最愛の妹を亡くした主人公が妹の婚約者から交際を申し込まれる...複雑な想いが渦巻く奇妙な三角関係を描く、サタドラ「春の呪い」を毎週土曜夜11時25分から放送中!
原作は、2017年の「このマンガがすごい!2017オンナ編2位」に輝いた同名コミック。いけない恋に落ちる立花夏美を髙橋ひかる、夏美が溺愛する妹・春を桜田ひより、春の婚約者で財閥系御曹司の柊冬吾を工藤阿須加が演じている。
最愛の妹を亡くした夏美が恋をしたのは、妹の婚約者である冬吾だった! いけない恋に揺れる姉、妹の婚約者で財閥の御曹司である青年、恐怖の幻影として姿を現す妹、複雑な想いが渦巻く奇妙な三角関係の行方とは...?
「テレ東プラス」では、毎週あらすじをプレイバック! ここでは、第1話の内容をお届けする。
◆
立花夏美(髙橋ひかる)は、10歳の頃に母・京子(近藤奈保希)と死別。泣きじゃくる妹・春(桜田ひより)の隣で、凛と背筋を伸ばし葬儀に列席していた。
(私は春をこよなく愛している。この世で誰よりも春が好き)
弔問客に頭を下げる父・浩司(飯田基祐)を真似て会釈していた夏美だが、時折、浩司が会場の一点を見ていることに気付く。視線の先には、意味ありげに微笑み返す女性。後に義母となる芳江(河井青葉)だった。
すると、他の弔問客とは一線を画す高貴な夫婦が現れる。2人は立花家の遠縁にあたる相馬財閥の分家・柊家総代の柊俊策(津村和幸)と妻の聖美(高島礼子)。献花を終えた聖美は、じっと春を見つめる。とっさに、春を庇うように抱き寄せる夏美。聖美は立ち去りながら、立花家について「うちとはどれくらいの繋がりがあるの?」と俊策に尋ねる。
「相馬の分家同士だった」と答える俊策。
「血の繋がりはあるということね? うちと」
「まぁな」
振り返り、春を見つめる聖美。
「可愛いわね」
「あの子たちか?」
「妹の方よ。品がある...ふさわしい」
◆
時は巡り、21歳になった夏美と18歳になった春に、父・浩司は「ある家から、お前たちに息子を会わせたいと申し出があった」と告げる。その家とは、病院や銀行の経営を手がける相馬一族の分家・柊家。見合い相手となるのは、柊家の三男・柊冬吾(工藤阿須加)で、相馬グループの銀行に勤め、本店・融資課での成績も優秀だ。
「遠い昔、立花家は相馬家の分家だったんだ」
「つまり、柊家とうちはそういう関係になる。先方は柊家の家を継いでいく上で、相馬の縁を大切にしているそうだ。...意味は分かるな? だが、お前たちはまだ若い。どちらかが選ばれたとしても、関係を発展させるかはお前たち次第だ。無理強いはしない」
戸惑うように押し黙る姉妹。夏美は春の手を握り締めていた。
一方、柊家のリビングでワインを嗜む聖美に、「本当に会わせるつもりか?」と尋ねる俊策。
「本気よ。私は相馬の血を守りたいの」
「そういうことは冬吾の自由に任せればいいじゃないか」
そこへ通りかかった冬吾が足を止める。
「冬吾さんの相手は、相馬本家の血を継ぐ娘であるべきよ。冬吾さんの自由に任せて、よその女が入ってきて柊の名を名乗り、相馬の分家を語るなんて私は許せない。選択肢は限られてるの。私とあなたの時もそうだったように」
◆
見合い当日。支度を終えた冬吾の部屋に、聖美がノックもなしに入ってくる。
「今日は分かってるわね? 家族は礎。あなたの仕事と人生を支える大事な存在となるべきもの。投資家として培った目でよく見極めるのよ。答えは明確なはず」
聖美は冬吾のネクタイを整えながら語りかけるのだった。
見合いの場となる柊家にやって来た立花一家。リビングに案内されると、「ようこそいらっしゃいました!」と聖美がやって来る。浩司は会釈をし、夏美と春を紹介する。
(...会ったことある。誰だっけ?)
春だけをじっと見つめる聖美。夏美は見覚えのある姿に記憶を辿るが、聖美のことを思い出すことができない。聖美は一家を応接間へと促すと、冬吾に「妹の方よ。姉は見なくていいから」と耳打ちする。
「素敵なお住まいですね」
豪華なテーブルセットに対座する柊家と立花家。
「私で4代目です、この家。息子たちのために増築したんだが、冬吾の上の兄たちは海外に出て、今じゃ持て余していますよ」
どこか自慢げに語る俊策。鑑賞するように春を眺める聖美を見て、夏美は母の葬儀に来ていた婦人だと思い出す。
(あの時の...!)
夏美は思わず春の手を握ろうとするが、春はそれに気づいて手を引っ込める。怪訝そうに春を見つめる夏美。
「春さん、可愛らしいお嬢さんだわ。ねぇ冬吾さん?」
「ええ、そうですね」
「春さん、ピアノがお上手なんですってね」
「いえ、たいしたことありません」
「春は以前、保育士になりたいって言っていたものですから。それでピアノを習わせました」と浩司が言うと、
「じゃあ、春さんは子供がお好きなのね?」嬉々とする聖美。しかし肝心の冬吾はろくに話もせず、時折夏美に視線を送るのだった。
◆
帰宅し、食卓を囲む立花家の4人。芳江が「柊家の方、いい人たちだったわね」と浩司のグラスにブランデーを注ぐと、「そうだな。冬吾さんも素敵な青年で、何より品がある」と応じる。夏美が耐えきれないように席を立つと、
「妹にだけ目が向いたことが気に入らないのか?」と浩司。
夏美は「ちがう!」と睨みつけ、ブランデーのボトルを見る。
「そのお酒、特別な事があった時に飲むお酒だったんじゃなかったの?」
「諍いはやめましょうよ。春さんが幸せになるかもしれない話なんだから」
「ほら! 今日がその日ってことなんでしょ。お父さんも、どちらが選ばれてもって言ってたけど、何か聞いてたんじゃないの? 春も無理強いさせられることないのよ!」
しかし、春は夏美と目を合わせない。
「よせ、見苦しいぞ。妹から奪おうなんて考えるなよ」
「奪う? 私が? 奪うのが得意なのは、その人の方でしょ!」
夏美は芳江を指差し、そう吐き捨てると、「謝れ!」という浩司の声も振り切り、部屋を出て行った。
◆
(奪われるのは私の方よ。春を取られちゃうのは...)
部屋のドアを乱暴に閉め、ベッドに顔を埋める夏美。思い出すのは、幼い日の出来事だった。母が亡くなって間もなく、姉妹は一つのベッドで眠っていた。
ある夜、夏美がふと目を覚まして廊下に出ると、階下から談笑する男女の声が。
そっと階段を降りて部屋をのぞいた夏美は、思わず息を飲む。浩司が葬儀の時に目を合わせていた女・芳江の服を脱がせながら、抱擁していたのだ。ショックを受けた夏美は、物音を立ててしまい2人に気付かれる。急いでベッドに潜りこむと、目を覚ました春が「お姉ちゃん、お母さんはどこに行ったの?」と話しかけてきた。
「きっとまだここにいるよ。私たちを見ていてくれる」
「いるの?」
「お母さん、私たちのこと忘れちゃうはずないもん。春、いつかお姉ちゃんと一緒に住もう」
「ほんと? 私、お姉ちゃんと一緒に住みたい! 春も思ってた」
幼い春は、そう喜ぶのだった。
◆
2020年春。春は大学に進み、冬吾との交際を始めた。聖美の思惑通り、冬吾の事実上の婚約者となった春。一方の夏美は、フルタイムのアルバイトに励む日々。短大で栄養士の免許を取得したものの、就活の意欲は湧かなかった。
冬吾との公園デートに出かけた春は、冬吾とのツーショット写真を撮影。2人で公園のベンチに腰掛けると、「こんなの失礼かもしれないんですけど...」と小さな封筒を差し出す。中には1000円のプリペイドカードが入っていた。
「私の姉、家の近くのパン屋さんでバイトしていて、この間、全店舗で売上がトップだったらしくて、1000円のプリペイドカードを20枚も貰ったんです」
「なら、これは貰った人が使うべきだ」
「いいんです、貰ってください! 姉は独り占めするのが苦手なタイプで、みんなと分け合いたい人なんです。冬吾さんに渡したって言ったらきっと喜びます」
「...お姉さん、そういう人だったんだね」
「はい。私とは反対で、とっても明るくて活発なんです」
夕暮れになると、冬吾は春を家まで送る。春が20歳を過ぎるまでは、「陽のある内に家に帰す」と立花家の両親に約束していた。
「また私を、どこにでも連れてってくださいね」
春と別れた冬吾は、ある店の前で足を止める。先ほど貰ったプリペイドカードと同じロゴ...夏美が勤める店だ。
そっと店内をのぞくと、夏美が笑顔で働いていた。ふと視線を感じた夏美が店外を見ると、去って行く男の姿が見えたが、それが冬吾とは認識できない。
◆
アルバイトから帰宅した夏美が春の部屋をのぞくと、春は冬吾とのツーショット写真を嬉しそうに眺めていた。
(春は私から離れて行く...もうすぐ私の前から春は消えてしまう)
夏美は高校生の頃、大きなドールハウスを前に、春と一緒に住む夢を語り合ったことを思い出す。
「私の部屋はここがいい!」
「だから、こんな大きなお家には住めないって」
「ワンルーム? 息苦しくない?」
「大丈夫。一緒なら楽しいよ」
「ベッドも?」
「一緒!」
「部屋は一つ、お姉ちゃんと私はいつも一緒」
(夢は叶わず、このまま終わるの? 叶ったことがあるとすれば、春はもうすぐ大きなお家に住むということ...)
夏美が回想していると、春がその存在に気付く。
「ねぇ、春。たまには一緒にお茶でもしない?」
夏美が誘うと、春は冬吾を含めた3人でお茶をするものと勘違いしていた。戸惑う夏美を追い出すように部屋のドアを閉める春。ドアを閉めた春は、夏美にひとこと
「お姉ちゃん、もうのぞかないでね...」そう告げる。
同じ頃、冬吾は部屋でプリペイドカードを見つめながら、夏美が働く姿を思い出していた。すると、春から今日撮った写真とともにメールが届く。だがそこには、意外な人物が写っていて......。
5月29日(土)夜11時25分放送! サタドラ「春の呪い」第2話の内容は...。
若くしてこの世を去った最愛の妹・立花春(桜田ひより)の葬儀で、「すぐ春のところに行くから」と声をかける立花夏美(髙橋ひかる)。ところが、亡骸の春が「冬吾さんは渡さない」と訴える幻影を見てしまう。「私が冬吾さんを奪うなんて...」と訝しむ夏美に、柊冬吾(工藤阿須加)から信じ難い相談が持ち掛けられる。「春の代わりに結婚して欲しい」と。夏美は当然断るが、その直後、自分でも思いも寄らない提案を口にしていた...。