「WBS」角谷暁子フィールドキャスターのルーティンは?「悔しさから涙が出てしまったことも...」

公開: 更新: テレ東プラス

コロナ禍で大きく揺れ動く世界経済。「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(毎週月~木曜夜10時、毎週金曜夜11時)では、企業や政治、社会、そして私たちの日常はどこへ向かっていくのか...仕事や生活に役立つリアルタイムの経済ニュースを、豊富なデータとわかりやすい解説でお届け。暮らしとビジネスの明日を読み解く「22時の経済ライブ」として放送しています。

「テレ東プラス」は、2021年春から「WBS」のフィールドキャスターを務めている角谷暁子アナウンサーを直撃。フィールドキャスターに就任しての感想や日々のルーティン、学生時代の知られざる秘話まで、話を聞きました。

wbs_20210616_01.jpg

価格変動でお店の方が"どうしよう"と悩んでいる...その事実を視聴者の皆さんに知っていただくことは本当に大切なのだと実感しました

――角谷さんは、入社以来3年半に渡って「Newsモーニングサテライト」(毎週月~金曜朝5時45分)を担当。今年の春に番組を卒業し、現在はフィールドキャスターとして「WBS」に出演しています。1日の流れもずいぶん変わったと思いますが、生活にはもう慣れましたか?

「そうですね。『モーサテ』の時は、深夜から朝まで仕事をして、帰宅できる日は昼や夕方に帰ってという生活を送っていましたが、今は、朝、普通の時間に起き、午前中から取材に出て、夜の放送となるので、1日が長くなったような気がしますし、情報収集や勉強に使える時間が増えたように感じます」

――「WBS」の取材は、前日や当日に決まることがあるそうですね。

「はい、だいたいがそのような感じです。実は番組に就く際、そこに不安を感じていて"前日や当日に取材が決まるって、いったいどうやって勉強しておけばいいのだろう"と思っていました。実際番組を担当して2カ月が過ぎましたが、『モーサテ』の場合、専門的なマーケットの知識が必要になることが多かったのですが、『WBS』は、例えばスーパーやお店など、"ごく身近な日常の中で感じられる経済の動き"を取材しに行く機会が多いので、"あまりガリガリと机の上で勉強するものではないのかもしれない"と、ようやく感じ始めたところです。事前に勉強して臨むというよりは、日々のニュースにアンテナを張ることの方が大事だと思うようになりました。

ただ、私の中で身近なものへのアンテナがまるで張り巡らされていなくて(笑)。例えば"油や玉子の値段がこんなに上がっている"など、暮らしの中でのお金の動きに無頓着でよく分かっていない部分がありました。『WBS』での初取材は、"街角物価総点検"ということで、商店街に伺いました。生活に根づいた質問をしたいところですが、あまり上手くできなかったので、今後はもっと身近なものに関心を寄せて、そこから"この裏にはどんな経済の動きがあるのか"を読み取る力を養いたいと思っています」

――商店街を取材する中で、何か感じたことはありましたか?

「例えば、"油の値段が値上がりした"ことを知っている前提で取材するのではなく、『最近何か困っていることありますか? お店をやっていく中で、気になっていることありますか?』という聞き方をすると、店主の皆さんの本音=一番困っている問題が浮き彫りになるということがわかりました。
特に店主の方が『油の価格が上がると、揚げ物を作る時に油をたくさん使うので困る。でも、コロッケ1個値上げすると、お客さんから"油の価格が値上がりしている"という事実が見えていない場合があるので、お店にとって値上げをするのは苦しいことなんだ』と仰っていたのが印象的で...。だからこそ、目に見えないものの価格変動で、お店の皆さんが"どうしよう"と悩んでいる...その事実を『WBS』を通じて視聴者の皆さんに知っていただくことは本当に大切なのだと実感しました。とても印象的な取材でした」

wbs_20210616_02.jpg
――フィールドキャスターを務めるにあたり、角谷さんはどのような媒体から情報を得ているのでしょう。

「朝はロイターやBloombergなど海外のサイトでニュースをチェックし、ネットサーフィンでマーケット関連のニュースを確認して、日本経済新聞の電子版に目を通すようにしています。そこからさらに気になるニュースがあれば、電子版でワード検索し、関連ニュースを見て、"こういうことなんだ"と確認するようにしています。
入社一年目は、右も左もわからない状態だったので、情報収集の仕方も、すべて佐々木明子キャスターに教えていただきました。『欧米の動きがいち早く分かるから、ロイターやBloombergを見た方がいい』と教えていただいて...。でも最初は、用語が難しくてさっぱり分かりませんでした(笑)。でも毎日続けていくうちに、本当に少しずつですけど、ニュースの繋がりや『数年前にこれがあったから、今こうなってるんだ』というようなことが分かるようになってきて、入社5年目に入り、やっと"面白いな"と思い始めたところです」

――「WBS」の大江麻理子キャスター、佐々木明子キャスターから学ぶことも多いのでしょうか。

「佐々木キャスターは場の雰囲気を明るくしてくださいますし、みんなが働きやすい環境を作ろうとしてくださるので、新人の頃から"素敵だな"と思っていました。私が入社1〜2年くらいの時、初歩的な原稿の読み方で悩んでいた時期があり、番組が終わった後、佐々木キャスターに相談をした際、悔しくて涙が出てしまったことがあったんです。その時『報道フロアにはみんながいるし、ここで泣いてしまうと、何かあっても指摘してもらえなくなってしまうよ。"言ったら泣いちゃう"と思われたら、いいアドバイスをもらえなくなるから、それはすごくもったいないこと』と言っていただいて...。そこから私の中で、仕事に臨む姿勢が変わったような気がします。

大江キャスターは憧れの存在で、ニュース一つひとつに対して真摯に向き合っていらっしゃる、人の心を大切にしていらっしゃる方だなと思いました。ニュースを通じて、それで困っている人がいる、その人々がどんな気持ちでいるかということを心から考えると同時に、いざ伝える時は決して感情的にならず冷静に伝えていらっしゃる。そういう姿勢がすごく素敵だなと思っています」

夢が出来たら、そこに至るまでに何が必要なのかを冷静に考え、逆算して身につけていく努力が必要なのかなと思います

――角谷さんが報道キャスターを目指したきっかけは?

「小学校の卒業文集に『将来はキャスターになって、いろんな分野のプロフェッショナルの人にインタビューしたい』と書いていました。子どもの頃から本が好きだったので、"キャスターかアナウンサーになって作家の方の話を聞きたい"と思っていたのです。特に山崎豊子さんの小説が好きで、お話の中で出てくる記者や新聞社に憧れたのが最初だったような気がします。
中学生になると、将来はマスコミ方面に進みたいと思うようになり、大学ではメディア・コミュニケーション研究所に入りました。先輩でアナウンサーになっている方が多く、"私もアナウンサーになって絶対報道に携わりたい"と思ったので、就職活動の時は、アナウンサー職と報道記者の両方を受けました。

入社当時はとにかく必死でした。特に『モーサテ』の皆さんとの会話では、普段からマーケット用語が飛び交うので、ポカンとしている自分が情けなくて恥ずかしくて...。"頑張って、早く知識を身につけなくては。先輩方をがっかりさせてはいけない"という気持ちでいっぱいでした。
でも、同じく新社会人になった友人から『テレビ東京の経済番組が会社で新入社員に向けた課題になる時がある。番組を見てレポートをまとめることもあるよ』と言われることがあり、自分が担当している番組が、新社会人の皆さんの経済リテラシーを高めるきっかけや入口になっているのだと知り、勇気をもらいました」

wbs_20210616_03.jpg▲昭和20年代から続く喫茶店「ラドリオ」(東京・神保町)にて。本と昭和のレトロ感が好きだという。

――「テレ東BIZ」では、MCとして「角谷暁子の『カドが立つほど伺います』」を担当しています。この番組は、「日経プラス9サタデー ニュースの疑問」のスピンオフ企画。日経ビジネス編集委員・山川龍雄さんと共に、ゲストに時事問題を直撃する番組ですが、スタートから1年を迎えて手応えなど感じていますか?

「この番組は台本がないので本当に大変です。実は明日収録がありますが、今日の16時からの会議で題材とゲストが決まり、出社する明日の午前4時までに勉強しておかなければなりません。構成や質問も自分で考えなければならないので、最初は本当にとんでもなくて(笑)。緊張して、滝のような汗をかきながらやっていました。でもこのようなチャンスをいただけたからこそ、自分の成長スピードを高められたような気がしています」

wbs_20210616_04.jpg
――「テレ東BIZ」では、テレビ東京の経済番組はもちろん、オリジナル番組やキャスターの皆さんの連載など、豊富なコンテンツに触れることができます。

「そうですね。キャスターごとに見ることもできますし、気になるニュースをワード検索すると、関連した動画がたくさん出てきます。短尺なものが多いので、ビジネスマンの皆さんも、短時間で情報を得ることができると思います。2012年から9年分の動画が揃っているので、最新のニュースから古いニュースまで辿ることができるのも面白いですね。一つのニュースがどういう経緯でそこに至っているのか...非常にわかりやすいので、私も『WBS』の取材に行く際、ワード検索をして情報を得ることが多いです。
ビジネスの現場でも、事前学習しておくと会話の一つになりますし、時系列でそれだけ長くニュースを見てきたというアピールにもなるのではないでしょうか」

――角谷さんのように夢を叶えるためには、何が必要だと考えますか?

「まだまだ修行の身ではありますが、夢が出来たら、まずはそこに至るまでに何が必要なのかを冷静に考え、逆算して身につけていく努力が必要なのかなと思います。私は、何事においても準備をしてから臨みたいタイプ。いろんな場面で慌ててしまうのが嫌で、心配性なので、すべてにおいて逆算して準備してしまうところがあります。でも当然ながら、それが計算どおり上手くいかないこともあって...。
ただ、なかなか希望のポジションに就けなくても、後々それが自分にとってプラスになっているなと感じることも多々あります。なので、例え上手くいかなくても、あまり思い詰めない気持ちの強さも必要なのかなと、社会人になって気づかされました」

――努力家な角谷さんですが、「学生時代にもっとこれをしておけば良かった!」と思うことはありますか?

「大学の講義はもっともっと大切にしておけば良かったなと思います。現場で"大学でなんとなく聞いたことがある。あの時もっと真剣に向き合っておけば良かった"と後悔する瞬間がたくさんあって(笑)。
でも、やはりテレビはすごく使える勉強の材料だと思いますし、特に報道・経済番組は、知りたい情報がギュッと詰まっているので、学生の皆さんにはぜひテレビを見ていただきたいです。特にテレビ東京は、それに適した番組作りをしていると思っています」

――最後に、同じくフィールドキャスターを担当している田中瞳アナウンサーにメッセージをお願いします!

「田中アナウンサーは、ほんわかしていて可愛らしいだけではなく、芯の強さも持っているので、その分自分に厳しいのではないかな? と思っています。それが苦しくならないように...魅力にあふれているので、持ち味を活かして、慌てず自分のペースで進んで欲しいなと思います。田中アナが持っている雰囲気は周囲を和ませますし、私も田中アナの存在が刺激になり、"頑張ろう!"と思えるので、必ずOAも見ています。曜日やサイクルが違うのでなかなか会えませんが、きっと同じような悩みを抱えているんじゃないかな? と。一緒に頑張って乗り越えていきましょう」

――角谷アナウンサー、ありがとうございました!

有料会員数約10万人の「テレビ東京ビジネスオンデマンド」と、YouTubeチャンネル登録者数約100万人のニュースサイト「テレ東NEWS」が統合し、日本最大級の経済動画サービス「テレ東BIZ」が2021年4月に誕生!

「ワールドビジネスサテライト」「Newsモーニングサテライト」「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」などテレビ東京の人気経済番組を始め、放送では見ることができない未公開動画やオリジナルコンテンツ、イベント動画など、2012年から9年分の動画5万本がぎっしり詰まっています。

無料動画も充実! 番組キャスターやコメンテーター、テレ東の名物記者たちの連載も続々スタートし、ニュースの背景をもっと知りたいあなたに深掘り解説をお届けします。

機能では、倍速、バックグラウンド再生、フォロー機能、ミニプレーヤーなど便利な機能で、いつでも、どこでも、最新の経済情報をチェックでき、忙しいあなたをサポートします。

PICK UP