ももクロの魅力を再確認、本広克行監督が改めて語る映画『幕が上がる』舞台裏

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――この映画が皆さんにとって「大切なもの」になっていったきっかけとはなんですか?

それは間違いなくももクロです。彼女たちはほとんど初めての芝居で、しかも主演映画ということで、不安は大きかったと思います。そんな彼女たちが、恐ろしいことに全スタッフの名前を覚えて現場にいるのですよ。それでスタッフはみんなメロメロです(笑)。自分も思い返してみたら、監督になった最初の頃は、助手の子の名前とかも覚えて現場に行っていたのですよね。助監督だった頃、監督に名前を呼ばれると嬉しかったなって。それが最近はなぁなぁになっていたと思い出させてくれました。みんな終わりの頃には推しメンバーの色になっていました。そんなの他の映画ではまずないです(笑)

――ドキュメンタリーの中では、夏菜子さんが監督のお腹をバンバン叩く姿も垣間見えるなど、とても仲が良く見えました。本広監督にとってももクロはどのような存在ですか?

バンバン叩かれました(笑)。自分の子どもに接する感じと、彼女たちと接する感じが、全く変わらないです。近所の子どもが集まって映画を作っている感じ。「全く女を感じないなおまえたち!」って(笑)。でも、それがももクロ像なのでしょうね。これまでにアイドルをたくさん撮ってきましたが、こんな子たちは他にはいなかったです。

――ところで、映画の制作発表などでも、ももクロメンバーが「なかなか監督がモノノフだと認めない」と言っていましたが、実際のところ本広監督はモノノフなのですか?

実際にモノノフかと言われると、ライブもちゃんと観に行っていますからモノノフなのでしょうね。だけど、関係者席にいるので「ウォー!!」と、一緒になってはじけているわけでもない、いわゆる地蔵です(笑)。

――アイドルとしてのももクロの魅力ってどこにあるのでしょうか?

歌っている彼女たちと演じている彼女たちは全く違います。歌っている彼女たちは何万人もの人たちを光の渦にしていく。ふと思ったことがあるのですが、なんでこんなに多くの人たちが、しかも僕より年上の人たちもたくさん集まって、カラフルな衣装を着て、サイリウムを持って暴れているのだろうと。きっとそれは、プラスのことしかその空間にないからですよね。そこでマイナスのことを考えている人が一人もいない。だから、みんなのプラスが集まってすごいエネルギーになっている。それに、歌も応援歌が多いので、考え事をしていたり、落ち込んでいたりすると、ピタッと曲が入ってくるのです。これで人はモノノフになっていくのかなって(笑)

――この作品は、昨年の夏に撮影したから出来たもので、もし今、同じキャスティングで撮影しても同じものは出来ないと思うのですが、いかがですか?

この間、舞台もやったのですが、舞台が終わってから彼女たちと会ったら少し雰囲気が違っていました。ワチャワチャしていた彼女たちが、どこか大人っぽくなっていて「アレッ?」って(笑)。久しぶりに田舎に帰って親戚に会う感覚というか、ちょっと距離があって「どうも、監督お久しぶりです」みたいなあの感じ(笑)。映画や舞台を経験して、彼女たちはさらにその次へと動き出していました。今同じことをしたら、また違う姿を見せてくれると思います。

――改めてももいろクローバーZに伝えたいことはありますか?

今はアイドルとして、ミュージシャンとしてがんばっていますが、近いうちにアーティストの領域に入っていき、さらに大きな存在になっていくと思います。一緒にやっていても、こんなに力をくれる人はそんなにいないと感じていました。映画を撮影して、大規模な宣伝もやって、演劇も25ステージくらいの半端じゃない数をやり遂げて、ものすごく成長しているはずです。彼女たちが、アーティストになったときに、再び女優さんとして帰ってきてもらい、高校生ではない役で一緒に作品を作りたいです。そのとき、女優としてどれくらいすごいことになるのか楽しみにしています。


――Blu-ray&DVD情報――

『幕が上がる 豪華版』(Blu-ray2枚組、6,800円+税)
【本編ディスク】
◆本編(119分)
◆映像特典
予告編、特報 、テレビ CM 、オーディオコメンタリー (ももいろクローバーZ×本広監督×片山 P×守屋 P)
【ボーナスディスク】
◆劇中劇・ロミオとジュリエット
◆劇中劇・肖像画
◆劇中劇・銀河鉄道の夜
◆未公開集(映画本編に使用されていない映像集)
◆イベント集(完成披露試写会、初日舞台挨拶、行ったぞ!舞台挨拶全国行脚最終日)
◆公開記念特別番組『ももいろ演出論』(劇場公開時にテレビ放送した番組)
◆公開記念メイキング番組『「幕が上がる」のここが熱い!』(劇場公開時にテレビ放送した番組)
【封入特典】
◆フォトブック
◆富士ヶ丘高校 校章ワッペン
◆ポストカード 5 枚セット
【特製 BOX】
“暗闇で星空が輝く”蓄光印刷仕様

■『幕が上がる 通常版』(Blu-ray、4,800+税 / DVD、3,800 円+税)
【本編ディスク】
◆本編(119分)
◆映像特典
予告編、特報 、テレビ CM 、オーディオコメンタリー (ももいろクローバーZ×本広監督×片山 P×守屋 P)

『幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦』(Blu-ray、4,800 円+税 / DVD、3,800円+税)
◆本編(94分)
【映像特典】
◆「幕が上がる」Roll Number
◆予告(「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」)

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