竹財輝之助が語る、恋愛ドラマの心得「受けの芝居を大切に」『部長と社畜の恋はもどかしい』

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ヘアメイク:大野彰宏(ENISHI) スタイリスト:大石裕介 衣裳協力:イキジ
ヘアメイク:大野彰宏(ENISHI) スタイリスト:大石裕介 衣裳協力:イキジ

中村ゆりかさんが主演を務めるドラマParavi『部長と社畜の恋はもどかしい』(テレビ東京系、毎週水曜深夜00:30〜)が1月5日からスタート。中村さん演じる3度の飯よりも仕事が大好きな社畜OL・丸山真由美(通称:まるちゃん)と恋に落ちる堤司(テイジ)治部長を竹財輝之助さんが演じます。

志茂の同名コミックを実写化した本作は、恋する暇もない社畜OL・まるちゃんと、定時上がりの堤司部長による“すれ違いの恋”を描くラブコメディ。ある日、まるちゃんが酔った勢いで堤司部長とラブホテルへ行ったことをきっかけに、仕事のやり方も考え方もまったく違うふたりの“ムズキュン”すぎるオフィスラブが始まります。

竹財さんが扮するのは、表情と心情にギャップがある堤司部長。取材時は撮影序盤で、「役を作っている最中」だという竹財さんに、ドラマの見どころについて聞きました。また、2021年についても振り返っていただきました。

――台本を読んだ感想は?

単純に面白いなと思いました。ただ僕があまりやったことのないような役だったので、不安もありましたね。もちろん楽しみのほうが強いですけど、この台本をどう面白くできるのか、すごく考えました。

――心の声が入っているなど、コミカルな台本ですよね。

それを全部心の声にするのか、声に出して言っちゃうのか。今、監督と相談しながらやっているところです。思っていることと表情が違うので難しいですが、役者としてはやりがいがありますね。

――演じる役柄の印象はいかがですか?

堤司さんはパッと見“スーパーマン”なんですけど、恋愛面に関しては中学2年生くらいのレベルなので(笑)、そのギャップをどう魅力的に見せるかが今の課題ですかね。

――役柄との共通点はありますか?

僕も恋愛に関しては中2かもしれないです(笑)。男の人はたぶん、誰でも堤司さんっぽいところがあるんじゃないかな。あとは「九州男児」と一括りにしていいのかわかりませんが、僕も言葉足らずなところが多々あります。だから、「わかるだろ? 言わなくても」みたいな堤司さんの気持ちは、すごく理解できます。

――オファーを受けた決め手についても聞かせてください。

僕は脚本を読まずに、人で決めちゃうところがあって。信頼をおいているプロデューサーの山鹿(達也)さんからお話をいただいたので、ふたつ返事で「やります」と。内容を聞いて、「ラブコメか……大変だな、大丈夫かな、ちょっと考えればよかったかな」とは一瞬思いましたけど(笑)。前半の監督をされている村上(牧人)さんも2、3度お仕事したことがありましたし、やっぱり知っているスタッフさんがいるというのは心強いので、(オファーを受けるには)それだけで十分です。“作品選び”とか言われますけど、僕は体が空いていれば来た仕事は基本的に断らないんですよ。むしろ、どんな役をくれるのかを楽しみにしている、という感じです。

――“人で選ぶ”というのは、いつ頃から?

いつからだろう……でも昔から人が好きなので、前に仕事をした人から声をかけられたら、それだけで嬉しいんです。お芝居は人と人で喋って、温度を感じて、リズムを感じて作っていくものなので、息が合わないといいものは生まれないですし、息を合わせるために同じ方向を向いて仕事ができるかが大切。だからこそ、作品よりも人を重要視しているんだと思います。作品を選べる立場ではないっていうのもありますけど(笑)、たとえば撮影の時期がかぶった時に選ぶ基準という意味でいうと、僕は“人”かもしれないです。もちろん脚本が面白いのが一番ですけど、正直、役者やスタッフさん、チーム次第で作品は面白くもなるし、つまらなくもなるだろうなと思うので。

――作品で選ばないことで、新たな自分が見つけられそうですね。

そうですね。たぶん自分の好き嫌いで作品を選ぶと役どころが偏ってしまうし、それは僕の目指すところではないですから。

――先ほど、「ラブコメは大変」というお話もありました。

僕はコメディがよくわかっていないというか、笑われるのは得意なんですけど(笑)、笑わせるのが苦手で。一般的なお笑いと違って、お芝居の笑いはちょっとした間の違いとか、言葉の掛け違いとかでクスッとくるとか、“予想もしていなかったところで何かが起きて笑うもの”だと思っているんです。でも、その“予想もしないところ”をどう出すのかが僕自身わかっていないので、すべて監督にお任せしています。

――今回は役柄に関しても、今までにやったことのない役だそうですね。

表情を出さずに台詞を喋る、という経験があまりないんですよね。裏腹な台詞を喋るような役はありましたけど、常に仏頂面をしている役は初めてかもしれないです。

――竹財さんは本音が見えない役が多い印象があるので、「俺の彼女が可愛い」とか素直に言っちゃう竹財さんが見られるのかな!? と思っています。

あははは(笑)。でもまぁ、本当の中身ではそう思ってますからね。「可愛いな」って(笑)。

――恋愛ドラマという意味では、若手の頃と今で、意識や演じ方に違いはありますか?

多少、俯瞰で見られるようにはなったとは思います。でも、それが芝居に活かされているかというと、そうでもないのかなと。相手によって役のイメージも変わるので、現場で感じたものを大事にするようにしていますけど、それは昔からあまり変わらなくて。ただ、若い頃は自分のことしか考えられなくて、相手の台詞を受け取れていないことのほうが多かった。でも今は、受けの芝居を大切にするというか、相手の台詞をちゃんと聞くようになりました。

――出すことよりも、受けることを意識していると。

そっちのほうが難しいし、重要なんだと、年を重ねて思うようになりましたね。

――真由美役の中村ゆりかさんとは、撮影の合間にどのようなお話を?

「おいしいご飯屋さんが知りたいです」と言われたら、「何が好きなの?」「お刺身が好きです」「じゃあ、あそこ美味しいよ」といったような、他愛のない話をしています(笑)。

――お芝居については話さず?

芝居については、特に何も話してないですね。僕は普段からお芝居についてはあまり話さないです……なんででしょうね(笑)。

――若い役者さんとの共演も多いですが、コミュニケーションを取る時に心がけていることはありますか?

今、流行っているものを聞くとか、基本的には教えを請うようにしています。ひと世代違うと、僕が経験してきたことと全然違うことを経験しているし、すごく尊敬できるところもある。僕は自分と違うところがある人に魅力を感じるので、「教えてくださいよ~」って(笑)。

――(笑)。とてもお忙しいと思いますが、別の撮影が重なる時、役の切り替えなどはどうされているのでしょうか?

僕、現場に行ってしまえば、その役になれるタイプなんですよ。衣装とメイクをまとった姿を鏡で見るだけで「こういう人だったな」と感じることができる。メイクさん、衣装さん、様様です。

――プライベートに役を引きずることもなく?

だと思います……実はそうではないらしいんですけど(笑)。キツい役をやっていると、自分では気づかないうちに普段の口調もキツくなっているらしくて。でも、僕自身は引きずらないタイプだと思っています。

――2021年は視聴者として竹財さんを目にする機会がとても多かったのですが、2021年を振り返ってみていかがですか?

本当に幸せな1年でしたね。メインどころのポジションでお仕事をさせていただく機会も多かったですし、役者としての目標だった仕事もできました。役者をはじめて18年の中で、一番幸せな1年だったと思います。

――ちなみに目標とは?

大河ドラマです(『鎌倉殿の13人』(NHK総合)2022年1月9日~)。僕には、武将をやるという大きな目標があって。もちろん目標は他にもありますけど、ひとつは叶えられました。

――2022年は『部長と社畜の恋はもどかしい』からスタートします。あらためて、本作の見どころをお願いします。

堤司部長とまるちゃんのムズムズキュンキュンするような、うまくいかない恋愛ですね。恋愛ってだいたいうまくいかないので(笑)、そういうすれ違いを楽しんでいただけたらと思います。あとは、(ドラマを見ることで)働き方とか仕事に対するモチベーションの持ち方とかも変わるような気がしています。堤司部長とまるちゃんは働き方も考え方も全然違うけど、その中でも共通点を見出していくようなところが描かれているので、ぜひ注目してほしいです。

<第1話あらすじ>
会社の営業部に勤めている、まるちゃんこと丸山真由美(中村)は、頼られることと仕事に生きがいを感じている残業三昧の社畜OL。ある日、営業部の新年会をしていると、たまたま同じ店に居合わせた定時上がりで有名な総務部の部長・堤司治(竹財)と激論を交わした末、2人は酔った勢いでラブホテルに行ってしまう! 一夜を共にしたことで、堅物なイメージとは違う優しい部長を好きになってしまったまるちゃん。しかし翌日、堤司から2人の関係は「大人だからわかるよな?」と言われてしまい……!?

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