東出昌大「全部を裏切れた」映画『デスノートLNW』に手応え

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10月29日公開の映画『デスノート Light up the NEW world』。2006年に公開された映画『デスノート』から10年後に舞台を移し、正統な続編として紡がれる本作では、「そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という死神のノート、“デスノート”が地上にもたらされ、世界中が大混乱に陥っていた。そんな中、キラ事件に精通した“デスノートを追う男”三島創(東出昌大)を筆頭に、5人の特別対策チームの捜査官たちを中心とした<デスノート対策本部>が構えられていた。そこに、世界的私立探偵にして、Lの正統な後継者“デスノートを封じる男”竜崎(池松壮亮)も加わり事件解明に当たる。そして、とある事件から一冊のデスノートを入手するが、その現場には、キラ信奉者“デスノートを制する男”紫苑(菅田将暉)の姿が……。そして、“人間界で同時に存在していいノートは6冊まで”という「6冊ルール」のもと、今、デスノートを巡る三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされる。

そんな白熱の心理戦が繰り広げられ中、キラ事件に精通した熱血捜査官・三島を演じているのが、大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK)や映画『クローズEXPLODE』(2014年)、『ヒーローマニア-生活-』(2016)などに出演している、東出昌大さん。このインタビューでは、ご自身の役柄や共演者とのエピソード、撮影時の思い出などを語っていただいた。

――オリジナル作品として描かれる本作への出演が決定した際の心境と、ご自身の役どころをお願い致します。

オファーを受けた時は、「マジか」と思いました。『デスノート』の1ファンだったので。それに、原作も完結していますし、ニアとかメロを出すわけじゃないのにどうやってやるのだろうと思ったものの、台本をいただいて「なるほど」と。また、プロデューサーを務めるのは、10年前の作品と同じく佐藤貴博さんなので、『デスノート』に対する情熱はファンをしのぐものがありますし、みんなでしっかりしたものを作っていこうと思いました。自分の役はオリジナルキャラクターなので、見ていただいてからのお楽しみで。今回のお客様は、コミックスがない分ガイドラインがないので、逆に楽しんでいただけるかなと思います。

――現在の映画界を代表する若手3人の共演はいかがでしたか?

この二人とできるというのは、僕としてもやはり嬉しかったです。池松くんが現場で話していて印象に残っているのが、「僕らがキャスティングされた意味」ですね。確かに挑戦的なキャスティングではあると思うので。「『デスノート』をやる」というと、取材などで「ファンの方の声が……」とよく言われますし、ファンの方の心理はすごく分かるんです。「『デスノート』という名前を借りるだけで集客見込めるから焼き増しするのか」って思う気持ちもあるかもしれません。ただ、そういう気持ちだけで映画って絶対作れるものではないし、完成したものを見て、それを全部裏切る。そこを全部乗り越えるっていうのはきっと出来たと思うので、あとはもうただただ公開を楽しみにしていただければと思います。

――池松さん演じる竜崎、菅田さん演じる紫苑はとても個性的なキャラクターですが、東出さん演じる三島は“普通の人”。演じる上での苦労などはありましたか?

特になかったです。三島は装いから普通なのですけど、その三島がいたからこの二人がいるっていう部分も多分にあると思います。Lの後継者というキャラクターに、見事に実感を持たせて堂々と存在感を発揮させてくれたなって、池松くん演じる竜崎に対しても思いますし、菅田くんもトランプで言うジョーカーのように引っ掻き回しくれたので、三島は二人がいたからやりにくさというのはありませんでした。

――共演者の方との印象的なエピソードは?

撮影がひと月半あったのでいろいろなことがあったのですけど、地方ロケに行っている間は夜にみんなで必ず食事をして、今日のこと明日のことを話したりしていました。そんな中、池松くんからまず空気を作ってくれて、池松くんが「人としてどうする」といった究極の選択みたいな質問を、みんなで食事した最初の晩に持ちかけてきました。大人になるとそうやって腹を割って話すことはなかなかないと思うのですけど、そういうきっかけを作ったところから、みんな台本に対しても忌憚なく話すようになって、(撮影を終えて)久しぶりに会っても遠慮のない仲です。

――佐藤信介監督の印象は?

まずは役者の動きを見てくれて、意見を聞いてくださるという印象があります。台本にはト書きというのがあるのですが、それも全部取っ払って現場で演技をしても、そっちの方がよければゴーサインを出してくださる方でした。完成したものを見てみて、台本や僕らのやった芝居をここまでスケールの大きいものを形にしてくれたすごさを改めて感じました。

――監督と話されたことで印象的なエピソードはありますか?

僕が「みんなのビジュアルはどんな風にするのですか?」って衣装合わせの時に聞いたら、監督が「別に全然、みんな普通だよ」って。でも、次に現場で池松くんを見た時に、「うわー、何が普通だ……」と思って、普通の意味を佐藤プロデューサーに聞いたら「Lみたいにアイシャドウは塗らないとかそういう意味の普通だと思う」って(笑)。それでも、「カラコン入れてるし、白髪だし、全然普通じゃないですよ」って言いましたね。そういった意味では、衣装も含めてバージョンアップしていますね。池松くんも言っていますけど、この10年間で熟成されて溜めに溜めたパワーが今出ていると思うので、このビジュアルも然り、死神ものクオリティも含め、そこは楽しみにしていただければと思います。

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