尾道からフェリーで4分! 瀬戸内海を一望できる”みかん小屋”で、ナイスガイは何をやってるのか?:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や街でアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは「新緑よりもまぶしいぜ!キラッキラの美女と涙と緑色SP」。キラキラ輝く衝撃映像を連発する緑と画力がいっぱいの95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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空港を飛び出し、日本全国の市町村で面白YOUをガチ捜索する「出張YOU」!

今回の出張先は、人口約13万人(在住YOUは約3,000人)、瀬戸内海に面し、情緒あふれる街や景観が多くの映画やアニメの舞台にもなった広島県尾道市だ。背油キラキラの尾道ラーメンや、特産品の瀬戸内レモンを使ったフードは全国で大人気。そんな魅力あふれる街でYOUを探すぞ!

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2年前から尾道で暮らすヒマYOU(南アフリカ共和国のフィリップさん)に同行し、夜8時に訪れたのは、多くのYOUが集うディープなバー(取材日:2020年9月30日)。話を聞いたのは、「島で何かやってる」意味深なアメリカ合衆国出身のトーマスさん。妻のカオリさん(日本)も「みかん小屋を買って住んでる」と言うが、みかん小屋に住む夫婦っていったい...!? 謎すぎるので行ってみたいとお願いし、密着決定!

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後日、尾道市街からフェリー(所要時間わずか4分)で約300m先の向島(むかいしま)にあるご自宅へ伺い、 "みかん小屋"を案内してもらうことに。見れば小屋といっても、4年前に土地を買ったときについてきたみかん小屋(収穫したみかんを保管する場所)は住宅用にリノベーションされ、今では立派な戸建てになっている。

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中は広く、土壁は当時のまま活用し、1階はダイニングルームに、2階は寝室などに改装。中でもトーマスさんの一番の自慢は、2階に設置した瀬戸内海を一望できるバルコニー。「天気がいい日、これでリラックスできる」という、最高の居場所だ!

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トーマスさんは、みかん小屋と一帯の土地を180万円で購入後、いったいここで何して暮らしているのだろう?

謎の白い袋を背負ったトーマスさんの後をついて行くと、敷地内のある場所で、1年前の"粘土団子"とやらを袋から取り出し、ぶんぶん投げ始めた。「土の中にいろんな野菜の種を入れてばらまくんだ。粘土が水分を維持してくれるから、種のいいタイミングで芽が出る」という特殊な団子。しかも粘土で包めば、鳥や虫などの外敵から種を守ることもできるそうだ。

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さらにトーマス家では5匹のひつじも飼育中。雑草が多い元耕作放棄地でも、ひつじがいればモリモリ食べてキレイにしてくれ、フンも野菜の肥料になるので一石二鳥。ついにわかったトーマスさんのお仕事は、使われず放置された畑を買い取り、耕しながらさまざまな野菜を無農薬で作る農家だった!

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そんなトーマスさんが農業を始めたきっかけは、大学時代に読んだ故・福岡正信さんの本。福岡さんの提唱する「自然農法」とは、農薬や肥料を使用せず、自然界の力で農作物を育てる特殊な方法とか。彼は、考案した粘土団子で砂漠の緑化も成功させ、世界各国から賞賛されたというスゴイ人物だ。そんな彼に憧れ、10年前に来日したトーマスさん。尾道に来たのは、生活費のために始めた英語教師の派遣先だった。

移住後、「瀬戸内しまなみ海道」から見える畑には使われていないものもあると気づき、探すうちにここを見つけたという。「これだけ景色もキレイなのに耕作放棄地になるのが残念」と感じ、日本は耕作放棄地が年々増えているのを知って、どうにか減らしたい、地球を守りたい、と考え購入を決意。その後がんばって、年間60種類以上の野菜を栽培するキラキラな畑に再生させたのだった。

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12時半、トーマスさんは育てた野菜を収穫し、水洗いしてから改造洗濯機で超高速回転させた。いったい何してるのかと思いきや、無農薬でついた虫を洗い、水で傷む前に乾かして冷蔵庫に入れて長持ちさせるのだという。それらを小分けにして保冷ボックスへ詰めると、素早く自転車でどこかへ出かけていった。今度はどこに行くの~?

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着いた場所では、近所の常連さんがトーマスさんのそばに集まってきた。そう、トーマスさんは野菜の移動販売に来たのだ! 買った方々には「よく買います、スゴく美味しい、野菜の味がしっかりしてる」と好評で、ついでに「人柄もめちゃくちゃいい!」と褒められた。トーマスさんは照れながら、地元の方々とは家族のような付き合いをしていると感謝を。

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さらに自転車ごとフェリーで尾道市街へも向かい、触れ合いながら野菜販売を続ける。尾道の人はみんなトーマスさんの野菜のファンで、その後もどんどん売れて完売。この日の売り上げは約2万円!

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午後6時半に帰宅すると、妻のカオリさんが夕食の準備中。食卓には、友だちが育てたお米とトーマスさんの野菜を使った炊き込みご飯や、紫じゃがいもやケールなど、無農薬野菜を贅沢に使ったご馳走がずらり! 中にはトーマスさんがさばいたイノシシの肉料理も! 今年は5~6匹もさばいたというイノシシは、野菜販売を通して知り合った方からのおすそ分けなんだって。さっそくご馳走に舌鼓を打ちながら、今日1日の出来事を話し合う温かい時間が流れた。

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帆布製バッグメーカーを経営するカオリさんとは、尾道で出会い2015年に結婚したが、式はなんと畑のビニールハウスというから、またビックリ! たくさんのご近所さんに祝福してもらい、地元の温かさに感動したと振り返った。

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さて夕食後の楽しみは、引き戸などの廃材を利用して作ったというお風呂。ちょうど首から下の部分が磨りガラスになっていて、うまく体が隠れてバッチリだ。

「日本に来ていろいろな人に助けてもらったから、自分の仕事で恩返ししたい。元気いっぱいに育った大地の恵みをたくさんの人に食べてもらいたいな」と、夢を聞けたところで密着は終了! トーマスさん、これからも安心安全の美味しい野菜をいっぱい作ってね!

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