「日本ギフト大賞」を受賞した”塩引鮭”の徹底したこだわり&伝統製法に感動!:世界!ニッポン行きたい人応援団

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鮭をこよなく愛するダニさんが、来日後、ますます日本食の虜になった結果...?

最後に紹介するのは、アメリカ・テネシー州に住むダニさん。

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ダニさんが愛してやまないのはニッポンの「鮭」。7年前、日本料理のレシピ本に載っていた塩鮭を作って以来、その美味しさの虜に。アメリカでは、バターや香辛料を使って魚の臭みを消しますが、ニッポンでは塩を振って臭みを消し、鮭本来の旨味を引き立てることにも感動したそう。週に1回は必ず塩鮭を食べています。

ニッポンの白鮭は手に入らないため、アトランティックサーモンで代用。スーパーのアトランティックサーモンはほとんど養殖のため、ダニさんは「引き締まった身と、ほどよい脂がのった天然の白鮭を一度でいいから食べてみたい」と夢見ています。

「このままでも美味しいのですが、おにぎりにするのが好き」。味噌汁と惣菜を添えて、ダニさん特製、鮭おにぎり定食が完成! 夫のイーモンさんもお気に入りのメニューです。

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そんなダニさんを、約3年前、鮭の旬に合わせてご招待! 1年中食べられる鮭ですが、産卵のため北海道や東北の川に帰ってくる9月から12月が旬。

向かったのは山形県との県境に位置し、日本海に面した新潟県村上市。実はダニさん、空港で「新潟の村上市に行ってみたいです。塩引鮭(しおびきざけ)で有名な街なんですよ。1000年の歴史がある究極の塩鮭をこの目で見たい」と話していました。

縄文時代の遺跡からも鮭を食べた痕跡が見つかった村上市には、鮭料理だけでも100種類以上あり、最も有名なのが塩引鮭。12月になると家の軒先に吊るされ、冬の風物詩にもなっています。

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平安時代には朝廷に献上されていた逸品で、選び抜かれた鮭に天然の粗塩をすり込み、熟成、発酵させた伝統料理です。源頼朝や豊臣秀吉など、名将たちにも愛された究極の塩鮭。

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ダニさんの熱意を伝えたところ、創業200年以上の「越後村上うおや」の皆さんが快く受け入れてくださいました。この道60年の8代目女将・上村八惠子さんを筆頭に、若女将の美智子さん、ベテランの小田繁雄さんを始め20人の職人さんが、徳川幕府に献上されていた時から続く伝統製法で、塩引鮭を作っています。お店の2階には年間7000本以上の鮭が吊るされる熟成室が。

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1週間干すという鮭は、塩を引くことで乾燥しても色つやがよく、まるで生きているよう。ダニさんが、「一度でいいからこの目で見てみたい」と願っていた光景です。女将さんが「食べますか?」と声をかけると、「本当にいいんですか! ありがとうございます」と大喜び。熟成した厚切りの塩引鮭を、七輪で焼くこと2分。あふれ出るのは旨味たっぷりの脂。

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早速、焼きたてをいただきます。

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「脂がのってとろけるような身にしっかりした塩の風味が効いています。私の塩鮭よりはるかに美味しいです」。旨味成分のグルタミン酸が、かつお節の2倍以上あるという塩引鮭はお茶漬けにしても絶品。「身より皮が美味しいですよ。油が凝縮されているから、皮の付け根が美味しい」と女将さんオススメの皮は...「より濃厚な味です!」。皮はビタミンや良質なコラーゲンが豊富で、化粧品や医療でも使われています。「これは地球上の全ての人間が美味しいと言うと思います」。身も皮も旨味たっぷりの塩引鮭。1000年の伝統を受け継ぐ、職人こだわりの技術を教えていただきます。

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塩引鮭に使うのは、川に上る前に海で脂を蓄えた白鮭のみ。海で成長する鮭は、産卵期を迎えると3000キロ近く泳いで生まれた川を目指しますが、川に戻ると餌をほとんど食べなくなるため、同じ鮭でも脂が落ち、劇的に変化してしまうそう。メスは卵に栄養を取られ脂が少ないので、使うのはオスの鮭のみ。

はらわたをきれいに取り除いたら、塩引鮭の味を左右する「ぬめり取り」を行います。海から狭い川に戻るとき、体が傷つかないよう鮭の鱗には粘液がびっしりとついています。そのぬめりを取らないと、塩がのらないのです。

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さらに、隙間に塩をすり込み、皮をさらに美味しくするため、うろこを落としてはいけないとのこと。0.5ミリのうろこ1枚でも取れたら味が落ちると言われる繊細な手仕事なのです。職人さんはこの作業を女将さんから教わりました。「従業員を我が子と思って仕込んできたけど、お客様が大事だから、製品に対しては手を抜かない」と話す女将さんは、20歳で「うおや」に嫁ぎ、64年もの間、塩引鮭の伝統を守るために奮闘してきました。若手の職人に常に伝えてきたのが、「お客様に食べてもらう以上妥協はしない」という「うおや」の信念。

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鮭のぬめりを取り終えたら、塩をすり込む作業へ。「うろこ一つひとつに入れる気持ちですり込めば、持ち上げても塩が落ちない」と女将さん。

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天然の粗塩で鮭から余分な水分を抜き、旨味を染み込ませる塩引き。防腐作用がある塩を傷みやすい目やえら、腹の中、骨の髄まで染み込むようすり込みます。指で腹の中の余分な塩を落とし、絶妙な塩梅に。「こういう塩を使った保存技術があるからこそ、日本全国で鮭が食べられるんですね」とダニさんが話すと、「ずっと村上にいてほしい(笑)」と女将さん。

1週間かけて塩を馴染ませ、一旦塩を落とし真水に15時間浸けます。こうすることで余分な塩分が抜けていき、程よい塩加減になるのです。水気をきり、乾きやすいように割り箸でお腹を広げ、尾から吊るします。お腹の幅は鮭の大きさによって異なるので、一匹ずつ、割り箸の長さを微調整しながら差し込む細やかな作業。ダニさんも10本の鮭を吊るしました。「北風で干すのが最高」と女将さんが1000年もの間受け継いできた旨味の秘訣を教えてくれました。

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北風が入るよう窓が取り払われた熟成室に移動します。「北風は冷たい。冷たい風で干すのが塩引き鮭の特徴」と女将さんが話すと、「北風の成分で発酵を促すんですね!」とすぐ理解したダニさん。女将さんは、「私、この人帰したくない。頭がいいしすぐ理解してくれる。旦那様と喧嘩したらニッポンに帰ってきなさい」と笑いを誘います。

日本海に面した村上市には、冬になると北西から冷たい潮風が吹きます。これが、塩引鮭に芳醇な旨味が生まれる秘訣。潮風によって運ばれる塩分と乳酸菌の絶妙な加減で鮭が発酵し、かつお節の2倍以上という旨味成分のグルタミン酸が生まれるのです。陰干しすること1週間。たっぷりと旨味を閉じ込めた塩引鮭が完成しました。

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ここでダニさんにサプライズ! 塩引鮭一匹から2つしか取れない希少部位「一鰭(いちびれ)」と呼ばれるカマの部分を特別にいただけることに。

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鮭が生まれた時から一生を終えるまで、絶えず動かし続ける一鰭は生命の象徴として崇拝され、昔から村上では、年越しに神様と家長しか食べることが許されない特別なもの。「今日はあなたがご主人様。1つ焼いて」。女将さんの真心がこもったおもてなしです。お店の奥にあるご自宅に上がらせていただくと、「うおや」の皆さんがダニさんの歓迎会を開いてくださいました。女将さんに促されて食べた一鰭のお味は?

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「別次元の味です。肉厚の身からジュワッと美味しい脂が出てきます」と箸が止まりません。この日は、一鰭以外に15品もの心づくしの料理を準備していただきました。

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その夜は、夢だったという和室に泊めていただきます。

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3日間に渡りお世話になったダニさん。上手に作れなかった三角おにぎりも特訓していただき、「川の鮭でも若ければ脂がある。模様が入るとおじいさん」と、鮭の目利きポイントも教えていただきました。産卵を迎えた鮭は、お腹に婚姻色と呼ばれる赤い模様が現れますが、この色が薄いほど、若くて脂がのっているそう。

うおやの皆さんともお別れ。「村上に来た目的は塩引鮭でしたが、鮭以上に学べたことがあると思います。それはうおやの皆さんのおもてなしや、鮭に対する尊敬と愛情です。また戻ってきます。色々なことを教えてくれてありがとうございます」と手紙を読み上げ、感謝の気持ちを伝えます。女将さんたちとの記念写真を貼り、日本語でお礼を書いた色紙も。

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お返しに大きな塩引鮭とカセットコンロの網焼きグリルをいただきました。

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あれから3年。ダニさんからのビデオレターを「うおや」の皆さんの元へ。

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「八惠子さんはお店ではみんなのお母さんのような存在で、私にとってもニッポンのお母さんだな〜と今でも思っているんですよ」と話すダニさんに、「アメリカの娘、可愛かったもん。顔も可愛いし、気持ちも日本人と同じだから」と嬉しそうな女将さん。帰国後はますます塩鮭愛が止まらなくなったようで、見せたいものがあるとキッチンへ。冷蔵庫から取り出したのは、市場で買った新鮮な鮭!

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「八惠子さんに教えてもらったように脂が多い天然のオスを選んでいます」とのこと。3年前は養殖サーモンの切り身を使っていましたが、「アメリカでも塩引鮭を作りたい」と、市場に毎日のように通い、ニッポンの白鮭同様、脂のりがよく濃厚な旨味を持つ天然もののオスを半身で購入。「塩も教わった通り粗塩にしています」と手作業で塩をすり込んでいきます。2日ほど寝かせて塩を染み込ませたら、バルコニーへ。少しでも村上の塩引鮭に近づけたいと、天候や温度を判断しながら熟成が進む北風の時に2日ほど外で干しているそう。それ以外は冷蔵庫で1週間寝かせています。

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これが1週間熟成させた鮭。旨味成分のグルタミン酸が格段に増え、色にも深みがあります。うおやの塩引鮭を真似て厚切りにし、ここで登場したのが「うおや」の皆さんからプレゼントしていただいたグリル。

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グリルのおかげで、旨味があふれ出る最高の焼き上がりに!

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「よ〜し! もう食べていいかい?」とご主人のイーモンさんがやって来ました。

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結婚前は、朝食といえばベーコンだったイーモンさんもすっかり鮭派になったそう。一番ハマっている食べ方は...なんとお茶漬け!

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「三食これでも飽きません」とイーモンさん。「旦那さん素敵だね。私もあんな男ならもういっぺん結婚する(笑)」と女将さん。

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実はダニさん、塩引鮭以外にも大きな変化が! 「食卓にある食器は、全て私が作ったものです」。

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「うおやさんで鮭や食事をいただいた時、食器もすごくこだわっていると思いました。料理ごとに器を変え、目で美味しく見せる和食の心に感動したんです」。一つの皿に様々な料理を盛り付けることが多いアメリカと違い、料理それぞれに合った器を用いる和食の奥深さに感動し、「うおやの皆さんから学んだ和食の心を広めたい」とガレージを改装して、和食器の製作を始めていました。今では和食レストランで使われるなど、月に10万円の売り上げがあるそう。

さらにもう一つ報告が! 「この番組のお陰で和食のレシピ本を出版することになったんです」。ニッポンで塩引鮭の製法を学んだことがきっかけで、アメリカで急成長している出版社「マンゴーパブリッシング」からレシピ本の執筆依頼が! 塩鮭をはじめ、和食のレシピをまとめた本が今年春に出版される予定です。

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一方「うおや」にもある大きな出来事が! 番組放送後、「うおや」の塩引鮭が全国の優れた名産品を表彰する「日本ギフト大賞」を受賞。テレビ取材も相次ぎ、昨年だけで7つも取材があったそう。

そして最後に、イーモンさんが赤ちゃんを連れてきました!

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生後1ヵ月半の女の子・ジゼルちゃんが登場! 「鮭は赤ちゃんに必要な栄養が豊富だから授乳中にはもってこいですよね! この子のためにもますます食べています」。鮭は脳の発達にいいとされるDHAなどの栄養素が多く含まれており、授乳中にぴったりな食材。

「八惠子さんと皆さんのおかげでニッポンでは家族のような素晴らしい絆ができました。前回皆さんと会ったのが2017年だから、4年で故郷の川に戻る鮭のように2021年に会いに行きますね!」。

ダニさんをニッポンにご招待したらレシピ本の出版が決まり、塩引鮭と和食の魅力をアメリカ中に広めていました!

2月1日(月)夜8時放送! 月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」は...。

新企画「ニッポン住んじゃった人応援団!」
海外に暮らしながらニッポンのあるものが好きすぎて来日し、そのまま住むことを決意した外国人の方たちを応援!

▼「左官技術を学び、世界に発信したい」アメリカ人女性
2003年に英語教師として来日した際に見た、ニッポンの土壁に魅了され、その虜に。2016年に再来日し、単身、京都の左官職人の世界へ!

「ニッポンにご招待したら人生が変わっちゃった!感謝のビデオレターが届いちゃいましたSP」

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▼本物のポン酢と柚子を学びたい!カナダ人男性。約2年前、ニッポンにご招待。これをきっかけに運命的な出会いが...!?そしてビデオレターと一緒に届いたポン酢を試食。果たしてその評価は?

どうぞお楽しみに!

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