【ふちこの直撃マーケット】実は毎日大赤字? 環境にも配慮? 暗号資産「マイニング」の今

公開: 更新: テレ東プラス

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※坂下さん運用の"マイニング工場"では23台のマシンが24時間365日稼働している。

毎週お届けしている「モーニングサテライト」のコーナー「ふちこの突撃マーケット」。ビットコインは取引の際に行われるマイニングという作業で多くの電力を使うことから、環境に及ぼす影響が懸念されています。そもそもマイニングはなぜ大量の電力を必要とするのか。その実態と環境対策の現状について取材しました。

片渕茜アナが取材で訪れたのは関東地方のとある農村地帯です。坂下たかひろさんはここで4年前からマイニング工場を運用しています。

建物の中には23台のマイニング用のマシンがあり、24時間365日稼働させています。マシンの熱を逃がすためにファンが常時回転しているため、掃除機のような轟音を立てています。発熱が大きいマシンにはダクトを取り付け、熱を直接外に流しています。

ビットコインなどの暗号資産は、セキュリティ対策として取引記録をインターネット上に書き込んでいますが、これには膨大な量の計算が必要となります。そこで、その計算を個人や企業の有志のコンピューターの力を借りて行い、その見返りとしてビットコインが支払われます。これをマイニングといいます。

ビットコインの価格が上がればそれだけ報酬が増える仕組みですが、実際にどのくらいの収入になるのでしょうか。

この日、坂下さんのマシン一台で支払われたのは0.00000288ビットコイン(1日)。この日は1ビットコイン価格はおよそ410万円だったので、23台で報酬は300円でした。

「365日、24時間動かしっぱなしなので電気料金は1日あたり約4000円かかります。なので毎日大赤字です。目先で見ると赤字ですが、今後ビットコイン価格が1000万円いくとも言われているので、もしかしたらもっといくかもしれないという夢を追いかけてやっています」(坂下さん)

求められる環境への配慮

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※ビットフューリーではマイニングの電力に100%再生可能エネルギーを使っている。

今、ビットコインのマイニングをめぐって指摘されているのが、環境への影響です。ある調査によると、マイニングによる電力の消費量は6年前に比べて50倍にまで膨らみ、オランダの国全体の年間消費量に匹敵します。先月にはテスラのイーロン・マスクCEOがマイニング作業で「化石燃料の消費が増える」と懸念を示しました。

ビットフューリー日本代表の紺野勝弥さんは、マイニングをノルウェーで行っています。ノルウェーは電力需要の93%が水力発電の再生可能エネルギー大国。降雪量が多く、水資源が豊富なためで環境に対しての意識も高い国です。

そこに紺野さんの会社はマイニング工場をノルウェーに建設。工場は24時間稼働していますが、電力は100%再生可能エネルギーを使っています。

「マイニングの一番の問題は、電力を消費することです。そこは変えられないので、環境に配慮したサステナブルな形でネットワークを支えていくためにノルウェーの水力発電を選びました」(紺野さん)

環境への影響について厳しい目が光る中、こうした再生可能エネルギーを利用するマイニング工場が今、世界各国で増えています。今後もこういった動きは広がっていくんでしょうか

「ビットバンク」マーケットアナリストの長谷川友哉さんは「ノルウェーもそうですが、暗号資産に限らず、データセンターは世界的にクリーンなエネルギーの需要を生み出しているので、国や自治体がマイニング業者を歓迎しているケースもあります。昨今批判を受けている中で、再生可能エネルギーの利用拡大は拡大していくと思います」と話します。

暗号資産業界の環境に対する意識は高く、4月には遅くとも2025年までに100%再生可能エネルギーへの移行を目指す気候協定を発足させています。

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