是枝裕和監督『万引き家族』でカンヌで最高賞受賞!

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是枝裕和監督の最新作『万引き家族』(6月8日より全国公開、製作:フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.)が、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、最高賞であるパルムドールを受賞した。

日本時間の5月14日に行われた『万引き家族』公式上映では、約9分に渡るスタンディングオベーションがおこり、辛口で知られる海外メディアからも賛辞が飛び交い、高評価を得るなど受賞への期待が高まっていた。そして、日本時間5月20日に行われた授賞式でパルムドームに選出。日本映画がパルムドールを受賞するのは、第50回カンヌ国際映画祭(1997年)で今村昌平監督作品『うなぎ』が受賞して以来21年振りの快挙となる。

これまでも、『DISTANCE』(2001年 第54回コンペティション部門)や、『誰も知らない』(2004年 第57回コンペティション部門/最優秀男優賞受賞・柳楽優弥)、『そして父になる』(2013年 第66回コンペティション部門/審査員賞受賞)、『海街diary』(2015年 第68回コンペティション部門)など、数々の作品を同映画祭に出品してきた是枝監督だが、今回の授賞式では、「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。そして、この映画祭に参加するといつも思いますが、映画をつくり続けていく勇気をもらいます。そして、対立している人と人を、隔てられている世界と世界を映画が繋ぐ力をもつのではないかという希望を感じます。今回みなさんにいただいた勇気と希望を、まず一足早く戻ったスタッフとキャストに分かち合いたいですし、作品が選ばれたにも関わらず、ここに参加できなかったふたりの監督たちとも分かち合いたいですし、これから映画をつくり、ここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたいと思います。ありがとうございます」と喜びを語った。

『万引き家族』は、東京の下町が舞台で、高層マンションの谷間にある今にも壊れそうな平屋で身を寄せ合って暮らす「家族」の物語。そこには、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)の4人が転がり込んでいる。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝(樹木希林)の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。

冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。

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