杉本哲太、吉田羊、濱田岳『HERO』3検事スペシャル対談

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本作の注目ポイントと言えば、やはり久利生と雨宮の関係。そこで、できあがった映画を観た3人に、作品のファンとして二人の姿を見た感想を語っていただいた。

――久利生と雨宮の再会はファンにとって大注目のポイントです。客観的にご覧になって、二人の関係をどのように思われましたか?

吉田:ハッピーエンドであって欲しいという思いと、もう1回、この先どうなるのか楽しみが欲しいという思いがあったので、私としては大満足な二人の関係が描かれていました。

杉本:僕は雨宮に感情移入して観てしまいました。やっぱり木村さんは格好いいんですよ。それに、あの二人の関係性はとても良いなと思っていたので、だから久利生に「もうちょっと言ってやれよ」と思ってしまいました。

吉田:久利生さんはそういうところ不器用ですよね。

杉本:でも、最後の久利生の表情見て、安心というか納得しました。

濱田:最初に雨宮さんがスクリーンに映ったときは、ファンとして「ああ、出た」と思ったし、二人が閉じ込められてしまうシーンとかは、とっても懐かしくて「これ、これ」と感じました。ある意味で、僕は二人の間に何か起こることに期待をしていなくて、あの関係がずっと続くといいなとファン心で思っていたので、ずっと楽しく観られました。

吉田:病室で目覚めるシーンとか阿吽の呼吸でしたよね。あの二人じゃなきゃ出来ない間合い。

杉本:本当にそうだよね。

――最後に、改めて『HERO』という作品の魅力はどこにあると感じていますか?

杉本:久利生の変わらないブレないところ、当たり前のことを当たり前のようにやることです。大人になってくると、例えば田村なら出世欲や特捜に戻りたいという思いが先行してしまうところがあります。日常の中で忘れてしまっているようなことを、久利生の言動を見ていると、改めてそこで大事なことを気づかされる。そういうところなのかなと思います。

――今回の映画でも、大使館の治外法権というという大きな壁があって、検察はもちろん、城西支部のメンバーも最初は諦めモードでしたよね。そんな中、久利生は自分が請け負った交通事故を解決したいという思いで捜査を続けていきました。そこで、城西支部のメンバーも感化されていき、新たな行動へと繫がっていく。

杉本:それが『HERO』が『HERO』たる由縁ですよね。このチームがテレビシリーズから始まって少しずつ構築されていった関係性が見られるし、この事件をきっかけにして集まったかつての仲間とともに本気で動き出していく。お約束の流れだけど、だからこそ良いシーンだと思います。

濱田:宇野君の目線で言うと、あれだけ悪態をついていても、城西支部のメンバーは誰も「年下のくせに」とか、そういう序列を誰も振りかざさない人たちなんです。部長に対して生意気なことを言ってもちゃんと話を聞いてくれるし、先輩方としゃべっていてもちゃんと会話してくれる。宇野君にも特捜に行きたいという思いはあるのかもしれないけど、それ以上にハートで繫がっている。それは本当に素敵なことだし、なかなか出来ることではないですから、きっと見ているお客さんも「いいな」と憧れる部分なのだと思います。

吉田:この人たちは検事なのに、ちゃんと仕事をしているのかわからない、どうしようもない人たちのように描かれていますよね。でも、一見仕事をできなそうな人たちが、ちょっと頑張って事件を解決しようと奮闘する。しかも、それがスタンドプレーではなくて、久利生さんを中心として、チームプレーとして成立していくというのが『HERO』ならではの魅力だと思います。この映画では、テレビシリーズ以上にチームプレーが色濃く描かれているので、見ている人も城西支部の一員になったつもりで、参加型の映画として楽しんでいただきたいです。

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