7月12日(金)スタートのドラマ24「Iターン」(毎週金曜 深夜0時12分放送)は、ムロツヨシ、古田新太のW主演で、福澤徹三の同名小説を映像化。45歳のサラリーマンが左遷同然の異動による単身赴任先で、会社員とヤクザの二重生活を送ることに。二人のヤクザに翻弄されながらも"I(自分)"を取り戻す姿をコミカルに描く。
次々にピンチに巻き込まれる主人公・狛江光雄を演じるムロツヨシさんをインタビュー。ドラマの見どころや、共演の古田新太さん、田中圭さんについて、そして誰よりも"ドラマ24"に出演経験があるからこそ感じる同枠の魅力と、知られざる事情(?)をうかがった。
伊丹十三作品のように......やりすぎが世界観にハマる
――今回演じる狛江は会社員とヤクザの二重生活という地獄のような日々を送ることになります。最初にオファーを受けた時の感想は?
「まず最初に原作を読みました。哀れだけど、なぜか憎めない主人公のお話。いろんなことに振り回されている狛江の姿は自分と重なるところもあったりして。痛快で楽しくて、とても読みやすい小説だと思いました。
加えて、内田(英治)監督の過去の作品を拝見して、この方が撮ったらどんな風になるんだろうという興味もありました」
――狛江を演じる際に、内田監督からリクエストされたことはありますか?
「『見ている方たちが思う"ムロさんっぽく"やってほしい』と言われました。その後の舵取りは内田監督がしてくださったので、結構好きにやっていたような気がします。
たまたまクランクインの前に伊丹十三監督の映画『タンポポ』を観たのですが、撮影が始まってすぐ、内田監督がボソっと『伊丹作品みたいにできたらいいなと思っているんです』とおっしゃったんですよ。不思議な縁を感じましたし、本作をどう撮るのかイメージも涌きました。
伊丹作品は、よく見るとみなさんの芝居が濃くて、中にはちょっとやりすぎかなという人もいて(笑)。でも、なぜか"伊丹ワールド"の中では、すごくリアリティーがある。そういう思いが内田監督と一致したのはうれしかったですね。
今回、僕が演じる狛江を含め、みんなやりすぎていると思います(笑)。ふざけて小声で芝居したところも使われていたりして。これは内田監督の脚本がしっかりしているからこそですが、不思議なぐらい作品の世界観にハマっていると思います」
――狛江という男は、どのように捉えていますか?
「最初は見ていてイライラすると思います。家族から距離を置かれ、会社からも見放され、誰からも期待されない。自分に対してあきらめてしまっているところがある男です。でも、そんな狛江がひょんなことからヤクザになったりして苦しい日々を送る中で、このままではいけない、自分を変えなきゃいけないと思い始めるんです。それに気付くことができるのは、素敵なこと。いくつになっても自分は変われる、変えなきゃいけないと思わせてくれるところが狛江の魅力だと思います」
――内田監督から「いつものムロさんっぽく」というリクエストがあったとのことですが、役作りはどのように?
「狛江は受身の役。みんなに振り回されても何も言い返せない男なんです。そういうことを踏まえた上でいろいろ考えた結果、"役作りはしない"ということになりました(笑)」
古田新太は殴りのプロ!? 田中圭は「いい顔しているな」
――狛江と、彼を振り回す二人のヤクザの親分の関係が見どころです。義理と人情を重んじる昔かたぎの組長・岩切猛を演じる古田新太さんの印象は?
「20年ぐらい前、僕が定員100人にも満たない小劇場でお芝居をやっていた頃から、古田さんは劇団☆新感線はもちろんのこと、野田秀樹さんの作品にも出演されている憧れの存在で。いつか古田さんのように大きな舞台に立ちたいと思っていました。
その古田さんと、今回『Iターン』という看板を一緒に背負わせていただくことになり、言葉では言い表せないような喜びでいっぱいです。20年前の自分に教えてあげたいと思いながら、毎日撮影現場にいました」
――そんな"憧れの人"古田さんと共演した感想は?
「古田さんは、誰かを褒めるような人ではないんです。でも、5、6年前、僕が舞台で大人計画の皆川猿時さんに何度もぶたれるシーンを見て、古田さんはゲラゲラ笑ったそうで、『普通、殴られるシーンは1回目は笑えても、2回目はかわいそうに見えるから笑えないけど、なぜがムロはかわいそうに見えない。何度でも笑えるのはすごいことだ』と褒めていただいて。
だから今回、狛江が岩切に殴られるシーンを追加してもらいました。内田監督は喜んで僕のアイデアを受け入れてくれましたし、古田さんも無言でうなずいていました(笑)」
――古田さんから殴られるシーンは痛かったですか?
「やっぱり古田さんは上手いんですよ、殴るのが(笑)。お芝居の上で『殴ることに迷いがない』と言っていました。迷いがないから、殴った時の音の出し方も素晴らしいんです。プロですね(笑)」
――そしてもう1人、インテリヤクザの組長・竜崎剣司役の田中圭さんとの共演はいかがでしたか?
「圭くんと本格的にお芝居をしたのは今回が初めて。本番中、近くで見て、『いい顔しているな』『いい声だな』と思っていました(笑)。竜崎はちょっとゆっくりめの芝居で、いい間でしゃべるんですよ。
岩切と竜崎は正反対のタイプで、岩切は思ったことを全て口に出すけど、竜崎は何を考えているのか分からない。狛江からすると、竜崎の方が怖かったんじゃないかと思います」
誰よりも"ドラマ24"を知る男が物申す!?
――前クールの「きのう何食べた?」も話題を呼んでいるテレビ東京の"ドラマ24"という枠について、どんなイメージを持っていますか?
「僕は、連ドラの初レギュラーが『2ndハウス』で、それから『Xenos - クセノス』、『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『アオイホノオ』など、"ドラマ24"に、おそらく一番出演している役者なんじゃないかなと思っています。
ドラマの枠としては、挑戦的。新しいことから生まれるものを信じる姿勢が素敵だなと思います。『Iターン』は全て撮影した後に放送で、『勇者ヨシヒコ』も同じでした。『勇者~』は、最初はみんな撮りながら『こんな作品誰が見るんだ?』『撮ったもん勝ちだ』と思っていましたからね(笑)。まさかあんなに話題になるとは、正直ビックリしました。だから『Iターン』も視聴者の方にどう受け止めていただけるのか、すごく楽しみです。
ただ、どの作品もスケジュールがキツイ(笑)。ひとつリクエストがあるとしたら、あと2週間ぐらい撮影スケジュールが増えると、いろいろ楽になるのかなと。よろしくお願いします(笑)」
ついに地獄の二重生活が幕を開ける!
ドラマ24「Iターン」は、7月12日(金)深夜0時12分スタート! 第1話では、左遷された崖っぷち会社員がヤクザの舎弟に!? 狛江光雄45歳! 仕事も私生活もピンチの連続! 曲者ぞろいの街で生き残れるか? 地獄の二重生活が幕を開ける!
第1話
広告代理店の営業マン・狛江光雄(ムロツヨシ)は、上司の怒りを買い、最果ての街に左遷され単身赴任することに!結果を出して本社に返り咲く為、たった2名の社員と共に貧弱支店の立て直しを図る。そんな中、新規の広告でありえないミスが...!その相手はこの街の二大ヤクザの一つ、竜崎組の会社だった!社長の竜崎(田中圭)に呼び出され大ピンチ!さらに、対立するヤクザ・岩切(古田新太)も怒鳴り込んできて絶体絶命!
【番組公式Twitter】@tx_Iturn
【番組公式ホームページ】https://www.tv-tokyo.co.jp/iturn/