「バラエティに元気が出てきた」菊野編成部長が語るTBS変化の兆し

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――視聴率が上昇し、視聴者の反応も良くなってきたのは何かきっかけがあったのでしょうか?

きっかけを1つあげるのは難しいですが、“波”というものがあるのかなと思います。例えば、日本テレビでは「行列のできる法律相談所」の高橋利之さんや「しゃべくり007」や「嵐にしやがれ」の田中宏史さんがいて、最近では「世界の果てまでイッテQ!」の古立善之さんとかが出てきています。きっと周りに刺激されながら優秀な人材が育っているのだと思います。
そんな中、最近はTBSも「クイズ タレント名鑑」や「水曜日のダウンタウン」の藤井健太郎、「マツコの知らない世界」の坂田栄治といった中堅・若手社員の演出家の名前があがるようになってきて、ほかの制作陣も刺激を受けています。やっぱり、プロ野球でも1年目2年目で活躍する選手が出てくると、同世代の選手は「俺も上がってやる」と思うだろうし、その上の世代も「絶対にポジションを譲らない」と気合いを入れ直すと思うのですよ。今、TBSはそういう好循環に入るきっかけを掴みつつあると思います。そうやって若い世代が活躍する空気ができてきて、中堅の制作陣が「俺も頑張るぞ!」と顔を上げたところに、制作会社からもTBSに良い企画が集まってくるようになってきたと思います。

――どうして企画が集まるようになったのでしょうか?

これは客観的な事実として、例えば日本テレビさんなどは、レギュラー放送枠がほとんど固定化されていて、制作会社さんが企画を持っていっても放送する枠がないということもあるのかもしれません。そういった中で、我々が元気な姿を見せられれば「TBSへ企画を持っていきたい」と思ってもらえる。もしくは、制作会社さんにも「TBSをもっと元気にすれば、自分たちのチャンスが広がる」と思っていただいているかもしれません。これは、卵が先か鶏が先かということではありますが、いずれにせよTBSが元気になることで、良い企画が集まっています。それに中堅・若手が少しずつ育ち、これまで以上にやる気に満ちてきていますので、これからの数年、TBSは好循環が続いていくと思います。

――そんな中、TBSは月曜20時にあった伝統のドラマ枠を終え、バラエティ番組がスタートするなど、大きな変化がありました。バラエティ番組の重要性をどのように考えているのでしょうか?

まず、TBSにとってドラマというコンテンツは大変重要ですし、現在も『TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場 天皇の料理番』は非常に素晴らしい視聴率をとって、TBSのブランディングに素晴らしい貢献をしています。あと、スポーツというのは局に勢いを与えますよね。テレビ朝日が良くなったのは、ワールドカップとサッカー日本代表がきっかけなのではないかと思います。そんな中でも大事なのは、当たり前ですがレギュラーで何を放送しているかです。情報番組を含めて、広い意味でバラエティのレギュラーをいかに強くしていくか。これはとても大事なことだと考えています。

――その強いレギュラー番組を制作する上で大切なこととは何ですか?

放送時間帯によって違うと思いますが、例えばゴールデンタイムで言えば、やっぱりファミリーで見られて、オリジナリティがあって、見終わり感の良い番組になります。お子さんと一緒に楽しんでもらえるコンテンツをお届けできたらいいと思っています。

――放送時間というのはテレビ放送にとって非常に大きな要素ですよね。一方でタイムシフト視聴やインターネットの番組配信についてどのように考えていますか?

タイムシフトの流れの中で、好きなタレントさんのレギュラー番組でも、細かい放送日時は知らないというかたもいると思うんですよ。だからこそ、私たちはしっかりと放送時間の構造を考えて、何時に何を放送しているかを視聴者の方々に覚えていただき、意識してもらうことでリアルタイム視聴に繫げていきたいと思います。

――改めて、リアルタイムで見るからこそ味わえるテレビの面白さとは何でしょうか?

テレビの良いところは、速報性が高く、非常に多くの人々に同時に情報を届けられることです。家族で一緒に見て話題にしたり、翌日、学校で共通の話題になって盛り上がったりできるのは、テレビが持つ大きな魅力ですよね。そのためには、「早くみたい」、「共有したい」と思ってもらえるような魅力ある番組制作をしていくことだと思っています。

――最後に、今後のTBSのバラエティ番組を見る上での楽しみを教えてください。

自分たちでこんなことを言うのも僭越ではありますが、本当に見ていただきたい、注目して欲しい番組が増えていると思います。先ほども言いましたが、社内の作り手たちが元気になって、制作会社さんからも本当に良い企画が集まってくるようになりました。例えば、「極バラWeek」と「スパニチ!!」で、どれが一番面白かったかその目で確かめてください。「あれがゴールデンにあがるんじゃない?」と予想していただいて、実際にレギュラー化されたら「やっぱり俺の目は正しかった!」「いつかブレイクすると思っていた」と、自慢していただくのも楽しいと思います(笑)。この夏、TBSの今後を占う、原石たちの真贋を見極めていただければと思います。

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