<実録>電子契約システムの天国と地獄...便利の裏に潜むリスクとは?

公開: 更新: テレ東プラス

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新型コロナウイルスの影響や政府の「脱ハンコ」の動きに伴い、いま注目されている電子契約サービス。しかし、「本当に法的なリスクはないの?」「顧客に受け入れてもらえるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで今回、実際に電子契約システムを導入した担当者を直撃取材! 成功事例だけでなく、失敗事例についてもリアルなお話を伺いました。

各サービスの公式ホームページには、成功事例しか掲載されていないため、導入した人が実際どんなことでつまづいてしまったのかについてはなかなか知ることができません。ここでは、ヒアリングした担当者の声を成功事例と失敗事例に分け、それぞれ3つずつ紹介していきます。

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電子契約システムの天国

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【成功事例①】20日〜25日かかっていた業務が3日で完了(クラウドサイン)
「クラウドサインを利用し、毎月20万円前後の費用がかかっています。使っていてよかったのは、とにかく仕事のスピードが速くなったことです。よくNDA契約を締結しますが、平均20~25日かかっていた締結業務が、3日程度で完了するようになりました。導入している企業も多く、弁護士ドットコムの監修があるため、法的なリスクを心配している企業が初めて電子契約システムを導入するならクラウドサインが良いと思います(従業員規模:251~500名 IT業・エンジニア)」※起業LOG独自インタビューより・以下同

・解説
クラウドサインは業界シェア80%を誇る電子契約システムです。比較的低コストで利用できることに加えて、UIがシンプルで使いやすく「契約締結にかける時間・工数が削減された」という声が多いです。弁護士ドットコムが監修するサービスなので、上記の事例にあるよう機密情報を扱うことが多い場合やセキュリティ面でのサポート体制を重視する企業におすすめできるサービスと言えます。

【成功事例②】年間100万円の経費削減(電子印鑑GMOサイン)
「GMO電子契約サインを利用しています。当社の代表取締役が署名者登録をした後、法務局に届けている代表取締役印(実印)や認印などを登録。簡単に電子署名による契約締結が可能になりました。極めて画期的なサービスだと思います。また、年間で契約書に使っていた諸々の料金がかからなくなり、結果的に100万円の経費削減に成功しました(従業員規模:251~500名 IT業・アプリ開発)」

・解説
電子印鑑GMOサインは11万社以上の企業のITインフラを支えるGMOが運営している電子契約システムです。政府が利用している国内シェアNo.1の電子認証局「GMOグローバルサイン」と直接連携していることもあり、セキュリティ面でも安心。大きな企業であればあるほどペーパーレス化によるコストカットの効果は大きく、大幅な経費削減に成功している事例が多いです。

【成功事例③】Googleドキュメント上で契約書を作成することができた(NINJA SIGN)
「Googleドキュメントでデータ作成したツールを移行でき、タブレットで操作することも可能なのでとても使いやすいです。修正が履歴として残る機能があるので、もしも担当者が変わったとしても、データをスムーズに引継ぐことができます。使いやすさの面では、トップクラスだと思います。契約書作成がとにかく簡単なので、外回りが多い人材関連の企業におすすめ。利用者が1人の場合、月額約5000円での導入が見込めるため、フリーランスとして活躍している方にもおすすめです(従業員規模:251~500名 コンサルティング業界・事務職)」

・解説
NINJA SIGNはクラウドサインやDocuSignと比較すると知名度は劣りますが、とにかく簡単で初心者でも使いやすいと評価されている電子契約システムです。使いやすさの理由としては、上記の事例にあるようにGoogleドキュメント上で契約書作成ができるため、特別難しい操作が必要ないことが挙げられます。導入前は「使いこなすのが難しそう」というイメージを持っていた担当者からも使いやすいと評価されています。

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電子契約システムの地獄

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【失敗事例①】送信代が毎回220円かかる(クラウドサイン)
「印紙代がかからなくなるとはいえ、書類送信件数1件ごとに送信代が220円(税込)かかってしまうのはどうかと思います。工数削減の効果はあると思いますが、弊社はコスト削減のために導入したので、その意味ではあまり効果が出ていません。また、契約書のテンプレートをPDFではなくWordでそのままアップロードできるようにならないものかと思います。そのため、現在はGoogleドキュメント上で編集できるNINJA SIGNへの乗り換えを考えています。NINJA SIGNは送信代もかからないので、初めからNINJA SIGNにしておけば良かったと思いました(従業員規模:11〜30名 IT業・Webサービス)」

・解説
クラウドサインからNINJA SIGNに乗り換えを検討している事例です。クラウドサインでは契約書を送信するたびに毎回送信代が200円かかり、契約書の送信件数が多い場合、それを負担に感じる場合もあるようです。月間契約書を50件送信すると11,000円かかってしまうので、月額料金11,000円(税込)のスタンダードプランを利用しても、その倍の料金がかかってしまうことになります。またクラウドサインの場合、テンプレートをアップロードする際はPDFのみの対応となるので、テンプレートを修正する度にWord⇒PDFへ変換するのが手間という声もありました。

【失敗事例②】導入している会社が少なすぎて使えない(イースタンプ)
「知名度があまりないからなのか、契約相手の企業や地方公共団体に理解されにくく、ほとんど運用することができなかったため、業務の効率化にあまり寄与しませんでした。また、料金も高すぎます。月額の基本料金に加え、画像添付などのオプション機能をつけるとさらに課金されます。まだまだ電子契約システムが普及し始めたばかりという社会的背景もあり、需要・供給のバランスから料金が高止まりしているのではないかと感じました(従業員規模:1001名以上 建設業)」

・解説
電子契約システムを使う場合、顧客の理解を得るためにはサービスの知名度も大切です。イースタンプはGMOクラウドが提供する電子契約システムをベースに展開されているサービスですが、それでも"知名度の面で理解を得られない"といったことがあるようです。IT業界などでは比較的浸透されている電子契約システムですが、紙ベースでの契約書作成にこだわる会社を中心に取引する場合、理解を得られず、そもそも運用できないというケースもあり、このような失敗は絶対に避けたいところです。

【失敗事例③】堅い企業では使用を断られる(クラウドサイン)
「GMO電子印鑑Agree(現:電子印鑑GMOサイン)からクラウドサインに乗り換えました。GMO電子印鑑Agreeと比べると、手軽に使える分、堅い企業ではクラウドサインの使用を渋られたり、断られたりすることがしばしばあります。ステップごとの操作や修正が容易にできるので、使用者目線ではクラウドサインの方が使いやすいツールであると思いますが、信頼度という意味では劣っていると感じました(従業員規模:51〜100名 IT業)」

・解説
先ほどの事例と少し似ていますが、使いやすさを重視してクラウドサインに乗り換えたものの、クライアントに断られてしまったという事例です。クラウドサインは弁護士ドットコム監修のサービスであり、知名度も高いですが、電子印鑑GMOサインのような大手企業が運営しているサービスの方が受け入れられやすい場合もあるようです。電子契約システムを導入する際は自社のクライアントがどのような企業なのか、本当に運用できるのかといった視点も踏まえて検討するようにする必要があります。

まとめ

この記事では電子契約システムの成功事例と失敗事例を3つずつ紹介しました。実際に利用した担当者の声を聞くと、公式ホームページを見ただけでは分からないようなリアルな意見や不便と感じたポイントを知ることができます。非常に便利で画期的なサービスですが、自社で上手く活用するためには便利な面だけに目を向けずに、無料トライアルやデモ版を利用し、自社で運用できるのかを見極めることが大切と言えるでしょう。


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