離島の弱小野球部を<甲子園出場>に導いた名将の過去と感動の熱血指導

公開: 更新: テレ東プラス

歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。MCに登坂淳一角谷暁子(テレビ東京アナウンサー)、解説におおたとしまさを迎え、「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の名門校は、2021年に甲子園出場を果たした「長崎県立大崎高校」。3年前まで、野球部の部員はたったの5人。廃部寸前の危機に陥っていた弱小野球部が、強豪校を次々と破り、初の九州王者に! 長崎の小さな離島で起きた奇跡を特別編でお送りする。

長崎県西部に浮かぶ大島。かつては炭鉱の島として栄えたが、過疎化が進み、大島町を含む5つの町が合併し、西海市となった。そんな大島で唯一の高校が、長崎県立大崎高等学校。1952年、長崎県内の2つの高校を統合して開校。創立69年を迎えた。

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1学年2クラス、男女共学で現在の全校生徒数は115人。OBには、車いすバスケットボール日本代表でリオパラリンピックに出場した鳥海連志選手も。在校生に話を聞くと、「自然豊かな中、みんな仲良く平和的な高校」「授業中、野球部のメンバーは面白い発言でみんなを楽しませてくれる。でも試合では"絶対勝つぞ"という気持ちでやっているのでかっこいい」とのコメントが。

野球部員は総勢28人。全員が長崎県出身で、地元・西海市の部員も6人。授業が終わると、部員たちは自転車を漕いで約2km離れた野球部専用のグラウンドへ。そんな大崎高校野球部だが、3年前まで部員はたったの5人だった。他校との合同チームで大会に出場するものの、ほとんどが初戦コールド負け。部員不足による廃部の危機に瀕していた。

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しかし、甲子園出場など夢のまた夢だった野球部に、大きな変化が。3年前に就任した清水央彦監督は、長崎県立清峰高校をコーチ兼部長として4回、佐世保実業を監督として2回、甲子園に導いた名将。指導は厳しいが、「きついことをやらせるけど、甲子園には連れて行く。生徒も時間かけてやっているから、遊びで終わらせたら意味がない」と語る。

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ちょっと変わった練習方法も。部員たちが縄跳びに使っていたのは、船具屋から購入した太い締め縄。体幹を鍛えるため、約15kgの丸太を抱えて素早くスイング! 練習しているのは立派なグラウンドだが、監督が赴任した当時は人工芝が見えないほど土で埋まっていたという。そのため、草むしりなどのグラウンドの整備が清水監督の初仕事となった。

現在、島の3人に1人が高齢者となり、島には空き家が増え続けている。島の学校は次々と廃校に追い込まれ、中学校は1校のみ。2校ある小学校も、来年3月には1校に統合されることになった。野球部の廃部どころか、廃校の危機に直面していた大崎高校。田中隆一前市長は「スポーツで島を再生したい」と考え、清水監督を頼った。だが、そんな清水監督にはある過去が...。

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「部室にあった道具を他の部の子が使って遊んでいて、その子たちに手を出した」。清水監督は、清峰高校時代に暴力行為があり、その後、赴任した高校でも部員同士の暴力行為を学校に虚偽報告。不適切な指導があったとされ、2年半の謹慎処分に。しばらく野球の指導から離れていたが、田中前市長は大崎高校の野球部監督就任を熱望。その手腕と情熱にすべてを託すことを決断した。清水監督は、2014年に西海市の職員となり、謹慎処分も解かれ、監督に就任。「私なんかなんもなくなった人間。それでもここに来たら喜んでくださった。拾ってもらったから、役に立たないといけない」と語った。

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そして去年11月に行われた「九州地区高等学校野球大会」で奇跡が。準々決勝で宮崎の延岡学園に逆転勝ちし、準決勝では甲子園常連校の明豊にサヨナラ勝ち。決勝では優勝候補の福岡大大濠を下し、見事優勝! 廃部寸前だった公立校の野球部が私立の有名強豪校を次々と破り、見事「選抜高等学校野球大会」の切符をつかみとった。

野球部は全員が寮生活。西海市が用意した宿舎で、3LDKを4人で使用。スマホを使えるのは1日1時間だけで、貴重な息抜き時間に野球ゲームを楽しむ部員も。食欲旺盛な球児たちの胃袋と健康は、寮の食堂が支えている。部員と一緒にこの寮で暮らしている清水監督は、「生徒と一緒に寝食を共にするのは絶対に良い。怒った後のフォローを食事の時などにできたりする。大崎高校が勝てたのも、そこが大きな理由」と語る。

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食事が終わると監督のもとに運ばれてきたのは、大量の牛乳。部員は自分のコップを持って一列に並び、監督自ら牛乳を注ぐ。その際、一人ひとりに言葉をかけ、コミュニケーションを取るが「1回は顔を見るように、グラウンドで話さない子もいるので...。こういうことができるのが寮の良いところ」と清水監督。

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寮の食事で出される魚や肉、野菜に至るまで、ほとんどの食材は島民からの差し入れだそう。野球部の躍進が、島民の生きがいになっているという。部員たちは、家族や島民など沢山の人々に見送られ、いよいよ甲子園の舞台へ。

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島の応援を力に挑んだ「選抜高等学校野球大会」。しかし、島民に"勝利"という贈り物を届けることはできなかった。敗戦から2週間後、再び大崎高校を訪ねると「今まで体験したことがないくらい、たくさんの応援があった。次は絶対に勝つと伝えたい」「今度は甲子園で勝って、恩返しをしたい」とたくましく語る選手の姿が。

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4月に新1年生28人が入部し、総勢56人の新チームになった野球部。「学年が分からないようなチームにしたい。3年生が偉そうにして1年生だけ一生懸命やっているとか、そんなチームにしたくない。野球の上手い下手は二の次なんです」と熱く語る清水監督。大崎高校野球部は、夏の甲子園へ向けて始動していた。

番組では他にも、野球部の練習風景、OBのコメント、寮内への潜入取材、活気あふれる島の様子など、たっぷりと名門校の魅力をお届けする。

5月3日(月・祝)夜10時放送「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「西大和学園」急成長の秘密に迫る。

今回の名門校は、創立から35年で東大合格常連校となった奈良県の「西大和学園」。今年の東大合格者は76人で、ランキングは堂々の6位! そんな西大和学園とは、どんな学校なのか? なぜ、わずか35年で超がつく進学校へと変貌を遂げたのか?

1986年に設立された西大和学園は、高い理想を掲げて船出した。ところが、わずか数ヵ月後、保護者から学校運営に不満の声が上がる。そして教職員からの猛反発...一体、学園内で何があったのか? 番組では、スパルタと呼ばれた改革や男子寮を取材。「どうしても西大和学園に入りたい」と願う12歳の決断に家族は...?

どうぞお楽しみに!

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