ご招待から5年! 錦鯉を愛するポーランド少女から驚きの報告が!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

本日は「ニッポンにご招待したら、人生が変わっちゃった!感謝のビデオレターが届いちゃいましたスペシャル!」をお送りします。

錦鯉大好き少女が鯉師との出会いで見つけた将来の夢

ご紹介するのは、ニッポンの「錦鯉」を愛するポーランド・ワルシャワ在住のアンナちゃん。

初めて出会ったのは今から5年前。年に1度、日本大使館などの主催で行われている「日本祭り」の会場でした。

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「ニッポンのフグと鯉が大好きです。職人さんが育てた錦鯉はとても鮮やかで、まさに芸術だと思います。いつかニッポンに行って、直接錦鯉がみたいです」。

いったいどれだけ好きなのか、ご両親と暮らすご自宅に会いに行ってみると...アンナちゃんのお部屋は、魚のグッズやフグの標本など、魚関連のものでいっぱい! 中でも一番のお気に入りはクリスマスプレゼントで買ってもらった「丹頂(たんちょう)」という錦鯉の枕。毎日抱いて寝ているそうです。

物心ついた頃から大の魚好きだったというアンナちゃんは、7歳の時、インターネットで錦鯉を初めて目にし、その鮮やかな模様に心を奪われて虜に。今では錦鯉の専門書や記事を読めるようにと、日本語教室に通い始め、猛勉強しています。

錦鯉に対する熱い思いは止まらず、話し続けることおよそ30分。

「将来は魚の学者になってニッポンで錦鯉の研究をしたいと思っています」と12歳にして、錦鯉の知識も情熱も相当なもの。そんなアンナちゃんをニッポンにご招待!

まず向かったのは、新潟県。小千谷市と長岡市の一部は「錦鯉発祥の地」といわれ、小千谷市にあるニッポンでも数少ない専門施設「錦鯉の里」では歴史からルーツまで錦鯉のあらゆることを学ぶことができます。同施設の谷口慎弥さんが案内してくださいました。

アンナちゃんは「鯉!鯉!本物の錦鯉よ! こんなにたくさんの錦鯉を見られるなんて、なんて幸せなの! スゴいです、素敵です! 色がとても鮮やかで写真とは比べものになりません! 本当に感激です!」と、初めて目にする本物の錦鯉の姿に、大興奮!

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この地で錦鯉が生まれたのは、およそ200年前の江戸時代。急流の滝を鯉が登り、龍になったという伝説、「鯉の滝登り」から、驚くような勢いで出世する縁起物、立身出世の象徴として親しまれてきました。こどもの日(5月5日)に掲げられる鯉のぼりにも、そんな願いが込められています。

今では代表的なものだけでおよそ100種類の錦鯉がおり、アンナちゃんが一番好きな紅白と大正三色、昭和三色、この3種類が錦鯉の御三家といわれています。外にある池で次々と正確に見分けるアンナちゃんに案内してくださった谷口さんもビックリ!

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高価なもので、1匹数千万円の値が付くことも! 寿命は長いものだと約70年。大きいものは1メートルほどに成長しますが、小さい水槽で育てると、飼育場所のサイズに合わせて成長するため、ミニサイズのままなのだとか。

錦鯉を育てている職人さんにもぜひ会ってみたい、というアンナちゃんの希望を聞き向かったのは、およそ100年続く「和泉屋養鯉場(ようりじょう)」。錦鯉一筋50年、鯉師(こいし)の間野泉一さんをはじめ、ご家族、従業員の皆さんが快く受け入れてくださいました。

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まず案内していただいたのは生後40日くらいの錦鯉の赤ちゃんが泳いでいる水槽。錦鯉を選別する作業を見せてもらいます。

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錦鯉は、約1年半かけて美しさを見極めながら育て、最終的には数百万匹からわずか100匹ほどに絞り込みます。必ずしも美しい模様の親から、美しい子どもが生まれるわけではないのだとか。品評会では、肉付きが良く、背筋が真っ直ぐ伸びて均整の取れた体型で、肌つやが良く、色のはっきりしているものなどが美しいと評価されるそう。

生まれてわずか1週間の稚魚から見極めが始まります。吸引機を取り付けたホースを使い、黒く色づいたものに狙いを定めて選別していきます。

この日選ぶのは、大正時代に品種として固定化された大正三色。白い肌に、赤とわずかな黒が目を引く人気の品種です。生後30日を過ぎると、5センチほどの稚魚に、美しい模様が現れてくるとのこと。その模様を見ながら、職人の勘だけを頼りに選びます。間野さんいわく、「やっぱり上品さが求められる。ただ色が濃ければいいわけじゃなくて」とのこと。また、今回選別した稚魚がすべて美しい柄になるとは限らないそう。

「美しい錦鯉を育てるのはここまで大変だったんですね」と感心するアンナちゃん。「ちょっとやってみる?」と、特別に選別を体験させてもらえることに! 鼻の下が白い稚魚は、成長すると白い部分が大きく広がり、他の色を際立たせてくれるそう。良い稚魚を見分けるアドバイスをいただきながら選別に挑戦します。

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「とても難しいですが、楽しいです」と喜ぶアンナちゃんを、間野さんは孫を見るような優しい眼差しで見守っていました。

選んだ稚魚を持って山間部に作られた棚池へ。雪解けが終わった春から秋にかけてこの棚池に放流し、大きく成長させます。

「池の管理が大変だと勉強したことがあります」と話すアンナちゃんに、間野さんは錦鯉の品種や大きさによって池の水質や地質を変えていると教えてくれました。間野さんの養鯉場だけで、なんと110面もの棚池があるそう。ほぼ毎日、すべての池の状態を確認し、光沢のある美しい錦鯉に育てていきます。

続いての作業は池から稚魚を引き上げる「水揚げ」。多い日には、1日で4万匹を選び分けることもあるそう。アンナちゃんもお手伝いをしました。

その夜、間野さんのお宅で夕食をいただくことに。奥さまの由美子さんが作ってくださったのは、地元で採れた野菜の天ぷら。他にもそうめんやアサリの酒蒸しなど心づくしの料理が並びます。

「天ぷら!」と、大喜びするアンナちゃん。「ママがインターネットで調べて天ぷらを作ってくれたんだけど、衣が全部剥がれちゃったの」とのこと。「娘にさんざん怒られました」とお母さんのアガタさんは苦笑い。なすの天ぷらを頬張り、「おいしいです。ママのとは全然違います」と、箸が進みます。アガタさんは「娘はとても少食なんです。こんなに食べるなんて本当においしいんだと思います」と娘の旺盛な食欲に驚いていました。

そして翌日。

ニッポンの文化をもっと知ってもらえたらと由美子さんが用意してくださったのは長女・いづみさんが小学生の頃に着ていた浴衣。

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さっそく着付けていただき、近くの神社へお参りに。由美子さんに「いっぱいお願い事した?」と聞かれると、「この場所で錦鯉が健康で暮らせますように。そして二度とこの場所で地震が起きないように」とお祈りしたそう。

そしてアンナちゃんは、もう1つの大好きなものを観に、山口県下関市へ。下関はフグの取扱量日本一を誇るフグの街。その量は年間1600トン以上!食べることを禁止されていたフグを明治時代、初代・内閣総理大臣の伊藤博文が「こんなに美味いものが食べられないのはもったいない」と、およそ300年ぶりに解禁を命じたのも下関だそう。

訪れたのは100年近い歴史を持つ、唐戸市場。関門海峡近海で水揚げされる、新鮮な魚介類が並ぶことから「関門の台所」とも呼ばれています。

「フグのお刺身ですね。綺麗だわ」と場内でフグの刺身を見ていたアンナちゃん。お店の方が「食べる?」と声をかけてくださり、ご厚意で1皿2000円のフグ刺しを特別にごちそうになりました。
アンナちゃん、フグを食べるのはもちろん初めてですが、「こんなにおいしいお刺身、初めてです!」と箸が止まりません。ほぼ1皿1人で平らげてしまいました。

続いて、普段は専門業者しか入れないフグの保管所へ特別に案内してもらうと...生け簀にはたくさんのフグが泳いでいました。

すると、市場の方が生け簀から生きたフグを1匹取り出し、そのお腹をさすり始めました。数秒でフグはお腹を膨らまし始めました。フグはこうして威嚇し、外敵から身を守っているのです。

「私も持たせてもらってもいいですか?」と積極的なアンナちゃん。フグを持たせていただき、お腹を膨らませようと左右に振っているとあっという間にこんなに大きく膨らみました。

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そしてアンナちゃんが下関にやってきた一番の理由が「しものせき水族館 海響館」。フグは世界に約440種類いますが、ここ、海響館では常時およそ100種類が展示されています。その数なんと世界一!

「お〜! これ知ってます。世界で一番小さい淡水のフグですよね」と珍しい淡水で生息するフグを言い当てたり、カラフルなものほど強い毒を持っていることが多いのを知っていたりと、アンナちゃんのフグ知識の多さに飼育員さんも驚いていました。

「よろしければ特別に裏側に入ってフグを見てもらうのはいかがでしょうか?」と水族館の裏側を特別に見学させてもらえることになったアンナちゃん。フグの餌やりをお手伝いします。餌を持って水槽の裏へ行くと、フグたちがどんどん集まってきました。アンナちゃんは餌のイカを与えて、大満足なのでした。

じつは新潟県を訪問していた際、「錦鯉の里」で、アンナちゃんに嬉しい出来事がありました。「錦鯉の里」では、「錦鯉オーナー制度」という、小千谷市で購入した錦鯉を無料で預かる制度があり、間野さんが育てた錦鯉も飼育されていました。預けた錦鯉は、館内に写真と名前が掲示されていました。すると、「アンナちゃんね、おじさんから鯉を1匹プレゼントするから。あなたがここの錦鯉のオーナーになるんだよ」と、間野さんからまさかの嬉しすぎるプレゼントが!

ポーランドでは錦鯉を飼うための十分な場所がないからと、あきらめていたアンナちゃんにとっては夢のようなサプライズです。どの種類がいいか聞かれると、泳ぐ錦鯉を見ながらしばらく考えて、「一番大好きな紅白をお願いしてもいいですか?」とアンナちゃん。アンナちゃんの錦鯉は後日、間野さんが直接選んでくれることになりました。

それから4カ月後。プレゼントする錦鯉が決まったため、ポーランドへ。9月から中学生になったアンナちゃん。アンナちゃんの錦鯉枕がニッポンのテレビに映ったことを知った枕のメーカーが、別の種類の枕を4つも送ってきてくれたそうで、ますます錦鯉への愛に火がついていました。

アンナちゃんがオーナーになる錦鯉が決まったので、さっそくその映像を観てもらいました。毎年10月中旬に行われる鯉の池あげ。放流し、育てていた鯉の中から、アンナちゃんが希望した紅白を選んでくださいます。

「アンナちゃんは肌が白いもんね〜。やっぱり紅白も肌が綺麗なものをあげないと」...と、間野さんが20匹ほどの中から選んだのは約50センチある2歳の紅白。

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「なんて綺麗なの! これは三段紅白ですね! 品評会で賞をとるくらい良い模様です」とアンナちゃんが言及したとおり、この柄の紅白は頭から背中にかけて赤い模様が3つあることから「三段」と呼ばれ、紅白の中でも特に人気が高いそう。

「錦鯉の里」にはオーナーの証であるパネルも設置されました。「夢にまで見た私の鯉の写真が入ったわ」とアンナちゃんは感慨深げです。アンナちゃんの紅白が、錦鯉の里に仲間入り。綺麗な三段紅白の模様なので、他の錦鯉と一緒に泳いでいても目立ってすぐに見つけることができます。

「今度ニッポンに来るまでに鯉の名前を考えておいてよ。かわいい名前をつけてあげてね」との間野さんの言葉に、アンナちゃんはすぐに名前を考え始めました。「この女の子はキラキラしていて周りを明るくするような感じがするから "ルナ"って名前はどうかな。ルナはラテン語で"月"という意味なの。この子にとても似合うと思うわ」。

――あれから5年。

アンナさんから届いたビデオレターを、間野さんの元へ。

すると、ご子息の龍さんにお子さんが2人生まれて、にぎやかになっていました。龍さんの奥さま・智子さんは、あいにく仕事の都合でご不在でしたが、さっそくビデオレターを観ていただくことに。

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5年前は6年生、12歳だったアンナさんですが、今は16歳、身長は160センチになっていました。

「間野さんにいただいたお土産は今も大切にしています。たとえば...浴衣です!」とアンナさんが浴衣を持ってくると、お母さんが「アンナはこの浴衣が好きでよく着ています。友達を家に招待したときに着たら、『どこで買ったの?』と質問責めにあいました」と教えてくれました。他にも鯉の手ぬぐいや、絵本も大切にしているそうです。

帰国後、アンナさんは日本語の勉強に力を入れ、中学3年のときにはこんな作文を書いたそうです。
「わたしはアンナです。私の趣味は魚です。問題は、私たち人間が海を汚して、魚を病気にしてしまうこと。日本の海の汚染予防システムは他の国が学ぶべき。人間と魚が一緒に生きるため、日本のテクノロジーを使って世界のきれいな海を取り戻してほしいです」...といった海洋汚染を扱った内容でした。

この作文を、日本が主催する、外国人の作文コンクールに応募しました。世界62の国と地域から7000近くもの応募があり、まさに日本語教育の一大イベントでした。後日、アンナさんが通っている日本語学校へコンクールの結果を聞きに行くと、なんと二等賞とのこと!

今もたくさんの錦鯉グッズをコレクションしているアンナさん。中でも一番のお気に入りは、番組を観た方から送られてきた、錦鯉柄のパジャマ。他にも魚のクッションが増殖中!...という具合に、魚好きは変わっていない様子でした。

現在、高校2年生になったアンナさんの得意科目は数学だそうで、愛用のスマホケースには自分で描いたマグロとアンコウの絵と...魚の中に数式?

「アンコウの提灯は2次関数の放物線に見えるので、その数式を。マグロは3次関数に似ているので、その数式を書きました。自分でもいいデザインだなって満足しています」とのこと。これを観ていた間野さんたちからはたった一言「スゴーい...」。

魚に加え、数学好きになったアンナさんは最近、進路を決めたそう。「将来、お医者さんになりたいと思っています」。じつはこの夢を持ったきっかけは間野さんとの出会いなのだとか。

「5年前、 間野さんが鯉ヘルペスウイルスの話をしてくれましたね。非常に危険なウイルスで、1匹の鯉が発症したら同じ池の鯉はすべて処分しなければならない、と。この話を聞いて魚の病気や免疫に興味を持ったんです」とのこと。中学に入ると、バイオテクノロジーに興味を持ち、人間と魚の免疫を比較して、生物の授業で発表したことも。

「この研究で魚の免疫が人間の医療に役立つことを知りました。たとえば...サメはがんになりません。サメの持つある成分がヒトのがん治療に役立つ可能性があるんです。今はモノクローナル抗体を研究しています。この抗体は悪い細胞に付着し、その働きをブロックするんです」と楽しそうに話すアンナさん。聞いていた龍さんは「ちんぷんかんぷんです、尊敬しますね」と笑っていましたが、間野さんは「スゴいことだね!」と感慨深げ。

そして帰国後、生活にも変化が...。

アンナさんの家では食卓に和食が出るようになったそう。お母さんいわく、「小さい頃のアンナは食が細かったのですが、由美子さんの天ぷらには夢中で...。食欲旺盛なアンナを初めて見ました」とのことで、帰国後、アンナさんのためにお母さんは和食を勉強し、作るようになったのだとか。

来日から5年経った今も小千谷市のことは、つねにアンナさんの心の中にあるようで、「ニッポンで地震があったと聞くと小千谷のことが心配になります。ニッポンに帰って皆さんに会い、ルナが泳ぐ姿を見たいです」と話していました。

...と、ここで! 遠く離れた間野さんとの絆をもう一度、中継で結んじゃいました!

5年ぶりの画面越しでの再会にとても嬉しそうな間野さん一家とアンナさんとお母さん。間野さんのお孫さんたちとも初対面を果たしたところで、さらにもう1カ所と中継をつなぎました。

5年前、「錦鯉の里」でお世話になった谷口さんです。谷口さんは「これからアンナちゃんのルナちゃんに会いに行きましょう」といって錦鯉が泳いでいるプールに向かいます。アンナさん、成長したルナの泳ぐ姿を観せてもらえることに!

果たしてどれくらい大きくなったのでしょうか。

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谷口さんは340匹の中からルナを見つけてしっかりとカメラに映してくれました。5年間で、ルナは50センチから60センチに成長。

「ホントに嬉しいです。ルナの顔や様子を観て、幸せに暮らしていることがわかりました。ルナに代わって私から皆さんにお礼を言います。ありがとうごいます」とアンナさんがお礼を述べると、「ぜひ錦鯉の里にも小千谷にも遊びに来てください。ありがとうございます」と谷口さんも嬉しそうでした。

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間野さんは、「私も70歳になります。病気にならないように心がけて、またアンナちゃんに会える日を楽しみにしております」とお話ししてくださいました。龍さんは、「具合が悪くなったら助けてね」と"将来のお医者さん"にお願いすると、「わかりました。頑張って良いお医者さんになります」とアンナさん。「そのときはアンナちゃんじゃなくてアンナ先生って呼ばなきゃいけないね」と続ける龍さんには「いえ、やめてください。今までどおりアンナちゃんでお願いします!」と笑顔で返してくれました。

アンナちゃんをニッポンにご招待したら、人と魚の免疫に興味を持ち、お医者さんになる夢を叶えるため、前に進んでいました!

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