「女子高生コンクリ殺人事件」の犯人にされた芸人S、ネットのデマ被害18年間の戦い:じっくり聞いタロウ

公開: 更新: テレ東プラス

売れっ子から懐かしのスターまで、芸能人が驚きの近況を報告する番組「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告」(毎週木曜深夜0時放送)。6月3日(木)の放送では、「足立区女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人の1人というデマを流されたお笑い芸人・スマイリーキクチが、人生を狂わせたつらすぎる誹謗中傷との18年に及ぶ戦いの一部始終を大暴露!

「足立区女子高生コンクリート詰め殺人事件」とは、1988年11月から翌年1月までの3ヵ月間、未成年の少年たちに監禁された女子高生が繰り返し暴行された末に殺害され、ドラム缶にコンクリート詰めされて捨てられた凶悪事件。スマイリーキクチは事件の10年後、1999年に、その犯人一味の1人だったというデマをインターネットの掲示板に書き込まれた。

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そもそも、彼はどうして犯人の1人に仕立て上げられたのか? スマイリーキクチは事件のあった足立区出身で年齢も犯人一味と近い。ネット掲示板「2ちゃんねる」に誰かがイタズラで彼の本名を書き込んだところ、"スマイリーキクチの本名と同じだ"と犯人扱いされるように。

すると「殺人事件のことを『ボキャブラ天国』でネタにした」「ライブでネタにした」「スマイリーキクチと一緒に女性に乱暴しました」といった嘘八百を書き込まれていった。また、彼になりすました人物まで現れ「過去のことは許してください。僕は罪を償いました」と書き込みも。所属事務所の掲示板にも「人殺し」「レイプ魔」といったコメントが書かれ、1000件書けるコメント欄の8割は殺害予告だったという。

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さらに、ファンの人が「ライブで(事件の)ネタなんてやってません」と事実を書くと、「犯罪者擁護だ」とファンまでが叩かれるように。さらに、ネット上のデマは殺害予告だけでなく彼の仕事にも影響が広がる。彼が出ているCMの会社や関係各所、また出演番組を放送している局や番組スポンサーにも抗議が来るようになり、仕事は激減。1999年から3年間が特にひどく、ほとぼりが冷め始めた2005年頃からテレビに出演するようになったのだが、また「人殺しを出すな」と再燃してしまったという。

そして、ようやく被害が落ち着いた矢先、予想だにしに事件が起こる。テレビによく出る「元警視庁刑事」という肩書の人物が自著でコンクリート詰め殺人事件のことにふれ「犯人の1人はお笑いコンビでデビューした」と裏付けもないまま書いてしまう。元刑事のお墨付きが付いた形となり、キクチは「本当に目の前が真っ暗になりました」と。

キクチは警察に助けを求めるが、当時の警察にはネットに詳しい担当者が少なく「ネットの噂なんて誰も信じない」と、まともに取り合ってもらえなかったという。

そこでキクチは、デマを探して見つけたものすべてをプリントアウトし証拠として保管。デマを書き込まれてから9年経った2008年に、ようやくネット犯罪に詳しい刑事と出会う。これまで何度警察に行っても取り合ってもらえなかったことを告げたキクチに、刑事は「申し訳ございませんでした」と頭を下げ謝罪。その刑事は若い頃にコンクリート詰め殺人事件を捜査していた1人だったという。そして、刑事はネット上でデマを流していた人物を特定することに成功。刑事が電話をした時、その人物はしおらしい態度をとったそうだが、数時間後には「警察に被害届を出しやがった。犯罪を犯しておいてどこまでクズだ」と書き込んだという。その行為に刑事も「警察に対する挑戦状だ」と悪質な書き込みを繰り返した19名を検挙。ネット上での集団的な誹謗中傷が一斉摘発された国内初の事例となった。

「ネットは1回書かれると絶対に消せない。怖いのはデマを見抜けない人よりもデマを認めない人」とキクチは当事者ならではの言葉を語っていた。

その他、冤罪事件に巻き込まれた音楽ユニットメンバーが、逮捕の瞬間から理不尽な取り調べなど当時の体験を大暴露!

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