ニッポンの山は”宝の山”!? ~カネになる木が生えている~:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。3月9日(火)の放送では、アウトドアブームの後押しもあり関心が高まる「山の売買」を特集。「カネを生む山」や1円で取引される山など、業界を巡るいまを深掘りする。

「カネになる木」が山の資産価値を上げる

山遊びを満喫するため、個人で山を買うことへの興味が高まっている。たき火を囲んで友人家族とバーベキューを楽しむ、キャンプを楽しむ......。一方で、投資目的で購入する人もいる。

山専門の不動産情報を扱う会社「山いちば」(京都市)の比賀真吾社長は、「創業の年に比べると契約数は3.5倍。問い合わせは5倍以上」と需要は増していると語る。社員2人のベンチャー企業でオフィスはたった2坪だが、創業から3年で30万坪以上の山を売却してきた。

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価格は安いものなら7700坪で約84万円から。木の種類や樹齢まで細かく公開しているのは、それが投資対象になると考えたからだ。「同じ広さでも、木の値段がいい山と悪い山だとおそらく値段は5倍くらい違う」と比賀社長。かつて、京都市北部の山(約4500坪)を約150万円で売った経験も。そこには良質なスギとヒノキが400トンも植生し、比賀社長によれば、木が成長する20年後には50万円以上の価値が上乗せされるという。

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以前は別の不動産会社に勤め、高級物件を扱っていた比賀社長。坪単価数十円の山に目をつけたのは、自身が京都で70年続く木材会社の3代目でもあるからだ。これまでは輸入木材やコンクリートの普及により国内木材の需要が激減していたが、いまは上昇基調にある。その流れを、木材に関わる立場から目の当たりにしてきた。

2月中旬。比賀社長は持ち主からの依頼で、奈良県・吉野にある約1万4000坪の山を売ることになった。登山装備に身を固め、早速「カネになる木」を自身で視察する。落ちれば命の危険がある場所も通りながら、素人目には同じように見える木を次々と査定していく。比賀社長は「いい木はすぐお金に見える」という。

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「カネになる木」がようやく見えてきた。樹齢100年を超えるケヤキだ。丈夫で木目が美しく、磨くほどに光沢を増す天然のケヤキは、神社仏閣や高級家具の材料として使われる。比賀社長は「人工林にはない魅力があるので、取引価格はスギやヒノキの比じゃない。5倍、10倍になる」と目利きする。果たして査定金額はいくらになるのか。

我が子に背負わせたくない...山を手放す理由

一方、1円で取引される山もある。横浜市の小さな不動産会社「リライト」は、"難あり物件"を抱える人たちの駆け込み寺だ。この日も田中裕治社長を頼り、不動産を売りたい客がやってきた。物件は埼玉・某所の築約50年、人が住まなくなって約15年経つ空き家。荒れているとはいえ、100坪の土地や裏山もついている。

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売り主の女性は、固定資産税の徴収や管理などを手放す理由に挙げ「本当に困る。お金を出してでも持っていってほしい」と嘆く。0円だと贈与になるため「1円での売買」。商談は成立し、女性は「祝杯をあげます」と笑った。

リライトの店頭に貼られた物件情報を見ると、1円の物件がいくつも並ぶ。田中社長にとってこの「1円取引」はいつものことだが、会社には仲介手数料が入らない。田中社長は「困っているからやってあげたいというのが根本にあって、それが長い目で見ると収益につながっている」と語る。

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ある日、千葉・成田市に土地を持つ門井敦徳さんから、実家の裏山の一部(約1000坪)とその周囲の田畑を売りたいとの相談が。地元の不動産会社からは「無理だ」と販売を断られた物件。しかし門井さんは我が子に山の相続を背負わせたくないと、リライトを頼った。

2月頭。田中社長は門井さんの自宅を訪れ、「売れない山」の資料を付き合わせて作戦を練る。「なんとかします。今まで売れていない物件がないので」と門井さんに伝え、かたい握手を交わす。

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しかし翌日、現地を視察した田中社長の目に、予想を超えた荒れ模様が飛び込んできた。竹林は倒れ放題で土砂崩れの心配も。眺望もきかない......。山を歩き回ること1時間、売るためのヒントは見つからなかった。


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なぜ"カネにならない仕事"に精を出すのか。田中社長は学生時代バスケットボールに明け暮れ、大手不動産会社に就職。全国一の営業マンを目指して駆け回った。しかし、いつしかノルマ優先主義に疑問を感じ、9年前に独立。

「誰かを助けられるなら助けられる人でありたい。門井さんもそうですが本当に困っている。それを『はい、さよなら』とできるかといえばやっぱりできないし、したくない」。

この難あり物件、果たして興味を持つ人は現れるのか──。

番組では、この売れない山の顛末や、山から不労所得を得る男性の取材、宮崎県の山で原木シイタケの栽培やカブトムシ・クワガタの飼育をする男性へのインタビューなどもお届けする。

買い手と売り手をつなぐ仲介人や、山で儲ける男たちの奮闘を、今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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