佐藤浩市「三國連太郎が僕を育てた」父の日に亡父懐かしむ

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映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』の大ヒット御礼舞台あいさつが19日に都内劇場で行われ、主演の佐藤浩市をはじめ、緒形直人、永瀬正敏が登壇した。

本作は、たった1週間で終わった昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件(通称“ロクヨン”)と、それを起点に勃発する県警記者クラブを巻き込んだ警察内部の対立、さらに14年を経て新たに起きる“ロクヨン”模倣の誘拐事件を、県警の広報官の葛藤と共に描いた衝撃作。横山秀夫による、累計発行部数170万部突破の同名ベストセラー小説が原作で、映画の前編も引き続き公開されている。

当日は父の日ということで、劇中で父親役を演じた3人が、佐藤の実父・三國連太郎、緒方の実父・緒形拳についてトーク。佐藤は、父でありながら役者の大先輩である三國について「一言ではとても言えない……」と重々しい口調で切り出すと、「芝居、映画というものを考えるにあたり、彼のおかげで本当に助かった。良い面、悪い面含めてですが。三國連太郎という人が僕を育てた」と懐かしんだ。

一方、拳について緒方は「父は狂気的な役ばかりでしたし、子どもが見られる作品に出ていなかったので、“父”としか思っていなかった(笑)」と冗談めかしてコメント。「撮影後、メイクを落とさずに帰宅してきていたので、体が赤くなっていたり、目の下に真っ黒なクマが入っていたり。僕の友達は、家に遊びに来るといつも凍り付いていました(笑)」と、観客の笑いを誘った。

そんな緒方は、三國と2007年公開の映画「北辰斜にさすところ」にて共演。「三國さんは立っているだけで絵になる。佇まいなど、全て勉強させていただいた。君はそのままで良いとおっしゃっていただけて、それだけで嬉しかった」と語った。佐藤も1983年公開の映画「魚影の群れ」で拳と共演。当時の拳の様子について「3ヶ月ほど撮影期間があったが、その日の撮影が終わると、拳さんはロケセットである家で寝泊まりされていた。電気くらいは通っていたかもしれないが、テレビはなかったと思う。その姿を見て“役者はみんなそうしなければいけないのかな”と思ったが、その後そういう方は見ていないんで、良かったと思った(笑)」と振り返った。

そして永瀬は、1991年公開の映画「息子」で三國と、2004年公開の映画「隠し剣 鬼の爪」で拳とそれぞれ共演。「お二方とも大きい存在の方。三國さんと共演させていただいた時、僕はまだ若かったが、下手すると勘違いしてしまうんじゃないかというくらい芝居をすべて受けてくれて。でも実際に映像を見ると、やられまくっていた。役者ってこんなにすごいんだと感じさせてくれた」と思いを馳せ、「緒方さんからは、撮影の最後に直筆のお手紙を頂いた。すばらしい書だったので、今でも大事に持っている」と嬉しそうに笑っていた。