岡田将生、“映画俳優”への思いと本格アクション初挑戦について語る

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――本作に登場する特殊能力は、岡田さん演じる昴の「3秒先の未来が見える」能力のほか、「1km先の音まで聞き分ける」「超腕力と無痛の身体」などがありますが、一つだけ使えるとしたら、何を選びますか?

僕は、清水(尋也)くんが演じていた良介の、見たものがすべてインプットされる能力が欲しいです。台本のセリフがパッと入ったらどんなに嬉しいか……(笑)。

――岡田さんが演じる昴の「3秒先の未来が見える」能力についてどう思いますか?

実際にこの能力があったら、「あの女性の履いている靴のヒールが折れる」と思った瞬間、隣にスッと行って助けてあげたい(笑)。……真面目な話で言うと、映画ではこの“3秒”に意味があると思って演じていました。たった3秒といっても、その中でできることは結構あると分かりました。つまり、たった3秒だけでも、未来を変えられる可能性がある。それは、本作のテーマの一つだと思います。3秒でも5秒でも、自分の意志で変えていこうという気持ちがあれば、変えられる。そう思いたいですね。

――初めて本格的なアクションシーンに挑戦したということですが、いかがでしたか?

アクションはどうしても身体の動きが印象に残りますが、実はアクションにも“感情”があって、その違いをどう見せていくかが、すごく難しいことだと分かりました。また、相手と息が合っていないと何もできず、敵と戦うシーンでも、相手との信頼関係がないと成立しない。以前は演技とアクションを分けて考えていましたが、共通することがたくさんあって、すごく新鮮で面白かったです。

――苦労した点は?

昴は、筋肉を使うタイプではなく、仕掛けるよりも受ける方が多いので、主に攻撃をよける練習をしていました。特に苦労したのは、初めてなのに、いきなり“3秒先まで見えている”アクションをしなければならないこと。アクション部の方々と悩みながら作っていきました。僕はケンカのシーンさえあまり経験がないくらい、アクション自体がほぼ初めての状態なので、まずは一から動きを習得しました。その後、実際にアクション監督の下村勇二さんのアイデアを実践して、その様子を撮って動画で確認しながら、3秒先が見えているようなよけ方、アクションに見えるように調整していきました。

――アクションに乗せた“感情”の部分はいかがでしたか?

自分から積極的に手を出しているところは、ほぼ無いと思います。昴は人間の“優しさ”を糧にしているキャラクターだということ、また、将太が演じた学と対照的だということ、それらは常に意識していました。相手に攻撃するときも、最小限のダメージで終わらせる、というようなアクションをしています。

――手応えはいかがですか?

スクリーンに映る自分のアクションを、まだ冷静に見られないですね(笑)。でも、アクション部の皆さんと一生懸命に作り、頑張ってよかったと思えるものができていると思います。

――今後もアクションをやっていきたい?

最初は、アクションをできない僕がこの役をやっていいのか、という迷いもありましたが、結果的に、今回の作品で一つ幅を広げることができました。もっと頑張ってみたいですし、アクションにはこれからも関わっていきたいです。ハードなもの、コミカルなものも、機会があれば自ら手を挙げたいです。

――岡田さんは、初めてのことに挑戦するのが好きなタイプなのでしょうか?

とんでもない。好きじゃないです(笑)。ただ、「できれば安全地帯にずっといたい」と思いながら、「ここに留まっているのはつまらない」とも考えるという、矛盾した感情があります。今回のお話をいただいた時、心のどこかでワクワクしているのも事実でしたし、特に、瀬々監督とまた一緒に仕事が出来るという嬉しさもあって、一歩を踏み出す勇気を持つことができました。ただ、“初めて”は仕事で十分。プライベートでは、そんなことしません(笑)。

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