浅香航大、宮崎駿のドキュメンタリーで涙「もうちょっと追求したい」【連載PERSON vol.25】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.25は、Huluオリジナル『THE LIMIT』の第6話「高速夜行バス」(全6話配信中)に出演している浅香航大さんが登場します。

『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス2011』で連続ドラマ初出演を果たすと、その後も、『連続テレビ小説 ひよっこ』『あなたの番です』『君と世界が終わる日に』、映画『滑走路』『心の傷を癒すということ 劇場版』など、さまざまな役どころに挑戦している浅香さん。

今や人気作品に欠かせない彼が『THE LIMIT』で演じているのは、長距離夜行バスに駆けこむ男・鎌田健吾。居合わせた乗客の園田苑子(木野花)は、彼に「幸せになれないのは先祖の因縁」などと言い、定期的な除霊の勧めや、高額な釈迦如来像を売りつけようとしてきます。しかし、健吾はある事情を抱えていて、自身の境遇や過去を語り始めるという展開。

“半径3mの人間ドラマ”がテーマの同作、第6話ではバスというワンシチュエーションでの2人芝居が見どころ。そんな作品からの出演オファーに「挑戦状を叩きつけられているよう」と喜びを感じている浅香さんへ、影響を受けているエンターテインメント界のクリエイターや、好きなテレビ番組をお聞きしました。

――自身を形成していると思うテレビ番組を教えてください。

子供の頃見ていたドラマなんですが、窪塚洋介さんが出演されていた『ロング・ラブレター~漂流教室〜』が大好きで「早く寝なさい!」って言われながらも見ていた思い出があります。あと、滝沢秀明さんと深田恭子さんが出られていた『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』、妻夫木聡さん主演の『オレンジデイズ』など、たくさんありますね。

――では、いま見ているテレビ番組は?

バラエティはよく見ます。『水曜日のダウンタウン』『月曜から夜ふかし』、あとは土日の昼間にやっている散歩番組が好きです。徳光(和夫)さんの『路線バスで寄り道の旅』とか、有吉(弘行)さんの『有吉くんの正直さんぽ』とか、ゆるーく見られる感じが好きで、つい見ちゃうんですよね。

子供の頃、父親もよく旅番組を見ていたので、その影響もあるのかもしれないです。当時、父親がプロ野球を見ているのが退屈だなと思っていましたけど、いまちょっと見ちゃうというか……そういう感覚に近いのかな?

――分かります(笑)。それでは、影響を受けたエンタメ界の人を教えてください。

いま、宮崎駿さんにハマっています。宮崎さんについては、もうちょっと追求したいですね。宮崎さんのドキュメンタリーDVD『「もののけ姫」はこうして生まれた。』を見ているんですけど、本当にヤバい! 人柄や考え方なんかが、良い意味で普通じゃないですね。

仕事柄っていうのもあるかもしれないですが、作品作りの思いとか、アフレコ風景だったり、ものづくりだったり……。本当にすごくて、むちゃくちゃ泣けます。

宮崎さんがおっしゃっていたんですけど「僕が子供の頃は、戦争とか死屍累々(死体など)が普通にテレビに映っていた」と。今は制約があって映せないものもあるけど「こういう作品(『もののけ姫』)を作ることで、子供たちに伝わるんじゃないかと思っていたけど、全然伝わっていなかった」って後悔されていて。

そういうのを聞くと、戦争を知っている方ってあと数十年でいなくなって、いまやテレビで死体を見ることもない。セーブが多すぎると、昔とは感覚が変わってきますよね。そういうものを知らない人がつくりはじめるエンタメって、どうなっちゃうのかなって……。

もちろんそれによって、トラウマや悪影響を受けてしまう人もいるから、見せればいいってわけではない。でも、“知らない”のは違うよなって思います。ちょっとエッジが効いたものや、もっと知っておかなければいけないものが、たくさんあるなって。

――演じる側だけではなく、作る側にも興味がおありなんですか?

多少はありますね。作品を紐解く作業が好きなので、ちょっと脚本を書いてみたりすると、演じ方、見え方、本の読み方が変わるんですよ。

『君と世界が終わる日に』で共演した宇野祥平さんの言葉に気づきが
『君と世界が終わる日に』で共演した宇野祥平さんの言葉に気づきが

――役者をするにあたって大切にしている軸・信念を教えてください。

意外とないんですよ。基本、作品選びも受け身なんですよ。

――フラットにいるからこそ、一つひとつの作品に深く関われるのでしょうか?

そういうのもあるのかもしれないです。逆に言うと、“強い信念を持たなきゃな”っていう意識もあります。もちろん、お受けした後はしっかり役づくりなどやっていきますけど、作品に対して、“もっと自分から前向きに取り組まなきゃいけないな”って思うというか。

――では、周囲の人の言葉で、自分の人生に影響を与えてくれたと感じる言葉はありますか?

つい最近の話ですけど、“これでいいんだな”って思えた一言を言ってくれたのが、『君と世界が終わる日に』で共演した宇野祥平さん。僕はいつも迷いながら演じているんですけど、ドラマを見た時に宇野さんから「浅香くん迷いがあるね」って言われて。「え? ヤバいですか?」ってお聞きしたら「逆にそれがいいよ」って。

“迷いがない方がいい”って思いがちだけど、その言葉のおかげで、突き進むより、揺らぎがある方が魅力があっていいんじゃないかなって思うようになりました。

――先輩に言われると響く言葉ですね。

ホッとしますよね。でも、来年「迷いなんかない方がいい」って言っている可能性もありますけどね(笑)。

(取材・文・撮影:浜瀬将樹)

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