デカ盛りメニューも400円! コロナ禍で苦境も「お腹いっぱい食べて欲しい!」イラン人男性が営む居酒屋に涙:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

お腹いっぱい食べて欲しい! 激安デカ盛りでニッポンに恩返し

続いては、母国を離れ、ニッポンでお店を開いた外国人の方たちを応援する「ニッポンお店開いちゃった人応援団」!

紹介するのは、東京・上板橋で居酒屋を営む、イラン出身のマンスールさん。

nipponikitai_20210419_12.jpg
57歳のマンスールさんは、来日して33年。29年前に2歳年上のきよみさんと結婚し、その年に居酒屋「花門」を開店。夫婦二人三脚で切り盛りしてきました。店名はダジャレ好きなマンスールさんが、お客さんがたくさん来るように「come on」とかけて名付けたそう。以前は満席になる日も多かったのですが、最近は新型コロナウイルスの影響で地元の常連さんが2組だけという日もしばしば。売り上げは半分以下に……。

「ニッポン愛してるし、ニッポン大好きです。ニッポン来た時にたくさんの日本人にお世話になりまして、義理と人情、愛情をたくさん受けました」とマンスールさん。日本人に恩返しをするためにこの店を始めたといいます。

午後5時、開店したお店の様子をのぞかせてもらうと、ちょうど唐揚げとオムライスの注文が。普通サイズとして出てきたオムライスは……なんと1.5キロ以上! しかも50種類ある料理全てが400円で、大盛りも少なめもデカ盛りも全部同じ値段!

nipponikitai_20210419_13.jpg
400円のデカ盛り料理のほとんどは、原価割れの赤字メニュー。例えば人気メニューのナポリタンは、ベーコンやソーセージなど、具材だけですでに500円。そこにケチャップ500グラムとトマト缶を1缶、600グラムのスパゲティが入り、作る度に約740円の赤字に。1.2キロの唐揚げは、付け合わせの野菜だけでも赤字。残ったらお持ち帰りも可能だそう。

「みなさんが喜んでいる笑顔を見ると最高です」というマンスールさん。そもそもニッポンに来るきっかけとなったのは、ニッポンのドラマ「おしん」でした。

1980年に始まったイラン・イラク戦争により混乱の最中にあったイラン。娯楽もほとんどない日々で、唯一の楽しみだったのが、戦中戦後をたくましく生き抜く女性を描いたドラマ「おしん」だったのです。イランでは視聴率90%を超える大ヒットとなり、8人兄弟だったマンスールさんの家でも「ニッポンに行けばおしんに会えるかな? 日本人は慎ましくて素晴らしいね」と、すっかりニッポンの虜に。

そんな中、戦争の影響でマンスールさんの通っていた大学が閉鎖。日本企業で働いて家族を安心させたいと、1988年、24歳の時に来日しました。マンスールさんによると、当時イランから海外に持ち出せるお金は300ドルまで。しかし、苦労して貯めた300ドルを出国の際、空港の両替トラブルで全て失ってしまいます。見送りに来ていた母親から10ドルだけ借りて、ニッポンにやってきたのです。

ニッポンでは、おしんのような女性に出会えることを楽しみにしていましたが、当時はバブル絶頂期。おしんの世界は見る影もなく、あまりのギャップに驚いたそう。

その後は日本語学校に入学。アルバイトをしながら勉強に励みましたが、毎月のアルバイト代から学費や家賃を支払うと、残るのはわずか1万円。何日もご飯が食べられず、部屋にお風呂がなかったため食器用洗剤で体も洋服も洗うなど、大変な生活を送っていました。そんな苦しい時代を支えてくれたのが、アルバイト先の居酒屋のマスター。頼る人がいないニッポンで、アパートの保証人にもなってくれ、ろくに食べていないマンスールさんを心配し、お店の食材なら自由に食べていいとまで言ってくれたそう。

nipponikitai_20210419_14.jpg
「少しでも恩返ししなくちゃという気持ちですよね。まだ何もしていないので、これからです。たくさんおもてなしします。それしかできないんですよ」とマンスールさん。ニッポンで受けた恩をニッポンで返したい! その一心で、自分が恩を受けた居酒屋で恩返しすることを決意したのです。

お店は当初、激安でもデカ盛りでもない普通の居酒屋でした。それが400円均一のデカ盛りメニューを出すように変わったのにも、マンスールさんらしい理由がありました。開店して2年目のある日、来店した若い夫婦が800円のサイコロステーキを諦め、それより安い380円の焼きそばを注文しました。その夜、「あの夫婦に好きな食べ物、食べさせられなかったな。これは私がやりたかったニッポンの居酒屋かな」と考えたマンスールさんは、翌日から全ての食事メニューを400円に統一することに。

数日後、再び来店した夫婦がサイコロステーキを注文。するとマンスールさんは、作戦がうまくいった嬉しさから、思わず量も2倍に! 400円でお腹いっぱいになってもらうことが、自分にできるニッポンへの恩返しだと確信したのです。

この決断に、きよみさんは最初戸惑ったものの「(マンスールさんが)いい人でよかったな」と改めて思ったそう。「贅沢させてあげられなくてごめんね」というマンスールさんですが、さらにきよみさんへの相談なしにこんなサービスも。子どもに無料でアイスクリームを出し、マスクもお客さんに無料で提供。コロナで月の売り上げと来客は以前の半分以下になりましたが、給付金を少しでも還元したいと、様々なサービスを打ち出しています。

お弁当を販売していた時は、遠方のお客さんに無料であげてしまったことも。実は400円メニューを続けるため、アルバイトもしています。お店の営業前に、近所の生コン会社で5時間の作業を20年以上続け、重機免許も取得。社長の鹿島一彦さんによれば、マンスールさんは会社のエースであり、アイドルなのだとか。

アルバイトが終わると、すぐにお店へ。この日やってきたのは、去年の「大食い女王決定戦」で令和の新女王に輝いた、フードファイターの海老原まよいさん。この店にはデビュー前から足繁く通っていたそう。

nipponikitai_20210419_15.jpg
「いつものお願いします!」との注文を受けて出てきたのは「マンちゃんスペシャル」。3キロのチキンライスを17個の卵で包んだ特大オムライスに、鶏もも肉を1キロ使った特大唐揚げ10個、鶏肉やひよこ豆を煮込んだイランの家庭料理・アブグーシュトをトルティーヤで巻いたものと、総重量5キロの裏メニューです。こちらもなんと400円!

この「マンちゃんスペシャル」に鍛えられた海老原さん、わずか30分で5キロを完食! 「美味しいものを、お金なくてカツカツな時に、こうやって来て食べられるっていうのは幸せなこと」と語る海老原さん。美味しさもさることながら、マンスールさんの人徳が人気の理由でもあるといいます。

そんなマンスールさんの楽しみは、激辛ラーメンで人気の「蒙古タンメン中本」。多い時には週5日通ったこともあり、最低800杯、40万円分食べたお客さんだけがもらえる中本オリジナルスカジャンも持っています。このスカジャン、今や本社にもないレア物だそう。約20年、800回以上通い続けているマンスールさんのお気に入りは、味噌ラーメンに辛子麻婆豆腐をのせた看板メニュー「蒙古タンメン」。そこに大量の一味を入れていただきます。

自宅では、お風呂できよみさんに背中を流してもらうというマンスールさん。「幸せですよ」と頬を緩めますが、過去には店を閉めようと思ったことも。お店に訪れた最大の危機とは? さらに、応援サプライズで徳光和夫さんが来店! 実は2人には意外な絆が! この模様は、次回大公開します!

4月19日(月)夜8時放送! 月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」は…。

●ニッポンにご招待したら人生が変わっちゃった!感謝のビデオレターが届いちゃいましたSP

ニッポンの“流鏑馬”を愛するフランス人男性。「本物を知りたい」という願いを聞いて、約2年前ニッポンにご招待。鎌倉時代から続く流鏑馬の2大流派・小笠原流と武田流で稽古を受けた。そんな彼からお世話になった皆さんへ感謝のビデオレターが届く。コロナで大変な状況の中でも練習を続け、大きな成長を遂げていた…!

●新企画「ニッポンお店開いちゃった人応援団!」

ニッポンに移り住み、自らお店を開いて暮らしている外国人の方たちを応援! 破格の400円均一デカ盛りメニューを提供する居酒屋を経営するイラン人男性。苦しい状況でもニッポンでお店を続ける彼に番組から応援サプライズ! 閉店の危機を救ってくれた「心の恩人」徳光和夫さんの来店に感涙!」

どうぞお楽しみに!

PICK UP