阿部寛、池井戸潤原作ドラマ『下町ロケット』主人公との共通点は“理数系の男”

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10月18日(日)より阿部寛が主演する新ドラマ『下町ロケット』(TBS系列、毎週日曜21:00)がスタート。本作は、第145回直木三十五賞を受賞、文庫版含め、累計130万部を超えるベストセラーを記録した池井戸潤の同名小説を原作とし、阿部寛が演じる、宇宙科学開発機構の元研究員・佃航平が、ライバル企業や巨大な壁に阻まれながらも、仲間と共に努力しながら夢を追う姿が描かれるエンターテインメント巨編だ。スタッフには、同枠で放送された池井戸原作ドラマ「半沢直樹」(2013年)「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014年)を手がけた伊與田英徳プロデューサーや福澤克雄監督が名を連ねる。また、佃の娘・利菜役には、現在NHKの連続テレビ小説「まれ」のヒロインを演じた土屋太鳳が、佃製作所の前に立ちはだかる大企業・帝国重工の社長、藤間秀樹には、TBSの連続ドラマに44年ぶりに出演する杉良太郎が顔をそろえる。

今回、宇宙科学開発機構の研究員だったが、自身が開発したエンジンを載せたロケットの打ち上げが失敗したことの引責として、父が残した下町の工場を継ぐことになった男・佃を演じる阿部さんにインタビュー。池井戸作品に出演するにあたっての心境や、役への思い、娘役の土屋さんとの共演についてなど、たっぷり語っていただきました。

――TBSの連続ドラマで主演を務めるのは、2010年の日曜劇場「新参者」以来5年ぶりとなる阿部さん。出演のオファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか?

「新参者」の時もそうでしたが、素晴らしい枠でのオファーをいただけたと思いました。僕にとって「日曜劇場」は特別な枠なので、その主演をできるということはとても大きなことです。5年ぶりというプレッシャーもありますが、喜びでもあるのでぜひ頑張りたい。視聴者の方々を、どう喜ばせられるかということに情熱を傾けたいです。

――日曜劇場では「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」、他局でも「花咲舞が黙ってない」「民王」などが放送されているように、池井戸さん原作のドラマは大人気です。そんな池井戸作品で主演を務めることについて、お気持ちはいかがですか?

池井戸さん原作の作品は、いくつか拝見したことがあります。正直プレッシャーはありますが、今回の『下町ロケット』もとても面白いので「イケるんじゃないか」という手応えはあります。

――台本を読み、どのように感じましたか?

台本も、原作同様に面白かったです。原作に忠実で、「第1話から面白いことになるだろうな」と感じました。佃にはさまざまな困難が襲いかかりますが、非常に嬉しいし、どんどん攻めて来て欲しいです。わかりやすい悪役に対して中小企業が立ち向かうという構図は、演じる方も見る方も野心が湧くし、応援したくなるものだと思います。池井戸作品の中でもキレが良い作品なので、そこを大事に作っていきたいです。

――佃という役をどう演じていくか、プランはありますか?

今回は“自分超え”をしないといけないなと、強く感じています。佃という人間はとても人間くさいキャラクターなのですが、こういう役は、実は今までそんなに演じたことがなくて。福澤監督のしごきや演出が、どのように僕を“自分超え”させてくれるかが楽しみです。やはり、自分ひとりだけでやっていても成長には限界があると思うんです。例えば、蜷川幸雄監督の舞台に出た時、監督のアドバイスに疑問を感じたことがありまして、結局それは最後まで理解できないままでした。ですが、4年くらい経つと「あれはこういうことだったんだ」と、監督のおっしゃたことの正しさが理解できたんですね。今回も、そういう感覚が起こることを期待しています。

――佃は、宇宙への夢を諦めきれない役どころですが、実は阿部さん自身も理数系だそうですね。

はい、僕はもともと理数系なので、佃にはとても共感できます。理数系の男を演じて失敗したことはあまりないので(笑)、今回も大丈夫じゃないかと思っています。また僕は、宇宙関係のドキュメンタリーをよく見るのですが、日本の先端技術のレベルには本当に驚かされます。コンピュータでは計算できない部分を、職人が手の感触などを頼りに作っていき、ロケットを飛ばしている。そのような映像を最初に見た時は信じられませんでしたが、それだけ日本の技術が優れていて、それが日本の強みなのだということがわかりました。そういった技術を持つ中小企業が、大きな流れによって潰されようとする部分について、佃と同じように感じていますし、自分の信念を貫き通すという話も大好きなので、今回の役は何としても成功させなければと思っています。

――阿部さん自身も、宇宙への興味は大きい方ですか?

学生時代に宇宙に携わる仕事がしたいと思っていたくらい、興味は大きいです。俳優の道に来た今でも、宇宙関連のドキュメンタリーなどに関わらせていただくことがありますし、自分でも見ます。自分が生きている間にどこまで解明されるのでしょうね。そういう意味では、佃という男はそこまで自分と遠くない役です。もしかしたら、今回のドラマでそういう現場に行ける可能性があるかもしれません。その点は、個人的に期待している部分です(笑)。


――佃は技術者である一方、経営者という側面も持っています。そういった面での手応えはいかがですか?

経営者は僕にとって未知の世界ですが、信念を曲げざるを得ない状況に追い込まれるのはとても辛いですよね。ですが、自分が思っている方向に行かない、それでもやらなければいけないというのは、どの社会でもあり得ることです。僕も30年以上芸能界で生きてきて、いろいろな気持ちを味わってきたので、そういう状況の行動データは自分の中にあると思っています。

――阿部さん自身は、そのような思いをした時、どうやって乗り越えてきましたか?

僕は人に恵まれたと思っています。今までお仕事をさせていただけたのは、いろいろな人に助けていただけたからだと思います。いろいろな経験をして、人との良い出会いができて、人間が大きくなったと思いますね。昨年50代に突入し、そのありがたみがより分かるようになってきました。

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