「視聴者も騙している」 謎の男を演じる磯村勇斗、心の内にある思い:珈琲いかがでしょう

公開: 更新: テレ東プラス

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さりげない言葉で人を癒やす、優しくもほろ苦い人情群像劇、「珈琲いかがでしょう」(毎週月曜夜11時06分放送/テレビ東京系)。中村倫也演じる移動珈琲店「たこ珈琲」店主・青山一が心を込めてコーヒーを淹れることで、人生に傷ついた人たちの心を癒やしていきます。

人生に疲れている人々を癒やす一方で、次第に青山の過去も見えてきます。そこには、青山の過去に深く関わる男・杉三平(通称・ぺい)が。ぺいは、なぜ青山をつけ回しているのか......。今はまだ謎に包まれているぺいですが、動画配信サービス「Paravi」にて配信中のオリジナルストーリー「珈琲"もう一杯"いかがでしょう」では毎週ドラマ本編の続きの物語をお届けしています。

そんな謎の男・ぺいを演じる磯村勇斗さんに直撃インタビュー。ドラマの見どころ、ご自身の気になる存在について語ってもらいました。

ぺいは組織と同時に視聴者も騙している

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――「凪のお暇」などで知られる漫画家コナリミサトさんの同名コミックが原作ですが、読んだ感想から教えてください。

「まずは"かわいいタッチの絵で描かれているんだな"と感じました。同時に、社会をうまく生きられない生きづらさを感じている人たちがコーヒーと出合って救われていくという、真逆の暗い内容が描かれていて、そのギャップが面白いと思いました。

ドラマ脚本も悩みを抱えていたりギリギリの生き方をしている人たちが登場し、青山のコーヒーで救われていくというのは原作と変わらないです。そして、そこにオリジナルの要素が少し加えられて変化しています。生きづらい世の中ですが、見てくださる人たちがコーヒーを飲んでいるかのような気持ちになって、少しでもホッとする時間になればと思いました」

――謎の多いぺいですが、今後、少しずつ青山との因縁が明かされてきます。どのような人物だと思い、演じられていますか?

「彼は青山に近づくある目的があるのですが、その理由をバレないようにしなければいけないので、憎たらしく悪い感じに映るように演じている部分があります。あえて何を考えているか分からないようにしているところもあるんじゃないかな、と。

ぺいはチンピラですがそこまでオラオラしていなく、人間らしいところも多い人物だと思うので、そこを大切に演じていきたいです。ただ、登場人物を騙しているのと同時に視聴者も騙しているので(笑)、とくに前半はつかみ所がない人物に映っていると思います。

本来の目的と表面がうまくリンクしていないのは演じる上で難しいですが、中盤からぺいは自分の目的のために動き出すので、彼の役目を全うしたいです。今は"なんだコイツ?"と思っている人も、中盤以降を見るとぺいの心の動きなども分かってもらえると思います」

――金髪にするなど外見からも役作りをされていますね。

「髪を染めて切りました。メイクでそばかすを作ったり、目の下のクマも少し描いています。肌のざらつきというか汚れた感じがぺいの人生と少し被るような気もして面白いですね。メイクが決まるとスイッチが入る感じがあります。意識しているのは、原作を読んだ時に感じた雰囲気。それと台本に書かれてあることを拾いつつやってきました」

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――青山を演じている中村さんと本格的にお芝居で絡むのは初めてなんですよね。

「ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)のゲストに倫也さんが来てくださって一瞬共演はしているのですが、がっつりは初めてです。最初からイメージ通りでしたね。飾りのない素敵な声で『おはよ』と声をかけていただいた時はドキドキしました(笑)。皆さんが持たれている倫也さんの優しいイメージそのままですよ。倫也さんがまとっているオーラや演技を肌で感じることが出来ました」

――今回はコーヒーがキーアイテムとなる物語ですが、コーヒーは好きですか?

「大好きですね。毎日、2、3杯は飲んでいます。ただ、僕は人と打ち解けるタイプではないので、『たこ珈琲』があってもコーヒーはよく買いに行くけど青山とはとくに会話もせずに、『ありがとうございます』と去るのみの関係になると思います」

――人と打ち解けるタイプではないんですね。

「打ち解けないですね(笑)。人の話を聞くことは好きなので相談を受けることもあるんですが、あまり自分のことは話さないです。自己解決するタイプ。なのでドラマみたいな物語は何も生まれないですよ(笑)」

監督を経験して得たもの

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――磯村さんといえば、昨年ショートフィルム(「機械仕掛けの君」)を撮られて監督にも挑戦されましたが、監督を経験して心情の変化はありましたか?

「映像作品は俳優が所属する俳優部や撮影部、照明部などたくさんの部署から作られますが、俳優部もただの一つの部だと改めて思うようになりました。俳優は表に出るので作品の顔のようになってしまいがちですが、あくまでもチームの一部なんですよ。なので監督とちょっと意向が異なったときや疑問を感じたことはとりあえず手を上げて伝えることが大事かなと。やはり演者がおかしいと思いながら演じていれば、それは画面を通じて伝わってしまうと思うので。作品にとって良い選択肢を見つけて、みんなで同じ方向を向いて一緒に作品を作っていくことの大事さを改めて感じた経験でした」

――ぺいにとって青山は気になる存在でしたが、磯村さんにとって気になったり憧れの存在はいますか?

「いろんな人に影響を受けてきたので、この人というのはすごく難しいです。最近で言うと、映画『ヤクザと家族 The Family』(2021年)で共演した綾野剛さんと藤井道人監督の作品に対する向き合い方はすごく勉強になりました。監督は常に俳優に寄り添ってくれるし、剛さんは俳優だけどスタッフさんのことまでちゃんと見ながら引っ張ってくださっていったので。自分のことだけにならず、周りを見るという目線も大事だと思いました」

【プロフィール】
磯村勇斗(いそむら・はやと)
1992年9月11日生まれ。静岡県出身。連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK)、「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「きのう何食べた?」(テレビ東京系)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)、映画「ヤクザと家族 The Family」(2021年)などに出演。2020年、WOWOW開局30周年プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」では、近未来ディストピアSF「機械仕掛けの君」を監督。出演映画「東京リベンジャーズ」が2021年7月9日(金)公開、劇場版「きのう何食べた?」も2021年公開予定。

「珈琲いかがでしょう」、4月12日(月)夜11時06分放送の第2話は?

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第2話
「キラキラ珈琲」
青山一(中村倫也)はみかん畑に囲まれた、ある田舎道で「たこ珈琲」を開店していたが、ここにいるのもこの日まで。営業を終え、深夜、車で東京へ移動していると、後方で何やら物音が...。髪をピンク色に染めたみかん畑の娘・大門雅(山田杏奈)が、こっそり乗り込んでいたのだ。慌てて引き返そうとするが、雅は田舎生活がとにかくイヤで、可愛い自分は東京でも通用するはずだと訴える。既にオーディションを受けることも決めていた。「東京で何かしらになりたい」...何を言っても引き下がらない雅に根負けした青山は、親へ報告することを条件に連れていくことに。
東京では、雅のインスタのファンだという、礼(臼田あさ美)の世話になることになっていた。原宿で落ち合い、オーディション会場へ連れて行ってもらう間にも、スカウトされたり、かわいいものに囲まれたり。期待感がますます高まっていくが――。

「だめになった珈琲」
ある日、礼のルームメイト・ヤイ子(三浦透子)が、突然出ていくと言い出す。最近の礼の行動にもうついていけないという。ついに独りぼっちになった礼の部屋に突然、青山が訪ねてくる。雅が部屋にスマホを忘れたといい、早速探し始めると、雑然とした部屋から古びたエスプレッソマシーンが出現。礼は機械を懐かしそうに見つめながら、上京した頃のことを青山に話し始める...。

また、各話放送後に、動画配信サービス「Paravi」にてオリジナルストーリー「珈琲"もう一杯"いかがでしょう」を配信。ベールに包まれたぺい(磯村勇斗)による、ドラマ本編の続きの物語をお届け。

(取材・文/玉置晴子)

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