「切り絵」に魅了されたブルガリア人女性が番組史上最大の進化!さらに、壮大な新たな目標も!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、ニッポンの伝統芸術を愛する外国人の方を紹介する「ニッポンの文化に魅了された外国人SP」をお届けします。

盆石憧れの聖地! 京都・龍安寺の石庭を見て、思わず涙...

紹介するのは、アメリカ・オレゴン州、ポートランドに住むハーバートさん。

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ハーバートさんが魅了されたニッポンの文化は、「盆石(ぼんせき)」。お盆の上に自然の風景を描く伝統芸術です。

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今から400年以上前、庭師が庭の設計図として作ったものが始まりといわれ、江戸時代に多くの流派が誕生しました。

ハーバートさんは、32年前、英語教師として赴任した青森で盆石と出会い、師範に弟子入り。その後16年に渡って細川流盆石を学び、細川流盆石史上初の外国人師範となりました。

使用するのは、中国地方でとれる「備後砂」。専用の箱で9種類の大きさに分けられています。
へら、羽、ほうき、丸さじなどの道具を使って黒いお盆の上に乗せた備後砂を動かし、白い砂と石だけで川の流れを表現します。さらに、羽根を使って山を描き、砂をふるいにかけて雲を表現。大き目の石を置いて海岸線を際立たせます。月や水面に反射する月の光までも捉えた盆石が完成するまでにかかった時間は、わずか20分。

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素晴らしい作品ですが、作り終えると羽根で消してしまいます。使った砂は、目の粗さが異なるふるいにかけ、再び箱へ。もったいなくないかと尋ねると、「昔はもったいないと思っていたけど、今はこれを消すと、人が"あー!"と驚くのが楽しい。人の命は短い。作品の命も短い。そのはかなさが盆石の一番の魅力です」と話してくれました。

「ニッポンで学んだ盆石をアメリカで広めたい」と、年に数回、石や鉱石の展示会で盆石を教えているハーバートさんには、「東京の細川流盆石や京都の龍安寺で盆石を披露したい」という夢がありました。
そんなハーバートさんを、4年5ヵ月前、ニッポンにご招待!

向かったのは、大阪で開催されている細川流盆石の展覧会。室町時代、足利義政が茶道と共に確立した盆石は、江戸時代に入ると9つの流派に別れました。中でも最大の流派が、織田信長に仕えた細川幽斎により完成した細川流。

全国各地にいる師範の作品はどれも見応えがある作品ばかりで、ハーバートさんも大興奮。中でも圧巻だったのは家元の作品。

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「これはすごい! 陰影のつけ方が繊細ですね。幾つもの陰影を再現することは盆石で一番難しい技のひとつですよね」。連なる山々を陰影だけで見事に表現しています。「バスケットボールの選手に例えるなら、私が高校生レベルで、家元はNBAのマイケルジョーダンでしょうね」。

江戸時代から400年以上続く、細川流盆石 家元の勝野功子さんは、盆石を皇族の方々の前で披露したことも。ハーバートさんにとっては雲の上の存在です。

ここでウェルカムサプライズ! なんと、家元が会いに来てくださいました。
12年ぶりの再会...2人は喜びを分かち合います。ハーバートさんが先ほど見た家元の作品について質問すると、次期家元にも見せたことがないという技を特別に披露してくださり、家元が自らカットした石庭専用の白鳥の羽根までプレゼントしてくださいました。

さらにハーバートさんは、どうしても行きたかった島根県の「足立美術館」と京都の龍安寺へ。

「足立美術館」は、アメリカの専門誌で、14年連続総合1位(2017年時)を獲得した絶景の庭を持つ美術館。東京ドーム3.5個分、5万坪の枯山水庭があります。

龍安寺は、盆石を愛する人たちにとって神聖な場所。龍安寺の石庭は、およそ500年前に完成。庭を作る前に砂と石で立体の設計図を作ったそうで、それが盆石の始まりといわれています。盆石を志す人にとって、一度は訪れてみたい憧れの場所なのです。
石庭を静かに味わっていると、なんと雪が! 感無量のハーバートさん、唇を震わせ、涙ぐみます。

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帰国を前にハーバートさんは、「今回改めて日本の美しさを学びました。家元に教えていただいたことももっと練習して、アメリカで盆石を広めたいです。新たな気持ちで盆石を勉強したいと思いました。やっぱり私はニッポンが大好きなようです」と、熱い思いを語ってくれました。

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