鈴井貴之インタビュー『不便な便利屋』Blu-ray&DVD BOXにも仕掛けが盛りだくさん

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――エンディングでは岡田さんが雪の中を歩き続けるという演出をされていましたが、その意図とは?

慌ただしいストーリーが続く中、“ちょっとほっこりさせるぞ!”という思いを込めました(笑)。スピッツさんの曲が流れる中で、だんだん風景も岡田くんの表情も変わっていくという、本当に素敵なエンディングができました。また、町の人たちが同じ場所で歩いてくれて、それを映像に撮ってくれたので、Blu-ray&DVD BOXに収録させていただきました。岡田くんは雪の中を歩きましたが町の方々は春になってから歩いてくれたので、ドラマとは違った景色が見られると思います。

――雪はキレイなだけじゃなく、時には脅威になることもありますが、今回の撮影中に何かハプニングは起こりませんでしたか?

ハプニングと言えば、ドラマの中で俳優さんたちがしょっちゅう転んでいるのですが、ほぼ“マジこけ”です。ですが、『不便な便利屋』では、“雪は白くてきれい”ということだけ伝えられれば良いかなと思っているんです。昔は、リアルな北海道を全国に伝えたいからと、あまり絵葉書で切り取るようなキレイな映像は使いたくないという主義があったのですが、みんな“キレイな北海道”を見たいんですよね。赤平は、富良野や美瑛のように観光名所となる場所はないのですが、キレイな風景はあるという所もお伝えしたいと思って撮影しました。

――天候が悪くて撮影ができないという日もあったのでは?

全然! 逆に、吹雪のシーンが撮れなくて困るくらいの晴天続きでした(笑)。吹雪のシーンは、クランクアップしてから北海道のスタッフが吹雪の日に出動して、そこだけ撮影して、作中の1ヶ所だけに差し込みました(笑)。遠藤さんの回想シーンですね。ずっと天気が良かったので、撮れなかったんです

――では、竹山が吹雪の中を彷徨っている1話は奇跡が起こったのですか?

あれは、残念ながらニセの吹雪なんです。あのシーンは本当に大変で、「CGにしようか?」っていう話も出たのですが、「いや、CGじゃ思っているものと違うものが出来てしまう!」と、除雪機を4台も使って吹雪を作り出しました。ただ、除雪機だとムラが出来たりするので、4台いっせいにカメラの前にタイミング良く降らせるというのはなかなか大変でしたね。

――劇中で“1時間で作るスノーマン(雪だるま)の数”のギネス世界記録に挑戦しようと思ったきっかけは何だったのですか?

3~4年前から、赤平の町の人たちを巻き込んで、ギネス世界記録を作りたいと思っていました。赤平は、人口1万人くらいしかいなくて、町の自慢もなく、「出身どこ?」って聞かれて“赤平”って答えると絶対わかってくれないから、「富良野の近く」って答えたりしていました。実際は、富良野から車で40分ほどかかるし、そんな近くもないんですけど“富良野の近く”というしか説明できなかったんです。この町に住んでいる子どもたちが自分の町を誇りに思うことって何だろうと、ふと考えた時、「子どもたちのために、“この町には世界一があるよ”という自慢を作ってあげたい」と思いました。そんな時、赤平でドラマ撮影することが決まり、その中でギネス世界記録TMに挑戦できることになって、多くのお子さんに参加していただいて。もちろん、ギネス世界記録TMを達成した瞬間も感動したのですが、赤平のスーパーでお子さん連れのご家族に声をかけていただいた時、幼稚園ぐらいのお子さんが僕のことを「え、誰?」みたいな感じで見ていたんですけど、お母さんが、「ギネスのおじちゃん」って教えたら、「あー!」ってすごい喜んでくれて、満面の笑みで僕を見たんです。その時、「スノーマンを作って良かった……!」と、本当に感動しました。

――視聴者の皆さんがDVDやBlu-rayを見て、もう1度新鮮に楽しめる点を教えて下さい。

この作品は、何度も見返すことを想定して作りました。メインで演技している人の後ろでサブストーリーを展開していたりするので、見過ごしてしまったという方は、Blu-ray&DVDで見返していただきたいです。また、本編以外に充実した特典映像も収録されているので、ドラマに付随したバラエティ番組という感覚でご覧いただけるのではないでしょうか。かつて、北海道で「ドラバラ鈴井の巣」(HTB)という番組を制作していたのですが、それはメイキングを制作するためにドラマを作っていたんですよ。そういう作品を作っていただけあって、Blu-ray&DVD BOXだけでしか見られない面白映像をたっぷり詰め込みましたので、是非ともお手に取っていただきたいです。今あなたが見ているインターネットのどこかをクリックするとBlu-ray&DVD BOXを買えちゃうと思うので、ポチってください(笑)!

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