「生きるとか死ぬとか父親とか」感動の最終話をプレイバック!

公開: 更新: テレ東プラス

【3行まとめ】
・ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」第12話をプレイバック!
・トキコはプロデューサーから「昼間の帯番組をやってもらえないか」という提案を受ける
・トキコは父・哲也と、亡くなった母の出刃包丁を研ぎに行き、珍しく哲也に仕事の悩みを相談する

「メッセージがひとつじゃないのがまた良いドラマだった。いつまでも子どもの、ちょっと大人なドラマ。時を経て見たら、また感じ方が変わるかもしれない」「本当にいいドラマだった! 吉田羊さんがハマり役でした」との声が続々。

「テレ東プラス」では、6月25日に最終回を迎えた、ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」第12話「生きるとか死ぬとか」の内容をプレイバックする。

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リスナーからのお悩み「今日は悩みというより、トッキーさんご自身について聞いてみたいと思い、メールしました。トッキーさんはこの番組で、すごくたくさんの人の相談に乗っていますが、他人の人生に影響を与えてしまうのは怖くないですか?
僕はそれが怖くて、相談することからもされることからも逃げてしまいます。本当は誰かに相談してみたいと思うこともあるのですが、怖さや恥ずかしさが先に立ってしまい、一歩を踏み出すことが出来ません。トッキーさんは、お悩み相談をやっていて不安や怖さみたいなものはないのでしょうか?」(ラジオネーム:アイスのクリーム抜き)

トキコ「わかるわかる。私もいつも、『これでいいのかな?』と思いながら答えてますよ。でもさ、世の中に数多ある相談コーナーの中からこの番組を選んでくれたなら、私で良いなら、その期待に答えたいなと思ってやってる感じ。あと、誰かに話を聞いてもらいたい時ってあるじゃん、悩んでると。自分以外の冷静な誰かに。メールを書いたり話をしたりするだけでも、頭の中でぐるぐる考えている時よりは冷静になれるし」

TBX東アナウンサー(田中みな実)「そうですね、客観性が持てますね」

トキコ「そうそう。誰かに話すと、本人が悩みだと思っていることとは別のところに問題の本質が潜んでたりするのが分かるんだよね。それは悩んでる本人じゃ分からないんだよ。やっぱりそのことに気づけるのは、自分じゃない他の誰かなんじゃないかな」

「じゃあ、他人に相談するのが一番効果的だと?」

トキコ「うーん一番かは分からないけど、解決の糸口は見つかると思うよ」

「そうかもしれませんね」

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「今日はここでお知らせが。なんと、トッキーさんの新刊が発売となりました。タイトルは、『生きるとか死ぬとか父親とか』という。今回はご自身のルーツというかファミリーヒストリーについて書かれていて。私も一足先に読ませていただいたんですけど」

トキコ「ありがとうございます」

「かなり壮絶な...」

トキコ「んなこともないんですけどね(笑)」

「お父さんも、もうお読みになったんですか?」

トキコ「いや、まだです。今度買い物に付き合ってくれと頼まれているので、その時に渡すつもりだけど。果たして読むかどうか...」

「えー! 読んでくれるんじゃないですか?」

トキコ「今まで一度も読んだことないですからね」

「えっ、一冊も!?」

トキコ「まぁ、本人いわくですけど」

ラジオの生放送を終えたトキコ。いつものように帰り支度をしていると、そこに番組プロデューサーの落合(笠島智)がやって来る。新刊を読んだという落合は、トキコから「今回は自分のために書いたようなところがあるので」と聞いて納得。改まってトキコに座るよう促す。

「実はですね、来期からトッキーさんにお昼の番組をやっていただけないかと考えていまして」

「えーっ、お昼? 何曜日ですか?」

「月曜...から金曜までの昼帯で」

突然の申し出に驚くトキコ。落合が言うには、内容はこれまで通り悩み相談が中心。しかし、今は週1回の放送だからこそ1つ1つの相談に向き合えていて、リスナーと良い関係が築けているのも夜の放送だからこそ。昼には昼の穏やかなムードがあり、自分と合うのかどうかは分からない...。落合は「大丈夫ですよ」と、そんなトキコの背中を押す。

「トッキーさんなら、たくさんの人の悩みに応えられるはずです。現に今の放送も、最初の頃は20〜30代の独身女性からの相談がほとんどでしたけど、最近は主婦層からの相談もどんどん増えてるじゃないですか」

「でも...私なんて、やっぱり夜な夜なクダ巻いてる方がお似合いだと思うんですよね」

「なに言ってるんですか! そのままのトッキーさんで、もっともっと幅広い層のお悩み相談に乗っていただきたいんです。ちょっと考えていただけませんか?」

「...はい」

買い物の約束の日。待ち合わせ場所には、紙袋を持った父・哲也(國村隼)が立っている。中身を聞くと、刃の部分を新聞紙で包んだ出刃包丁を取り出し、刃の部分を剥き出しにしながら「これを研ぎに出すの」と哲也。「昔、家で使ってたでしょ。覚えてない?」と言う哲也に、トキコは慌てて包丁を奪い、新聞紙で包み直す。

「お父さん、こんな包丁まだ持ってたんだね」

「今日はいくつか回りたい店があるから、これ持ったままだと大変だな。まず金物屋から行こうか」

そう言うとスタスタと歩き出し、トキコが紙袋を手に追いかける。金物屋に向かう途中、新築タワーマンションの看板を持った人からチラシを受け取った2人。見ると高額な部屋が並んでいて、しげしげと眺める。

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「この辺もそのうちタワーマンションだらけになるんだろうね」

「下町風情が良かったのにねぇ」

「宿命だね。遅かれ早かれ、東京はどこもかしこも同じような風景になってくんだよ」

「寂しいね」

老舗の金物屋に着いた2人。ガラスケースには様々な包丁や鋏などが綺麗に並んでいる。裁ち鋏のコーナーで足を止め、釘付けになるトキコ。

「これ! うちに同じのがあった」

不意に母の記憶が蘇る。プラスチックやビニールなど、裁ち鋏でなんでも切ってしまうトキコに、母は『布以外は切っちゃダメ! 切るものによって鋏を変えなさい』とよく怒ったものだ。そんな思い出話に「ママはそういうところ几帳面だったからな」と哲也も笑う。
あの裁ち鋏はどこにいったのだろう。あったとしても、ずいぶん錆び付いているに違いない。そんなことを思案していると、「見つかったらここに研ぎに出せば良い」と哲也。トキコは嬉しそうに頷くと、店員の女性に包丁を手渡す。2週間ほどで仕上がるとのことで、郵送してもらうことにした。しかし、配送先に哲也の住所を記入しようとすると、「お前のところでいいじゃない」と哲也。

「お前に渡すつもりで持ってきたの」

「あ、そう...」

自分の住所を書き始めるトキコ。その間、奥にいる職人が哲也に会釈し、六寸の出刃包丁を家庭で使っているのはいまどき珍しいと話し始める。

「うちの女房が愛用していた包丁でね。死んじゃったもんで、今日は娘を連れて砥ぎに出しに来たんですよ」

職人と店の女性の顔に同情の色が浮かび、感傷的な空気を打ち消すように、トキコが慌てて「母が死んだのは二十年前なんですけどね」と口を挟む。ポカンとする職人と女性に、トキコは話題を逸らそうと「こちらは創業から何年ですか?」と話を振る。
天明3年に創業したこの金物屋は、ざっと230年ほど店を構えているという。トキコは住所を記入した紙を女性に渡しながら、「この辺もずいぶん変わったんじゃないですか? タワーマンションなんかもどんどん建ってるみたいだし」と話す。

「せっかくの江戸情緒が失われていって、残念ですね」

「いえいえ。新しい方がどんどん増えて、むしろありがたいと思っております。これからもっと賑やかになるんじゃないですか。うちはそんな中、しっかり伝統を守ってやっていくだけですので」

哲也は感心した様子で聞いている。店を出て、江戸情緒あふれる路地を歩くトキコと哲也。

「意外だったな、金物屋のおかみさん。でも考えてみればそうだよね。地元で商売している人間にとっては、この土地の人口が増える方がいいに決まってるもんね。景観が変わることなんか二の次だよね」

「それだけじゃないだろうけどね」

「え?」

「あのおかみは大した商売人だよ。さすがに江戸時代から残ってきただけのことはあるな」

「どういうこと?」

「老舗のたくましさだよ、たくましさ」

哲也の言わんとすることが、いま一つ飲み込めないトキコ。噛み合わないまま、哲也はスタスタと歩いていく。いろいろ買い回った後、トンカツのお店で昼食をとることにした。トキコは、食欲旺盛にカツを頬張る父の姿を半ば呆れながらも感心して眺める。

「なんかお父さん、前よりも元気になったみたい」

「そう?」

「うん。文鳥飼い始めたくらいからかな」

「ピーコちゃん、可愛いからね。元気貰っているかもね。見る?」

そう言ってスマホを取り出し、撮りためた文鳥の写真を見せる哲也。

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写真からは文鳥を溺愛している様子が窺え、微笑むトキコ。しかし「お前は最近どうなの?」という哲也の問いに、思わず口ごもる。

「なんだよ。悩みがあるならお父さんに相談しなさい。お金のこと以外だったらなんでも相談に乗るよ」

そう言う哲也を一瞥し、トキコは食事を再開する。しかし再び箸を置き、「悩みってほどじゃないんだけど...」と口を開く。

「私のやってるラジオ、聞いたことないよね?」

「うん」

「これまで金曜の深夜に放送してたんだけど、平日の昼間にやってみないかって打診されたんだよね」

「時間帯が変わるってこと?」

「うん。でもそれだけじゃなくて、月曜から金曜まで毎日やってほしいって」

「結構な話じゃない」

「まあそうなんだけどさ。でも、金曜の夜だからこそ出来たことや培ってきたものがあると思うし、それが平日昼間に毎日やるとなると、薄まっちゃうんじゃないかって。それが気がかりなんだよね」

「ふーん」

「それに、金曜の深夜と平日の昼間だったら、聞いてくれる人たちも変わるわけでしょ? 正直ちょっとビビッてるんだよね」

「内容は変わるの?」

「ううん、同じ。お悩み相談」

「だったら大丈夫だよ」

「どうして?」

「さっきの金物屋のおかみを見習わなきゃ」

「えっ? どういうこと?」

「あのおかみは、タワーマンションなんかが建って周りがどんどん変わっていくからこそ、変わらない自分たちの店が一層目立つことがわかってるのさ。周りの変化が、あの店の風格を作ってるんだよ」

「ああ、そっか...」

「だから、同じことを手を抜かないでやってりゃ、商売は上手くいくってこと。お前の仕事だって、夜が昼に変わろうが、週一回が毎日に変わろうが、同じことやってればいいんだよ」

「さすがは元商売人だね」

そう感心するトキコに、「今は無一文だけどな」とおどける哲也。
移ろいゆくものの中で変わらずにいること...常に変化にさらされている場所だからこそ、変わらないでいることが輝いて見える。"老舗"と呼ばれる店の在り方は、確かに自分の身の振り方のヒントになるような気がした。

「いいもんだね、相談に乗ってもらうって。いつも相談される方だからさ。お父さん、悩みない?たまには相談に乗るよ」

「悩み? ないねぇ」

「そっか」

そう言って笑う2人だが、哲也は「はい、これ」とおもむろに白い封筒を取り出し、トキコに手渡す。その瞬間、トキコの脳裏に、賃貸マンションの契約書、借金の督促状や母の病院の紹介状など、人生の局面で渡されてきた様々な封筒がよぎる。封筒の中に書かれていたものとは...。

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