岡田将生、“映画俳優”への思いと本格アクション初挑戦について語る

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――この映画の岡田さんは、役柄に合わせて久々に前髪を下ろしたヘアースタイルになりました。ご自身ではどのように感じていますか?

僕は、髪型はあまり気にしない方。正直なんでもいいんです(笑)。でも、今回は割と気に入っています。『ST 赤と白の捜査ファイル』(2014年に連続ドラマとして放送され、2015年1月に映画が公開された)の時には、共演者の皆から“アフロ”だと言われ続けて……。その後すぐにストレートパーマをかけたので、その皆も驚いていましたね。

――昴の役作りについて聞かせてください。

原作も読みましたが、そのイメージ通りだったので、違和感なく演じることができたと思います。監督には「常に葛藤していて欲しい」と言われていたので、そんな青年を愚直に表現しようと、現場では常に昴としての自分の未来、“家族”とも言えるチームの皆のことをずっと考えていました。なので、伊原(剛志)さんが演じている渡瀬を前にすると、自分の譲れないもの、大人たちに対する思いや感情を、役として素直に出すことができました。

――昴という人物についてどのように思いますか?

生まれたときから普通の人間じゃなくて、命の時間が決められているという宿命を抱えている。そこからくる恐怖、重圧と戦いながらも、自分より年下のチームの子たちを守っていく姿勢は、すごくカッコいいし、悲しいけれど美しいなと思いました。あと、昴の葛藤には、自分自身のことも重ねてたかもしれません。僕も、毎回迷いながら「本当にこれでいいのか」とか、「これじゃダメだろう」と自分に問いかけながら、常に葛藤しながら仕事をしています。彼らと同世代の皆さんは、同じ様に共鳴するポイントがあると思います。

――岡田さんが葛藤している理由について教えてください。

具体的には言えないです(笑)。仕事で言えば、役に対して、お芝居に対しては葛藤の連続ですよ。そして、時に間違えてしまったり、またある時はちゃんと乗り越えることができたり。その繰り返しですね。

――本作では、成海璃子さん演じる沙耶をはじめ、<チームスバル>のメンバーに「昴兄(すばるにい)」と呼ばれ、彼らを引っ張る役どころですが、実際の岡田さん自身は兄タイプ? それとも弟タイプ?

弟キャラと言われることはすごく多いです。なぜかは自分では分からないんですけど、思い当たることとしては、素直に「すみません、助けてください」と言ってしまうこと。それはプライベートでも、撮影現場でも同じです。自分で出来ることはやりますけど、許容範囲を超えてしまう時、分からないことがあった時は、すぐに監督やスタッフに聞いたり、相談する。そういうところから“甘え上手”と言われたりもしますが、僕としては、相手が先輩でも後輩でも、嘘はつかずに人と向き合っていたいという気持ちの表れなんですけどね。

――兄のような存在の役柄を演じるにあたり、どんなことを心がけましたか?

ひとつの集団の中で一番年上というのは、これまでに無かった経験だったので新鮮でしたね。カメラが回っていなくても、現場にいる時は、変に気を遣わなくてもいい雰囲気を大切にして、撮影終わった後も一緒にご飯を食べに行ったり、色々なことを話しました。時々、中高生の中で今流行っているものとか、話についていけないこともありましたけど(笑)。普段から役名で呼び合っていて。いつも“昴兄”と呼んでくれるのが嬉しくて、僕も昴として守っていかなきゃいけないと強く思いましたし、10歳前後年の差がある子もいるのですが、彼らの演技にも刺激を受けました。お互いもっと成長して、またぜひ共演したいです。

――瀬々監督とは『アントキノイノチ』以来のタッグですが、成長ぶりを褒められたことはありましたか?

今までの作品を監督が観てくれているのかどうかはわからないですけど、今回は、ちょっとだけ褒めてくれました。どんなところかは、恥ずかしいので言いませんけど(笑)。僕としては、最初からアクションができる人はたくさんいらっしゃるのに、僕を起用してくださったことがすごく嬉しかったし、その気持ちに応えたいという一心でした。でも、監督はシャイな方なので、面と向かってハッキリ言われたわけではないんです。昴チームの皆に対しては「こいつは、本当に甘えん坊なんだよ。でも今は、こんなにお兄ちゃんぽく、必死でやってるんだな。ワハハハ」と仰って、僕のことをからかってました。一応、「やめてくださいよ!」と抗議しておきましたけど(笑)。

――現場での信頼関係が伝わってきます。“家族”のような関係の<チームスバル>でしたが、岡田さんにとってそういう存在はいますか?

もちろん。家族以外にも、昔からの高校の友達、仕事仲間や先輩にもそういう方はいます。すごく自然に、辛いときに助け合えるような。僕は、そういう人や方々には何でもしてあげたくなりますね。考えてから動くんじゃなくて、考える前に体が動いてしまう。そんな大事な繋がりです。

――将来、結婚して家族を持つかもしれない、ということに思いを馳せたりは?

考えることはありますね。父親から受け継いだ姓と遺伝子を繋げていくというか。いつかは、子どもが欲しいと思っています。それに、この映画はまさに“世代”の話。僕は、この映画は“希望”を次世代へ繋いでいく話だと捉えています。

――悲しい場面もたくさんありますが、作品のテーマは“希望”であると。

ストーリー上では悲劇が連鎖するところもありますけど、個人的には、観た方には、やはり“希望”を見出して欲しいです。でも、そう決めつけたいのではなく、観た人がそれぞれに受け止め、何かを考えていただければ、それだけ嬉しいです。

――では最後に、この映画を観る方々に向けてメッセージをお願いします。

特殊能力というと、どうしても非日常的なものだと思ってしまうかもしれませんが、瀬々監督が、非日常の中にも共感できる日常がある、そんな世界観を生み出してくださいました。若者の悩みや葛藤。人間の命。人間はどのように生きていくのか。そういったテーマが描かれています。なので、やはり10代や20代の方々に観ていただきたいですが、その世代のお子さんがいる親の年代の方々も、若者とは違う目線で観て、思うところがあると思います。もちろん、様々な特殊能力やクールなアクションもあり、エンターテインメントとして楽しめる映像に仕上がっていますので、ぜひ劇場でご覧ください!

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