韓国で日本式居酒屋と路上パフォーマンスが流行る理由：未来世紀ジパング

7月24日（水）放送の「日経スペシャル未来世紀ジパング」（毎週水曜夜10時）は、連日ニュースをにぎわせる「韓国」を取り上げる。日本との関係悪化が報じられる一方で、韓国で起きている意外な日本ブームなど、反日ばかりでない、日本と韓国の知られざる関係を伝える。

日本料理学校へ韓国人が殺到

韓国への輸出規制強化が発動されるなど、国交正常化以降で最悪とされる日韓関係。先月大阪で開かれた「Ｇ20」での日韓首脳の交流は、わずか8秒の握手のみ。現在の日韓関係を象徴するシーンとして両国のメディアで大きく報じられた。しかし現地の取材を通して、反日ばかりではない、日本と韓国の意外な関係性が見えてきた。

韓国の街で目に入るのが、日本風の建物と「居酒屋」という文字。実は今、韓国では日本の居酒屋がブーム。日本料理を学ぶ人や、日本食店を経営する韓国人が増えている。年間160人もの人が日本食を学びに来る板前学校で、一番人気は３カ月で日本料理の基礎を一通りマスターできるというコース。授業料が約26万円と高額にも関わらず、生徒が去年より３割も増加。外食産業で成功したい韓国人にとっては、"日本頼み"の状況になっているという。

板前学校の卒業生、イ・サンゴさんは脱サラし、フランチャイズの外食チェーンに加盟したが失敗。今年、念願だった自分の居酒屋をオープンした。「日本酒や日本食をもっと勉強して、ほかの居酒屋と差別化していきたい」というサンゴさん。最近では徐々に常連客も増え、手応えを感じているという。日本について「普通の韓国人で日本のことを嫌いな人はいないと思います。政治的なところ以外では日本から学ぶべきものが多いと思っていますよ」と話す。

韓国のターゲットは、中国人から日本人へ...

韓国の"日本頼み"は観光面でも。ソウルの街角に停まる一台の車には、日本語で「ご当地シャトル」の文字が。実はこれ、日本人をターゲットにした日帰りバスツアー。韓国が好きな日本人にこれまで以上、何度も訪れてもらうため、韓国の旅行会社と観光公社が企画した。韓国では、2017年の迎撃ミサイルTHAADの配備以降、中国との関係が悪化。中国人観光客がピークの６割ほどに激減した。その穴を埋めるべく、人気の韓流ドラマのロケ地巡りをツアーに組み込むなど、日本人を呼び込むための策を講じているのだ。

さらに日本人観光客の獲得に力を入れるのは、韓国の巨大リゾート。片渕茜アナウンサーが訪れたのは、ソウルの中心から約１時間半ほど離れた場所にある「パラダイスシティ」。ショッピングモールやプール、スパにカジノまで備える一大リゾート施設だ。メインターゲットだった中国人観光客が激減し、今や訪れる外国人の６割が日本人。最悪と言われる日韓関係だが、"日本頼み"の状況は続いている...。

路上で夢を追いかける韓国の若者のナゼ

韓国の若者の今を探るために訪れたのは、"ソウルの原宿"と言われる若者の街・弘大(ホンデ)。ここでは、若者たちが路上で歌やダンスのパフォーマンスを披露し、連日異様な盛り上がりを見せている。世界中で人気のK-POPグループ「BTS」に憧れ、明日の成功を夢見る若者たちが集まってくるのだ。

この現象の裏には、韓国の若者を取り巻く環境が関係している。韓国の若年層の失業率は10.4%と高止まりが続き、就職もままならない状況や厳しい競争社会が若者たちに閉塞感を生み出している。公務員になるための勉強を諦め、お金を稼ぐためこの場所でダンスを始めたという35歳の男性は「バリスタにもなりたい。ダンスで有名になって、ファンの人たちにコーヒーを飲んでもらえるよう、動画を配信していきたい」と夢を語る。

番組が取材を続けると、路上で踊る若者の周囲にはカメラを構え撮影し続ける一団の姿が。一見この場に不釣り合いと思われる彼らの正体はYouTuber。若者たちのパフォーマンスを撮影してYouTubeなどに投稿し、広告収入を得ているのだ。そこには、有名になりたい若者と広告収入が得られるYouTuberと"ウインウイン"の関係が生まれていた。若者の希望が叶う日は来るのだろうか。