日本の問題はすべて「老害」。ひろゆき×藤野英人が”日本経済に足りないもの”を徹底討論

公開: 更新: テレ東プラス

日本経済が復活するには? ひろゆきと「レオス・キャピタルワークス」代表取締役 会長兼社長の藤野英人氏を迎えて徹底討論!

nikkeitvtokyo_20210629_01.jpg▲左から、藤野氏、ひろゆき、ピラメキパンダ

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コメンテーターは、成田悠輔(半熟仮想株式会社代表、イェール大学助教授)、100万円を元手に資産を7億に増やした井村俊哉(株式会社Zeppy代表取締役・投資家)。ゲストに西村博之(ひろゆき)、「レオス・キャピタルワークス」代表取締役 会長兼社長の藤野英人氏を迎えて、激論バトルをおくる。アシスタントを池谷実悠アナウンサーが担当。そしてなぜか普段はテレビ東京の倉庫で暮らしている「ピラメキパンダ」(テレビ東京所属 パンダ)も登場! リアルなビジネスマンの不安や悩み、ストレスを識者たちにぶちまける!

nikkeitvtokyo_20210629_02.jpg▲左から、井村、池谷アナ、成田、藤野氏、ひろゆき

#3のテーマは「日本経済は失敗!? 足りないものは何か?」。「テレ東プラス」では、激論の内容を紹介する。

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日本は新陳代謝が起きなかった。それは政府が買い支えをして、ゾンビ企業がそのままになってしまったから(藤野氏)

――今回の討論テーマは「日本経済に足りないものは何か?」。成田さん、なぜこのテーマなのでしょう?(池谷アナ 以下、池谷)

成田「井村さんが『日経平均が30年ぶりの高値だ』と大騒ぎしていたんですよね。それが何で嬉しいのか、僕みたいな素人には分からないので、ぜひ教えていただきたいなと」

井村「バブル期の高値はまだ超えてはいないんですけど、ニュースでも聞きませんか? 『日経平均3万円超えました』みたいな話。今、節目を超えてきているんです」

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池谷「藤野さんは、この恩恵を受けていらっしゃいますか?」

藤野「マーケットが下がるよりは上がる方が恩恵があるんですけど、ただ、僕はあまり日経平均の上げ下げというのは意識していなくて...。儲けるのに、日経平均の上昇とか下落って関係ないんですよね。それよりも、どの会社の業績が良くて伸びるのかということがすごく大事なので」

池谷「ひろゆきさんはいかがでしょう?」

ひろゆき「株価が上がっているということだけを指すのであれば、『全然経済問題ないんじゃない?』と見えるかもしれないですけど、日銀だったり年金だったりが買い上げまくっている結果でもあったりするので、『各企業がちゃんと利益を上げているの?』というところでいうと、どうなのかな? とは思ってます」

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井村「よく『公的な買いが入ってるからお化粧されてるんちゃうか』という話がありますけど、実際EPS(1株当たり利益)を稼いでるので、自分は『ちゃんと企業収益もついていった結果の株価だよ』と思ってますけど。藤野さんはどういう風に見ていますか?」

藤野「そんなにバブルでもないし、じゃあ評価されてないかというとそうでもなくて、わりと実態通り素のままかなと思っています。本当は、日経平均10万円あってもいいのに、政府の運営や日本の様々な問題があって、3万円の体たらくだというのが僕の意見なんですよ」

井村「本来は10万円であるべきだと?」

藤野「そのくらいになってもいいポテンシャルがあったのに、結局日本が3万円の不甲斐ない結果に落ちているとも言える。だから3万円が高いなんて全然思ってないんですけど、ただ実態で見ると、3万円がいいところなのかなと」

ひろゆき「実態は3万円で10万円になってもいいって、何を評価すると10万円になるんですか?」

藤野「今10万円の評価かというと全然違いますよ。でも、"正しい運営をしていれば10万円になることが出来た"、そういう話なんです。アメリカは、この10年間で3倍になっているわけですよね。ヨーロッパの方も2〜2.5倍になっている。日本の場合、この10年間でほとんどフラットじゃないですか。1990年と今を比べるとまだ下がっているので、高値も取れていないということになる。ちゃんと経済を運営していれば、もっと右肩上がりにできたと思うんです」

成田「経済の運営というのは、"株式市場"という特定の場所? それとも日本経済全体の話ですか?」

藤野「日本経済全体の話ですよね。日本人がもう少し、しっかり研究開発に投資をする。今ある現金をちゃんと使って設備投資をしたり、新しい経済に回す、ベンチャー企業を作る、そういう未来を作れた可能性があったと思うんですよ。そういうことを何もせずにただ貯金して、且つバブルの処理だけして、大企業はほとんど何もしていないと。ベンチャー企業は最近生まれたけど、ほとんど生まれなかったというところが問題だと思います。
だから逆のことをやれば、これから20年間という面で見ると、もっと成長する可能性は十分あるという風に僕は見ています。
ただし、この場合の成長というのは、日本人が何もしなくても上手くいくというものではなく、これから20年、頑張った人と頑張っていない人の差が出る社会になるんじゃないかという気がしています」

ひろゆき「研究開発に投資をして、優秀な人にはちゃんと給与を払ってというのは、多分20年前くらいから藤野さん以外の人もみんな言っていたと思うんですけど。それが変わってないというのであれば、今後5年、10年も変わらないんじゃないですか?」

藤野「いや、かなり変わると思っています。日本の大企業のほとんどが、結果的にいうと、東芝とか酷い状態になっているじゃないですか。一方、若いベンチャー企業は、日本の中でも出て来る可能性が高い。今後は、日本の産業構造や経済の中身が相当変わってくると。最大の日本の問題は何かというと、全て"老害"だと思うんですよ」

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藤野「もっと言うと、サラリーマン経営ですね。日本の大企業の経営者は、ほぼサラリーマン。
3月に、『ディー・エヌ・エー(DeNA)』の創業者である南場智子さんが経団連の副会長になりましたが、それまではほとんど創業者の人が入ってくることはなくて、全員サラリーマンなんです。サラリーマンで男性で65歳以上で転職経験ゼロの人たちが、この何十年間ずっと日本の指導者だったわけですよ。これがすごい問題だと思っています。
日本の大企業は、新卒から入って頑張って頑張って出世して社長になる。社長になった時が、その人の最大の見せ場なわけですよね。本当は、"社長になってから会社の業績をどれだけ伸ばしたか?"というところが大事。でも多くの人にとっては、社長になった瞬間が成功になってしまい、あとは消化試合。そうなると、日本の会社、特に大企業の場合、ほとんど消化試合をやっているということになる」

井村「リスクを取らないということですね」

藤野「消化試合で何をするのかというと、貯めたキャッシュで設備投資をする。失敗したら社長の責任になりますが、成功して株が上がったり業績が上がったとしても、社長の給料は倍にならないし資産も増えない。そうなった時に何をするかというと、"選択と集中"という名のサボりをするんですよ。"選択と集中"って、みんな良い言葉だと思ってるんだけど、つまりはサボりなんですよ。ビジネスポートフォリオの中で、上手くいってないところから上手くいってるところに人をシフトすることだけをやって、その他の領域に投資をしない。だからずっとキャッシュが積み上がっていく。日本のマクロ経済的に言うと、それがこの30年間ずっと起きてきた」

井村「ひろゆきさんのご指摘通り、そこに変化が見られないのであれば、結局日本株は買えないんじゃないか? ということになりますが、今、何かが起きてるということですか?」

藤野「日本全体がオワコンかっていうと、ある程度イエスで、オワコンの会社が日本の上位の会社にビッシリいるというのは確か。上場している3600の会社の上位陣を、巨大企業のオワコン会社が占めているんだけど、3300か3400社くらいの会社は株価が上がってるし、めちゃくちゃ成長している。日本の中には、こういう2つのグループがある」

ひろゆき「僕はそれも含めて、日本があんまり成長しないと思ってるんですけど。新しい利益率の高いベンチャーって、大手企業が持っている資産や人を上手く利用し、解体してさらに成長するわけじゃないですか。でも日本の場合は、大企業のオワコン化してるところがずっとそのままで、やらかしたとしても株価が下がって、まだ普通に大企業として君臨しています。なので、新しい企業が、ネットワークや人材を使えないままです...という構造が変わってないと思うんですよ。
それが使えるアメリカの方が経済成長率は高いので、『じゃあ日本に投資するよりアメリカに投資する方が良くない?』という構造自体は変わってないんじゃないかと思う」

藤野「その意見には相違ないんですよ。実際に今までダメだったということで。ただ、『これからの未来はだいぶ変わりそうだ』ということを僕は感じている」

ひろゆき「民間の元気のいい小さな会社がどんどん増えてきてるよねって、それはアメリカもヨーロッパも一緒じゃないですか。そこで大企業の壁にぶつかった時、大企業が崩れてくれるのかくれないのか...。大企業が崩れた例でいくと、傾いちゃったSHARPが台湾に買われたくらいで、NECも傾いてますけどそのままだし、東芝もそのままじゃないですか」

藤野「でも、SHARPが外資系に買われたのは良いことじゃないですかね」

ひろゆき「そうそう。なので、本来であればもっと前に買われているはずなのに、日銀だったり年金が株価の買い支えをしているせいで、大企業が買われないまま維持されちゃっている。新陳代謝が上手くいっていないと思うんですよ」

藤野「それは完全に賛成。日本がなぜダメなのかというところでいうと、その新陳代謝が起きなかった。それは政府が買い支えをしていて、ゾンビ企業がそのままになっていたっていうのはその通り」

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