眠い、声枯れする...花粉症がひどい原因は水分の摂りすぎ? 症状を和らげる意外な食べものと対処法

公開: 更新: テレ東プラス

木曜夜7時58分から放送の「主治医が見つかる診療所」は、皆さんが知りたい医療の疑問に第一線で活躍する医師たちがやさしく答える、知的エンターテイメントバラエティ。毎回、病院の選び方のコツや今すぐできる健康法などを、最新情報を交えて発信しています!

さて、今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられた健康相談は、毎年悩まされる「花粉症」についてです。同番組のレギュラー・石原新菜医師にお答えいただきました。

副作用もなく効果がすぐ出る漢方薬「小青竜湯」がおすすめ

doctor_20210421_01.jpg
Q:30代女性です。毎年スギ花粉に悩まされています。市販薬でなんとか持ちこたえてはいるのですが、口の中が乾燥したり、眠気に襲われたりするので困っています。漢方薬にはそういった副作用はない、と聞いたことがあるのですが、本当ですか? そのかわり効き目が弱かったりするのでしょうか?

最終的にはレーザー治療をするしかないのかな......とも思っています。重度の花粉症の場合、抗アレルギー薬、漢方薬、レーザー治療、どれが効果的なのでしょうか? それぞれメリットデメリットについても教えてください。

―― 先生、花粉症を漢方薬で治療することはできますか。また漢方の考え方ではどんな体質の人が花粉症になるのですか?

「漢方の花粉症の薬には "小青竜湯(しょうせいりゅうとう)" というものがあります。抗アレルギー作用があることが科学的に立証されており、漢方薬だから効き目が弱いということもありません。

私自身も大学のときに花粉症にひどく悩まされていたのですが、アレルギーになる人は漢方でいうところの "水毒" という状態にあります。アレルギー症状はスギ花粉でもハウスダストでも、何かしらのアレルゲンに反応するから鼻水が出たり、くしゃみが出たり、湿疹が出たりするのですが、体の状態として余計な水が溜まってしまう体質になっていることにその原因があるという考え方です。

水毒はアレルギーだけでなく、頭痛やめまいなどいろいろな症状を引き起こします。もともと花粉症のある人はまずは水毒の状態を改善したほうがいいですね。

水毒の改善には、普段から余分な水を溜め込まないようにすることが大切です。水分を取る場合も"出して→取る" という循環がとても大事で、よくモデルの方が体型維持や美容のために毎日何リットルもの水を飲んでいるというような話をしていますが、そのかわり皆さん運動や半身浴などで汗を出して水を循環させているんですね。

一方で、デスクワークで動かないし汗もかかない生活をしている人が、1日に2リットルも3リットルも水を飲んでいると、むくみの原因になるだけでなく、水毒の原因にもなります」。

―― 「小青竜湯」とはどのような薬なのですか?

「小青竜湯は鼻水などを止める薬ではなく、鼻や気管支から出てくる水を汗や尿に回してくれる、水の出る場所を変えてくれる薬です。抗ヒスタミン薬のような眠くなる副作用もありません。

漢方では体力のある・なしで処方する薬が変わったりするのですが、小青竜湯はどんなタイプの人にも使えるおすすめの薬です。また、少し多めに飲むとそれだけ強く効くので、たとえば朝、症状がひどければ製剤を2包飲むということもできます。

私の場合は症状がかなりひどく、セレスタミンというステロイドの入った抗ヒスタミン薬(効果が高いが眠気も強い)を服用していたのですが、生活習慣を見直して10kg痩せたことで花粉症から解放されました。

人は体重の約6割を水が占めているのですが、10kg痩せたことで6kgの水が減り、それで水毒が改善されたんですね。具合が悪いときの気持ちも、治ったときのストレスのない状態も両方わかるので、今、患者さんにはそのことを一生懸命にお伝えしています。」

―― ということは、水毒の人は少しぽっちゃりした方が多いのですか?

「そうなんです。汗っかきの人やむくみやすい人、下痢になりやすい人......要は水が多いから出ていくんですね。鼻水もそうです。だからと言って、水毒の人は水分を取らないほうがいいというわけではありません。ただ観察していると、頻繁にお茶や水を飲んでいたり、フルーツが好きだったりする人が多いですね。それを少なめにして、運動などで汗をかいて溜まっている水を出すように心がけるといいでしょう。先ほども言いましたが、出してから入れることを意識することが大事なのです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、気になる症状がある方はぜひ試してみてください」。

黒酢やバルサミコ酢に症状を和らげる効果も

doctor_20210421_02.jpg画像素材:PIXTA

―― この相談者は、最終的にはレーザー治療しかないのかなと思っているようですね。

「考えてみてもいいかもしれません。ただ、レーザー治療で治療効果があるのはだいたい2年くらいといわれています。再発したら繰り返し治療することもできますが、永久的な治療ではないことを知っておきましょう。あまり症状がひどいようなら一度レーザー治療を受けて、並行して自身の体質を改善していくのがいいと思います。

ほかにも減感作療法という、アレルゲンとなる花粉エキスを少量ずつ体内に取り込んで、アレルギー反応を減らす治療法もあります。

この方の場合、もしかするとスギ花粉アレルギーだけでなく、ほかに体調が思わしくないところがあるかもしれませんね。そうした不調は"未病(健康と病気の間の状態)"に当たるところなので、もう少し自分の健康レベルを上げるような食事であったり、睡眠であったりを意識していくと、花粉症のために頑張っていたことがほかの病気の予防にもつながっていくのではないかと思います」。

―― 漢方薬を試してみたい場合、医療機関で処方してもらうのでしょうか。また、食生活で取り入れたほうがよいものがあれば教えてください。

「小青竜湯については薬局でも購入できます。ただ、市販のものだと生薬が弱く、値段も割高になります。おそらくどこのクリニックでも処方してもらえると思いますので、かかりつけ医に相談してみてください。今飲んでいる抗アレルギー薬は症状がつらいときに飲むようにするなども可能です。

また、最近の研究で、お酢に含まれる酢酸菌が花粉症の症状を和らげるということがわかってきています。お酢ならどれでもよいわけではなく、一般的な透明なお酢はきれいにろ過されているため、ほとんど酢酸菌が含まれていません。取り入れるなら、にごり酢や黒酢、バルサミコ酢、香酢、サトウキビ酢などがおすすめです。

コロナ禍の今、治療薬がない、ワクチンがないという状況を見て(取材日の12月時点)、最後に頼れるのはやはり自分の免疫力だということで、腸内環境を整えるなど免疫力を高める生活習慣についていろいろと考え始めた人も多いと思います。きっかけは何であれ、病気の予防につながるわけですから、それは本当によいことです。こんなときだからこそ、自分の健康レベルを上げて、未病の段階で気づけるようにしておきたいですね」。

―― 石原先生、ありがとうございました!

【石原新菜(いしはらにいな)医師プロフィール】
イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師、本内科学会会員、本東洋医学会会員、本温泉気候物理医学会会員。1980年長崎県生まれ。2006年3月帝京大学医学部卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實医師のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。著書に『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『冷えをとれば9割治る』"など。2児の母でもある。

※この記事は石原新菜医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った石原先生も出演する主治医が見つかる診療所SP(4月22日木曜夜7時58分)は【人気者をガチ検査&得するベジ検定】!

doctor_20210421_03.jpg
今夜のテーマは、人気者をガチ検査する診療所&ベジ検定! 働き盛りのゲスト芸能人5人をガチで検査! すると、ボロボロの血管に、脳の血管のつまり、心臓肥大の疑いまで発覚するゲストも。さらに、重大な病気を持つ人が判明! いったい誰なのか...? さらにV6長野博が、最近よく見かけるようになった"ある野菜"についてトクする情報、栄養的にソンしない食べ方を伝授する!

PICK UP