コロナ禍で集まれない...遠くの親戚より近くの他人、子育ても介護も長屋のように助け合う「はっぴーの家」のいま:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。1月19日(火)の放送では、高齢化や人口減少など山積する日本の地域課題を、住まいから解決する取り組みを紹介。新型コロナウイルスによる逆風の中、続々と誕生するアイデアに迫る。

「アーケードハウス」で人を呼ぶ!シャッター商店街を救う秘策

新型コロナの影響で人々の生活が一変する中、「地域課題」が山積みの日本。しかし、そんな身近な問題を、住まいで解決する「課題解決型住宅」が次々と生まれている。

福岡県北九州市にある「寿通り」は戦後から商店街としてにぎわい、地元の人たちの生活を支えてきた。しかし近年は時代の波にのまれ、多くの商店街同様、シャッター通りと化していた。

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寿通りの惣菜店「コトブキッチン」。店主の福岡佐知子さんは、町おこしのイベントで寿通りに関わったことがきっかけで、3年前に店をオープン。今ではすっかり地域に馴染み、「寿通りがどうにか過ごしやすい、楽しいと思えるところにしたい」と願う。そんな福岡さんには、商店街を蘇らせるある秘策が。

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去年3月、福岡さんの想いに共感した一級建築士の田村晟一朗さんが訪れたのは、廃業した時計店。荒れ放題になっていた建物を隈なく調べる。実は福岡さんと田村さんは、この時計店など3店舗をぶち抜き、「アーケードハウス」として集合住宅に生まれ変わらせようとしていた。店を呼ぶのではなく、2階に住まいを作る。「人が戻れば店も増える」という逆転の発想だ。

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2人の熱意に周囲も賛同。建物の大家さんからも積極的な協力が得られることに。長くこの街を見守ってきた大家さんも「商店街をなんとかしたい」と考えていたのだ。強力なバックアップを得て、本格的な作業に入った田村さんは、古く傷んだ建物に悪戦苦闘しながらもプランを進める。

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ここまで順調だった計画は思わぬ事態に。去年4月には緊急事態宣言が発令され、計画は中断を余儀なくされる。時を同じくして、駅前の大型デパートが8月に撤退する知らせが...。しかし、街に暗雲が立ち込める中、なぜか寿通りに新店舗が続々オープン! 果たして、商店街にいったい何があったのか。前代未聞の「シャッター商店街住宅化計画」の行方は?

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ギブアンドテイクで助け合い!介護の人手不足も解消

高齢化社会と呼ばれて久しい日本。兵庫県神戸市長田区は、2025年には65歳以上の人口が35%になると言われるほど高齢化が顕著な街。日本有数の「都市型高齢化地域」とあり、住まいで問題を解決するユニークな取り組みが注目を集めている。

4年前にできた高齢者施設「はっぴーの家ろっけん」は、6階建ての2階から上でお年寄り32人が暮らしている。ところが1階へ降りると、親子連れや学生、外国人といった介護とは無縁の人々で大賑わい。コミュニティスペースとして近所の人の憩いの場となっていた。母親が買い物している間、入居者に子どもを見てもらう一方で、入居者の話し相手をしたり、資格が必要ない簡単な介助をする。そこには世代を超えた交流が生まれ、介護スタッフの負担軽減にも繋がっていた。

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「Happy」代表・首藤義敬さんがこの施設を作ったきっかけには、長田区の歴史が深く関わっている。かつては長屋が立ち並び、ご近所同士が支え合いながら暮らす典型的な下町だった。この地で生まれ育った首藤さんは、小学3年生の時、阪神・淡路大震災に見舞われる。未曾有の大災害を家族や近所の人たちと助け合って乗り越えた経験を持つ首藤さんが、人の繋がりを取り戻したいと作ったのが「はっぴーの家」だった。

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ここでは、介護の人手不足も無縁。旅の途中や家族の入居相談で訪れた若者が「ここで働きたい」と続々集まってくるのだ。みんなが楽しそうだから、働きたくなる。介護の常識を変えた運営方法には行政からも視察が殺到しており、「この街で子育てがしたい」と、「はっぴーの家」周辺には約20世帯が移住してきた。地域の活性化にも繋がっているのだ。

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そんな好循環にもコロナの足音は迫っていた。去年3月、全国の高齢者施設でクラスターが多発。「はっぴーの家」では感染者が出ていないものの、以前のように大勢で集まることはできない状況に。施設の売りを根底から揺るがす由々しき事態...それでも前を向く首藤さんは、コロナがきっかけで生まれた新しいプロジェクトに動き出していた。

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番組では、東京・下北沢の地域課題に挑む若者も紹介。「住まい」という視点から日本が抱える課題に挑む人々の姿を追った「ガイアの夜明け」は今晩10時から放送。どうぞお見逃しなく!

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