中村倫也「なぜか分からないけど、この男に身の上話をしてしまう」 移動珈琲店の店主が心を癒す:珈琲いかがでしょう

公開: 更新: テレ東プラス

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「凪のお暇」などで知られるコナリミサトのマンガを連続ドラマ化した「珈琲いかがでしょう」(毎週月曜夜11時06分/テレビ東京系)が、4月5日(月)スタート。移動珈琲店"たこ珈琲"の店主・青山一がさりげない言葉で人生に少し傷ついた人たちの心を癒す、やさしくもほろ苦い人情群像劇。

映画『かもめ食堂』『めがね』などで知られる荻上直子が監督と脚本を担当。爽やかで飄々とした雰囲気を持つ青山を演じるには「あの珈琲屋さんが中村倫也にしか見えない......」と原作ファンから待望論があったほど似ている中村倫也。撮影を前に、お正月休みに珈琲を淹れる練習をしたという中村さんに、ドラマや演技、コーヒーについて語ってもらった。

――ドラマ「凪のお暇」(日本テレビ系)では中村さんの演じた"メンヘラ製造機"ゴンが話題となりましたが、今作の原作もコナリミサトさんの漫画です。まずは原作を読んだ感想を教えてください。

「何がきっかけだったのか覚えていないのですが、大分前に読んで連続ドラマにしたら面白いだろうと感じていました。人を救いながら自分も救われていくミステリアスな男の物語で、前半と後半でガラッとテイストが変わるのが面白い。

ありがたいことに"青山一"と僕のビジュアルが似ていると言われていることは僕のもとにも届いています。ただ、あくまでも僕たちは脚本を元に作るので、そこはあまり気にしていないですね。それより意識しているのは、"なぜか分からないけど、この男に身の上話をしてしまう感"。各話のゲストの方々のエピソードをホストとして引き出せるような存在になっていきたいです」

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――街から街へ、行く先々で、人生に少し傷ついた人たちの心を癒していく移動珈琲店の店主"青山一"。ビジュアル以外で青山と似ていると感じる部分はありますか?

「1つのものを丁寧に作っていくのが好きなところですかね。あと青山のセリフに共感するところは多々あります。なんというか、相手の自己肯定感を高める言葉が多いんですよ。それはきっと、彼の人生で色んなことがあって、出会いや葛藤の末にたどり着いた言葉だと思います。そういうものをアウトプットしたいという願望と、その言葉のチョイスや手渡し方みたいなものは通ずる部分がある気がします」

――今回は荻上直子さんが監督を担当されていますが、印象はいかがですか?

「監督はカットをあまり割らないんですよ。コーヒーとか手元とかは撮りますが、芝居パートは結構長回しで撮影していて。空気感というか漂っているものを丁寧に撮っている感じが映画っぽい。コーヒーの味や匂いはお届けできないですが、香り立ってくるものがあるはずです。また後半はダークな方に物語が傾いていくので、その深い穴の底をどれだけちゃんと映し出すのか楽しみです」

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――各話ゲストとして、第1話に足立梨花さん、貫地谷しほりさん、第2話に山田杏奈さん、臼田あさ美さん、第3話に戸次重幸さん、小手伸也さん、滝藤賢一さんら毎回豪華。ゲストの方との共演で楽しみにしていることはありますか?

「ドラマではメインの人が何人かいる中に毎話ごとのゲストが来るパターンが多いですが、今回は毎話が僕対ゲストの物語なので、登場人物がめまぐるしく変わっていきます。バタバタなので大変なところもありますが、飽きなくて面白い。

また、ゲストの方は知り合いが多いため、気兼ねしない空気感と居心地の良さを感じています。芝居をする上で、信頼関係みたいなものがあるのはすごくやりやすい。みなさんすごく印象的で、種類の違う物語もあるので演じていても楽しいし、見ていても面白いはず。是非楽しんでいただきたいです」

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――本作に向け、お正月休みに毎日コーヒードリッパーと向き合っていたとのことですが......

「ドリップの練習をしました。コーヒーを淹れるためだけに4、5分集中するのは楽しかったです。静かに豆と向き合う作業が性に合っているというか。毎回、豆の反応が違うんですよ。それによってできたコーヒーの味も違っていて、なにか不思議......。元々、飲むのは好きでしたがちゃんとした淹れ方は知らなかったので、この作品を通じてコーヒーと向き合う楽しさを教えてもらっている感じです」

――コーヒーを淹れる作業と役作りはどこか似ているような気もします。

「何事もそうですが、一生懸命やっているとそれまで気づかなかったことが見えてきたりするんですよ。そしてそれがすごく仕事の上で助けになったり。どこまで追求して一つのものと向き合えるかは、どの仕事をしていても大事な気がします。コーヒーも丁寧にやっていると色んな変化が起こったり反応があることに気づくので、似ているかもしれないですね」

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――青山にとって"たこ珈琲"のコーヒーが人生の転機になったように、中村さんにとって人生の転機となったものはありますか?

「小劇場ですかね。21歳のときに出合ったのですが、謎のバイタリティに満ちたおじさんとおばさんたちがいて(笑)。『やってやれ!』という感じがすごくあったんですよ。それまで僕が触れてこなかったことだったのである意味ショックを受けたというか。青山がコーヒーを飲んで『なんだこれは?』と言うシーンがあるのですが、まさしくそれ。小劇場に関わって、『なんだこれは?』と思いました」

――最後にドラマを楽しみにしている視聴者に向けてメッセージをお願いいたします。

「振り幅のある作品になると思います。やさしくほっとできる憩いの公園のようなシーンと、ヒリッと肌を刺激する息を飲むシーンが織りなす鎖かたびらのような物語。ときにズシッと重いかもしれませんが、きっと見終わった後、何かから守る力を得られると思います。ご期待ください」

癒やしとほろ苦さが共存するストーリーだけではない、想像もつかない急展開を見せる群像劇「珈琲いかがでしょう」は、4月5日(月)夜11時06分スタート! 主演の中村倫也に加え、夏帆、磯村勇斗の共演、さらに物語の後半でキーパーソンとなる男役で光石研が出演、毎話の豪華ゲストにも期待。25年ぶりにテレビドラマ主題歌を担当する"オザケン"こと小沢健二によるオープニングテーマ「エル・フエゴ(ザ・炎)」にも注目です!

【プロフィール】
中村倫也(なかむら・ともや)
1986年12月24日生まれ。東京都出身。A型。2005年、俳優デビュー。2018年、NHK胸きゅんイケメンからサイコパスな男まで幅広く演じる"カメレオン俳優"として映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。主な出演作に『凪のお暇』(TBS系)、『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)、『この恋あたためますか』(TBS系)など。現在映画「騙し絵の牙」が公開中。2021年5月28日公開予定のアニメーション映画『100日間生きたワニ』ではネズミ役を担当。初のエッセイ集「THEやんごとなき雑談」が発売中。

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第1話
「人情珈琲」
垣根志麻(夏帆)は、誠実・丁寧・義理・人情をモットーに働くOL。その不器用さゆえ効率重視の部長(井上肇)には毎日のように怒られている。もてはやされるのはいつも、明るくて要領がいい後輩・馬場(足立梨花)だ。
一人寂しくランチタイムを過ごしていたある日、どこからともなくいい匂いが漂ってくる。香りの先には、青山一(中村倫也)が営むたこマークの移動珈琲店「たこ珈琲」があった。一杯一杯丁寧に淹れる工程と、出来上がった珈琲のおいしさに感動した垣根は、自分の不器用さにしんどさを感じていることを思わず青山に打ち明ける。

「死にたがり珈琲」
クレーム対応の電話オペレーターをしている早野美咲(貫地谷しほり)は、心を無にしてただただ謝る毎日を送っていた。ある晴れた休日、美咲が洗濯物を干していると、どこからか珈琲の香りが漂ってくる。「こんな昼下がりは死にたくなる」...穏やかなひと時に反して、ベランダでそんなことを思った美咲。手すりに片足をかけたその時、美咲の目に真下にいる青山の姿が飛び込んでくる。しかも目が合うと笑顔を見せ、驚いた美咲はその拍子に干していたガードルを落としてしまい...。

また、各話放送後に、動画配信サービス「Paravi」にてオリジナルストーリー「珈琲"もう一杯"いかがでしょう」を配信。ベールに包まれたぺい(磯村勇斗)による、ドラマ本編の続きの物語をお届け。

(取材・文/玉置晴子)

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