作りへのこだわりが愛着を生む...「ユカイ工学」青木俊介さんが注目する最新プロダクト

公開: 更新: テレ東プラス

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2021年6月12日、13日にビジネスカンファレンス「Reversible World 2021~世界を変える挑戦者たち~Great Impact Award」が開催されます。
テーマは「新しい世界の次のスタンダードが集まる場」。優れた起業家と優れた製品・サービスを一般投票と審査員投票で表彰するアワードを中心に、様々なセッションを行います。

今回は優れた製品・プロダクトを表彰する「Great Product 30」にちなみ、審査員を務めた「ユカイ工学株式会社」CEO・ 青木俊介さんに「思い入れのある製品・プロダクト」や「注目しているノミネート作品」についてお話を伺いました。

【青木俊介 プロフィール】
「ユカイ工学株式会社」CEO。東京大学在学中に「チームラボ」を設立、CTOに就任。その後、「ピクシブ」のCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンのもと、家庭向けロボット製品を数多く手がける。2015年よりグッドデザイン賞審査委員。2021年より武蔵野美術大学教授。 家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO」、共感するファミリーロボット「BOCCO emo」、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」、小さなしっぽクッション「Petit Qoobo」エデュケーションシリーズkurikit「ユカイな生きものロボットキット」などを発表。

大学時代の相棒は「VAIO505」

――これまで青木さんがお使いになってきたプロダクトで、最も思い入れのある製品はなんでしょうか。

青木VAIO505です。20年ほど前、大学生の時に使っていました。今でもオフィスに飾っています。

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――ちょうど青木さんが起業された頃ですね。なぜこの製品に思い入れがあるのでしょうか。

青木:20年前のものなのに、今でも通用する洗練されたデザインですよね。それまでは大きなデスクトップを使っていたので、それを鞄に入れて気軽に持ち歩けるというのは衝撃でした。VAIOはスペックとデザインが両立されている最初のラップトップだったのではないでしょうか。

それまで、パソコンには計算用途のイメージがありましたが、VAIOには「パソコンはクリエイターのツールである」というブランドメッセージが込められていて、それに共感しましたね。「VAIO」のVはVisual、AはAudioを意味しています。SONYがオーディオメーカーという立場で、パソコンを開発したのです。だから、映像編集や音楽編集ソフトが入った状態で出荷されていたんです。

――青木さんは、VAIOをどんな風に使っていましたか?

青木:学校のレポートを書いたり、当時勉強し始めたプログラミングをしたり。ホームページの制作のアルバイトもしていたので、デザインを覚えたりもしました。まさに相棒でしたね。

――相棒のお気に入りポイントはどこでしょうか?

青木:筐体がマグネシウム合金で作られていて高級感があるのに、軽いところです。スティーブ・ジョブズもVAIOのデザインに感動し、VAIOにMacを移植してSONYにプレゼンしにきたという伝説があるくらい革新的なデザインだったんです。

コードレスがポイント! おうち時間を楽しめる「ポップインアラジン」

――ご自宅ではどんな製品をお使いですか?

青木:「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」を寝室の照明に取り付けて、NetflixやYouTubeを楽しんでいます。

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――天井に取り付けて壁に投影できるプロジェクターですね。

青木:初期モデルが出てから1年後にはもう2号機が出て、筐体がコンパクトになったり、音質が良くなったりと、かなり洗練されました。

実は、Nintendo SwitchやPlayStationなどを、popIn Aladdinと接続できるAladdin Connectorが今夏発売予定なんですよ。開発のお手伝いをしていたので、宣伝みたいになってしまいますが(笑)。

――ゲームも楽しめるようになるんですね! 開発にも携わった立場から、popIn Aladdinの面白い点を教えてください。

青木:天井に付いている家庭用の引掛シーリングがあれば設置でき、電源ケーブルが不要なところですね。コードが邪魔にならない点がすごく理にかなっています。海外では、照明器具にアダプタが付いているタイプはあまりないので、日本ならではの発想だと思います。ありそうでなかった製品です。

――青木さんは、どんな楽しみ方をされていますか?

青木:寝っ転がりながらNetflixを見ています(笑)。
最近Netflixでハマったのは、漫画が原作の実写ドラマ「今際の国のアリス」ですね。世界観が丁寧に作りこまれていて、ぐっと引き込まれました。これはぜひ皆さんに見ていただきたい。

未来における「当たり前」を作ったGalaxy Fold

――青木さんがこれから来ると思われるプロダクトについて教えてください。

青木:難しい質問ですね...。SamsungのGalaxy Foldという折りたたみ型のスマートフォンでしょうか。最初は、画面が折りたためる技術があるから「とりあえず作ってみた製品」だと高をくくっていたのですが...レベルが違いましたね。

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――どんなふうに予想を裏切られたのでしょうか。

青木:未来における「当たり前」を作ったのではないでしょうか。
折りたたんでいるものを開いて使うって、手帳をポケットから取り出して開くとか、文庫本を開いて読むとか、昔から人類がやってきた動作ですよね。この製品の作りはものすごく理にかなってるんですよね。

手帳も文庫本もスマートフォンも小さすぎると読めないし、指で操作しづらくなってしまう。そう考えると、この先数十年経ってもスマートフォンはこれ以上小さくなることはないでしょう。しかし、Galaxy Foldのように折りたためる液晶を利用することで、ポケットに入れる時はコンパクトに、使う時は大きく広げて使えます。

――「折りたたみ式」と聞くと、なんだか昔に戻ったようなイメージがありますが、青木さんがおっしゃるには"進化"だということでしょうか。

青木:人間の体に接するものって、あんまりデザインが変わらないんですよ。パソコンのデザインは全然変わらないし、いまだに我々は靴紐のある靴を履いているじゃないですか。
道具に関していえば、人間は保守的。スマートフォンも今のデザインが定着しているので、ほとんど変わらないでしょう。そんな中で、Galaxy Foldは馴染み深い動作性を取り入れて新しい形を提案したすごい製品だと思います。

――道具はオーソドックスな形に帰着するということですね。

青木:それに、Galaxy Foldは金属のパーツを使っていて信頼感や高級感があります。スマホを開いたときの「カチッ」と止まる感覚も気持ちよく設計されています。

「どこでも綺麗な水」を提供する「WOSH」に注目

――「Reversible World 2021 ~世界を変える挑戦者たち~ Great Impact Award」ノミネート作品の中で、青木さんが最も評価されているのが「WOSH」ですね。水道のない場所にも設置できる手洗いスタンドですが、どの点を評価されたのでしょうか。

青木:「WOSH」の面白い点は、フィルター自体を新しく開発したわけではなく、既製品のフィルターをいくつも組み合わせて、ソフトウェアで制御した点です。1つひとつのフィルターの汚れをセンサーで感知することで、今までの浄水器に比べて、効率よく長く使えるというイノベーションを起こしました。

被災地やインフラが整っていない地域で綺麗な水を提供できるという価値は、ものすごく高いです。特に海外でニーズがあるだろうと思っています。

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――まさに、イベントタイトルの通り「世界を変える」プロダクトになりそうですね。

青木:そう思います。ノミネート作品の中には、日本だけでなく世界から評価されている作品も多いので、ぜひ皆さんにも注目していただきたいです。

■イベント概要
【タイトル】Reversible World 2021 世界を変える挑戦者たち -Great Impact Award-
【開催日時】2021年6月12日(土)・13日(日)
【公式サイト】
【会場】オンライン配信 詳しくは公式サイトをご覧ください
【主催】株式会社テレビ東京 株式会社テレビ東京コミュニケーションズ プロトスター株式会社
【参加費用】 無料

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