1話に出てくるんですけど、これからも私の考え方を変えてくれるような台詞がいっぱい出てくると思うとワクワクします。視聴者の皆さんにも、いろいろと感じてもらえたら嬉しいですね。

――制作発表時、脚本の坪田文さんが、「熊坂(出)監督とは今回はパンクで行こうと決めました」とコメントされていました。

監督と初めてお会いした時、「とにかく自由にやってくれ」と言われて、パンクだなと思いました(笑)。なかなか監督さんって、そうは言わないと思うんですよ。「(疑いの目をしながら)いや、本当にぃ!?」と思う部分はあるんですけど(笑)。でも、「自由にやってくれ」と言ってもらえるのは、すごく嬉しいことなんですよね。台本の読み合わせをした時にも楽しかったので、本番でも「やりたいことをやっちゃお!」「言いたいことがあれば、言っちゃお!」と思っています(笑)。気が楽になって、撮影が楽しみになりました。

――自由だからこそ、自分にかかっている部分が大きいですよね。それでも、気負いはなく?

そうですね。監督は、「シーン一つひとつの意味を考えてほしい」とおっしゃっていました。たとえば、“和子ちゃんが周くんに「好き」と言わせたい”とか、シーンごとに目的があるから、それを一個一個考えてほしいと。そういうことを片隅において、自由にやろうと思っています。

――初主演ドラマが「自由に」というのも、パンクですね(笑)。

パンクですね~(笑)。ある意味、よかったと思いました。やりたい放題、本当に自由にやりたいと思います(笑)。

熱い“推し”トークに注目
熱い“推し”トークに注目

――吉川さんもオタク気質とのことですが、“推し”はどなたでしょう?

アーティストだとセレーナ・ゴメス。アニメだと『妖狐×僕SS』の髏々宮カルタちゃんです。実は妖怪のお話で、妖怪になると結構大きめの骸骨になるんです。でも、ふだんはちょっと抜けていて、ずっとご飯のことしか考えていなくて、めちゃめちゃかわいいんですよ!! 俳優さんだとジェイソン・ステイサムが好きで、タイプを聞かれたら「ジェイソン・ステイサムです」と答えるようにしています(笑)。

――あらためて、吉川さんにとって“推し”の存在とは?

“推し”がいなかったら、ちょっと生きていけないですね(笑)。“推し”がいることによって人生が楽しくなる。全力で愛を注ぎたい人がいるっていうのは、いいなって思いますね。だから、もし“推し”がいない人がいたとしたら、ぜひ探してほしいです。こんなに楽しいんだぞと(笑)。

――お気持ち、わかります(笑)。一方で、吉川さんご自身も“推し”になる立場でもありますよね。

私が“推し”に対して思っていることを自分に置き換えてみると、こんなに嬉しいことってないよなと思います。私のことを知ろうとしてくれたり、テレビを見てくれたり、お金をかけて映画や舞台を観てくれたり。すごく幸せなことだし、自分への励ましにもなるし、もっとがんばろうって思えますね。

――ファンの気持ちもわかるっていうのは、いいですよね。

そうなんですよ(笑)。だから、何かを決める時には「私の“推し”がこれをしたら嬉しいな」と考えて決めるようにしています(笑)。

――ファンの方にとっても最高ですね(笑)。和子が夢中になりやすい性格ということで、吉川さんが夢中になっていることについても伺おうと思ったのですが、話が繋がってきそうです。

セレーナの情報を調べたり、ジェイソン・ステイサムの出演作を見たり、カルタちゃんのグッズを集めたり。結構前の作品なのでグッズも少ないんですけど、今のところ、見つけたものは全部集めています。撮影がない時には「もっとないかな? もっとないかな?」って(笑)。

――それに加えて自分磨きも……となると、とても忙しいのでは?

私、夢がないんですよね。だからこそ、好きなことに夢中になれる時間とか、自分磨きをがんばる時間を大切にしています。将来どうなるかはわからないけど、今、好きなことに夢中になることが大事なんじゃないかなと思うんです。

――夢がないというのは、昔からですか?

小さな頃から、夢はまっっったくないです(笑)。一時期悩んだこともあるんですよ、みんな夢があるのにって。でも、悩んでたってどんどん時間は進んでいくし、「まぁいっか」って(笑)。やりたいことを続けていけば、それが将来に繋がるかも、と思うようになったんです。そんなアバウトな感じなんですけど、そのほうが縛られないで生きていけるし、自分でも先がわからないのが楽しいです。

――固定観念がないほうが、作品にも入りやすいのかもしれないですね。

そうなんですよ。看護師役をやったり、今回は漫画編集者役だったり。いろんな職業の体験ができるのが、この業界のいいところというか、やりがいがあるなと思います。

――夢がない中で今の仕事を続けているというのは、逆にいえば、とても楽しめているということですしね。

そう思います。たぶん私の性格的に、やりたくなかったらやめてしまうので(笑)。このお仕事が本当に楽しいんだと思います。

――周にとって、自分を救ってくれた和子はヒーローですが、吉川さんが救われた一言や、ヒーローのような方はいらっしゃいますか?

具体的なことはないですけど、やっぱり自分を一番見てくれている母ですかね。ダメ出しというか、「こういうところは良くないと思う」と言ってくれる人って周りになかなかいないけど、母は「ここを改善したほうがいい」とズバッと言ってくれる。そういう人がひとりいるから、救われている気がします。ヒーローというより、いて当たり前の存在ではありますけど、母がいてくれてよかったなと思います。

――救いの存在ですね。では最後に、ドラマの見どころとメッセージをお願いします。

ジェンダーレス男子に偏見がある方もいるとは思うんですけど、そういう偏見などを変えてくれる作品だし、自分の考えを見つめ直すきっかけになる作品だと思います。そこが作品の魅力であり、私自身、ドラマを通してそれを伝えられることがすごく嬉しいです。この時代だからこそ、たくさんの方に見てほしい作品だなと思っています。

(取材・撮影・文:勝浦阿津希)

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