日米で新車販売が大幅増 広がる”クルマショック”

公開: 更新: テレ東プラス

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※5月の日本の新車販売台数は1年前に比べて大幅に増加した。

今、日本とアメリカで車が売れています。5月の日本の新車販売台数は1年前に比べて大幅に増えました。新型コロナで落ち込んだ昨年からの回復が鮮明となりましたが、実は"クルマショック"ともいえる事態が起きています。

日本自動車工業会の豊田章男会長は、3日の会見で新車販売の状況について「企業や業界の垣根を越えて頑張り続けた結果、20年度の自動車販売、生産は想定よりも早く回復し、自動車産業は49兆円の経済波及効果を生み出すことができた」と好調ぶりを語りました。

5月の新車販売台数は31万9318台と1年前に比べて46.3%の増加。さらに、アメリカでもトヨタを筆頭に、日本の大手自動車4社は42.6%の増加と、日米両市場で好調ぶりが目立っています。

好調な新車販売ですが、その余波も出ています。

千葉・野田市にある「USS東京会場」。広い敷地内にずらりと並んだ車は約1万3000台。全て中古車で、オークションにかけられます。古い型のスカイラインや、フェラーリなど国産車から外国車までたくさんの種類の中古車が並びます。

この会場では、毎週木曜日にオークションが開かれています。参加するのは中古車販売の業者で、参加者は約3000人。モニターに映し出された中古車が次々に買い取られていきます。

中古車販売業者に話を聞くと「公共の交通機関を使わない人が多くなって、中古車を買う人が増えた」「車によっては5万〜10万円。場合によっては20万円ぐらい上がっている」と中古車市場の変化を語ります。

実際、USSによると、中古車の平均落札価格は、去年の6月から11ヵ月連続で1年前の同じ月を上回っています。

USSの三上正裕東京会場長はその理由について「今、新車は半導体不足による生産の遅れなどでだいたい半年ほど、場合によっては1年ほど納期がかかると聞いている。ただ中古車については、購入手続きが終了すればすぐに納車ができる。今後についても新車の供給がままならない状況であれば、中古車の高騰は続くのではないか」と話します。

中古車需要が高まる背景には、コロナ禍の影響で移動手段が見直されたことや、世界的な半導体の不足によって、新車生産が追いつかないという実態がありました。

アメリカでも中古車価格が上昇

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※アメリカでも中古車の価格が上昇している。

同じ現象は、自動車大国アメリカでも起きています。

フィラデルフィア郊外のディーラー「デービッド・オート」ではジープなどで知られる欧米の大手メーカー「ステランティス」の車を販売しています。

デービッド・ケレハー社長によれば、半年ほど前から新車の入荷が激減しています。かつては約700台ほどあった在庫が56台まで減りました。そこで今、力を入れているのが中古車です。

「これは『ラム』の中古トラックだ。この車種は半年前と比べ5000ドル(約55万円)高く値をつける。以前は売れるまで30〜45日かかったが、今は1週間以内に売れるだろう」(ケレハー社長)

人気の車種は、新車を超える値段で売れることもあるため、確保を急いでいるといいます。

「狂ったように中古車を買い集めている。今朝は6台買った。どのくらい売ったかと同じくらい、仕入れの数を気にしている」(ケレハー社長)

アメリカでは政府による給付金の効果で、中古車の人気が急上昇。中古車価格の代表的な指標「マンハイム指数」は、この1年でおよそ1.5倍に跳ね上がりました。

ケレハー社長は「新車がなくとも中古車と整備で商売はうまくいく」と話しています。

アメリカでは現在、物価が上昇してきていますが、中古車もその要因の一つとなっています。4月には中古車の価格が10%と過去最大の伸びとなりましたが、コロナの中で需要の強さはまだ続きそうです。

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