竹野内豊「江口洋介は漁師そのものだった」映画『人生の約束』で初共演

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――亡き親友・航平の娘であり、鉄也の義理の娘、物語のキーパーソンとなる瞳を演じたのは、新人女優の髙橋ひかるさん。共演されていかがでしたか?

竹野内:印象的な方ですね。撮影の合間に江口さんが釣りに誘ってくださったんですけど、先に行っていた江口さんが地元の人と同化しちゃっていて見つけられず(笑)。その時に、ひかるちゃんも一緒に来ていて合流したんですが、スタッフさんたちのいる堤防の逆側に行っちゃう姿を見て、江口さんが「なんか俺、嫌われてるんじゃないのか?」とか「なんか向こう行っちゃったな」って言っていて(笑)。

江口:俺ヤキモチを妬いているような感じがした(笑)。

竹野内:その雰囲気がすごくリアルな親子に見えました。監督が何度も言っていましたが、彼女はきっとすごい女優さんになっていくんじゃないのかなって。凛としていて、どこか昭和の時代の匂いがしますしね。

江口:姿勢もすごくいいしね。

竹野内:西田敏行さんもべた褒めしていたし、「ひかるちゃんも、僕は何か感じるものがある」と言っていました。でも、その感じはわかります。あの子は、ちょっと普通のポッと出てきた感じの子とはまた違う雰囲気がありますよね。

――撮影中は何度か町の居酒屋に行かれたそうですが、どんなお話をされましたか?

江口:ホテルの前に素敵なお母さんがやっている飲み屋があって、映画(撮影の進捗)的にも二人が打ち解けてくるタイミングだったので、リアルでも打ち解けようかと思って、一緒に行きました。先輩の話や家族の話をして、竹野内くんも結構話してくれるんです。「そういうことまで言ってくれるんだ」ってそれがすごく嬉しくて。少しオーバーに言うと、「まさに自分がどう生きてるか」とかそういう部分を見せてくれたりして、思わずお酒が進みましたね。

竹野内:本当、江口さんはお酒が強いですね。

江口:竹野内くんは酔うと饒舌になりますね。それに、本当に聞き上手で話させ上手。映画の撮影が進むにつれてどんどん打ち解けていきましたが、東京に帰ってきてからもいい友達としてお付き合いさせてもらっています。また全然違う形でもご一緒したいですね。

――そんな素敵な巡り合わせもあった本作への出演を経て、何か影響を受けたことやメッセージなどをお願いします。

竹野内:まだまだこの作品に参加できたことも、冠さんが伝えたかったことの全ては感じられていませんが、どんどん時間が経つにつれて、より深さや厚みといったものが分かっていくんじゃないかなって思います。今の段階で、なんとなくわかったような気がするとか、自分もすごく感じるものもありますが、まだまだわかったようなつもりになっているだけかもしれないです。冠さんは79歳を迎えたばかりですけど、自分もそこまで頑張って行った時に、初めて冠さんが本当に伝えたかったこととか、わからないことがたくさん出てくるんじゃないかな。そう感じた時に、改めて思い浮かべる作品なのかなと思います。素敵な映画ですので、ぜひ劇場へお越しください。

江口:自分の家族、祖先、いろんなことを考えさせられる作品で、人それぞれグッとくるポイントや見どころが違うと思います。それに誰が見ても自分史を変えられるような映画になっていて、僕も思わず昔の友達を思い出しながら演じていました。ある程度の年齢を重ねた今、若い頃の気持ちを思い出しながらこういった芝居に携われることはすごくありがたいですし、自分のバックボーンを思い出させてくれる素敵な映画となりました。ぜひ、皆さんも映画館でご覧ください。

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