――中身の部分で若者との“ギャップ”を見せていくのが大きなポイントに?
そうですね。監督と相談していくところですが、例えば、今の私でも若い世代の中に入っていくことを考えると少し委縮してしまうのに、それが45歳離れているとなると、もっとそうだろうなというのは感じます。特に、澄さんは一生懸命な方なので、集団の中にいる時と自分の世界に入っている時では何か違うのかなとかも考えますね。それから、澄さんは、大学の授業も背筋を伸ばして一生懸命講義を聞いていて、その姿が魅力的です。そういう姿勢によっても若者との違いを見せていけるのかなと思いました。
――具体的に今、演じる上で準備されていることはありますか?
60代くらいの方が話すような言葉と、現代では話さないような言葉をピックアップしてみました。私たちが普通に使っているけど、年配の方たちがわからないような言葉はどういうものだろうねっていうのを、スタッフさんと一緒に話したりしています。そういう会話の中で面白いギャップが発見出来たら、台本にも反映させようという話もしています。あとは、私がいろんな方を見て経験するしかないんだろうなと思っています。例えば、電車に乗っている時に、60代ぐらいの方の様子とかを見たりして……。
――発見はありましたか?
若い人はスマートフォンをいじっていることが多いですけど、60代くらいの方は、静かに目を閉じてらっしゃったりとかしていました(笑)。
――衣装はレトロな感じに?
先日、ポスター撮影しましたが、その時に初めて“お婆ちゃんのベスト”のようなものを着ました。すごく新鮮でしたね。周りも“似合っているよ”とは言ってくれましたけど……(笑)、その衣装も“いいよね”って言ってもらえるくらい、早くなじめるようになりたいですね。
――65歳まで恋を知らなかった澄さん、彼女の人生ついてどう思いますか?
澄さんは、自分の人生を不幸だとは感じていないと思うんです。猫のじゅりちゃんやご両親がいて、花屋さんも大変だったでしょうけど、自分ができる範囲の中では幸せに過ごしてきたのではないかなと思います。澄さんだったら、きっとそういうふうに思うんだろうなと私自身感じています。
――そんな澄さんに共感できる部分は?
私も、自分のやれる範囲のことは一生懸命やりたいといつも考えています。澄さんもすみれさんになって若返ってからは、自分が出来ることで積極的に頑張っていて、後悔はしたくないという思いで一生懸命生きているので、そういうところは共感しますね。
――逆に、時代の違いを感じるところは?
時代や家庭環境もあると思いますが、私の場合は、やりたいならチャレンジしなさいと言って背中を押してくれたような両親だったので、そこはもしかしたら当時とは違ったのかなと思います。
――作品にちなみ、好きな年齢になれるとしたら何歳になって何をしてみたいですか?
高校生から今のお仕事を始めたので、中学生か高校生のリアル制服時代に戻ってみたいです。田舎で育ったので、都会に出て街で今の子とかが遊んでいるようなことをやってみたいですね。あと、アルバイトもしてみたいです。
――逆に、桐谷さんが65歳になった時のイメージってお持ちですか?
普通に、孫とかと遊びながら平凡に暮らしていればいいなと思いますが、海外のご夫婦みたいにおじいちゃんおばあちゃんになっても手をつないで歩けるような人になりたいです。日本でも、たまに横断歩道とかで手を取り合って歩いているご夫婦とか見ますが、ほっこりしますし、本当に素敵だなと思います。理想ですね。