コロナ禍の中･･･いま攻める”外食チェーン”「日高屋」＆「かつや」の新戦略：ガイアの夜明け

今週から「金曜よる10時」放送！現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」（毎週金曜夜10時）。4月2日（金）の放送では、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた外食業界に密着。いまこのご時世に、"攻め"に転じる人気外食チェーン店の戦略に迫る。

今なぜ？出店攻勢「日高屋」80歳熱血創業者の大勝負

新型コロナの影響で大打撃を受けた外食業界。多くの店舗が閉店するなど厳しい状況が続く中、この現状をチャンスと捉え、攻めの経営に打って出る外食チェーンもある。

首都圏を中心に約400店舗を展開する人気のラーメンチェーン「日高屋」。看板メニューの中華そばは1杯390円、餃子一皿230円などリーズナブルなメニューが人気を集め、深夜の"ちょい飲み"需要も取り込んで急成長。東証一部に上場する一大チェーンとなった。ところが、新型コロナの影響で売り上げが激減。2021年2月期の決算では、創業以来最大となる30億円の赤字が見込まれている。

それでも先を見据えるのは「日高屋」を一代で築いた会長の神田正さん。創業以来徹底して"駅前"出店にこだわり、今でも自ら物件探しを担当する神田さんは、コロナの影響でいま新橋や銀座など、一等地の駅前物件に空きが出ていることに着目。「今こそチャンス」と、"都心の一等地"へ出店攻勢をかけようとしていた。

さらに神田さんが目を付けたのは、郊外のロードサイドへの出店。コロナの影響で大手のファミレス3社だけでも約500店を閉める計画など、大量の空き店舗が出ている状況だ。駅前に加えて、今まで手を出さなかったロードサイドエリアへの進出を決断したのだ。

しかし、サラリーマンがターゲットだった駅前と違い、郊外でカギを握るのは、ファミリー層や、主婦などの女性客。その上、今は"テイクアウト"の需要も高まっている。いずれも日高屋のウイークポイントだ。
その課題に立ち向かうのは、神田さんの義理の弟でもある社長の高橋均さん。今年で74歳を迎えるが、今もメニュー開発は高橋さんの担当だ。さっそく、自ら中華鍋を振り、女性向けのメニューに取り組む。さらに「日高屋」初となるテイクアウト用弁当も開発。女性社員の意見も聞きながら、新しい客層をつかむための試行錯誤が続く。

ロードサイドへの出店には別の課題も。これまで駅前で展開していた「日高屋」の店舗は平均30〜50坪程度。一方、ファミレスの跡地は約100坪と駅前店舗の倍以上あるものが多く、「日高屋」の店舗としては広すぎるのだ。そこで神田さんが見いだした秘策とは・・・。

「かつや」が仕掛ける"週替わり"の㊙店舗とは・・・

ロードサイドを中心に全国420店舗を展開する「かつや」は、厳しい外食業界にあって好調な外食チェーン。一番人気のカツ丼は1杯539円など、安さと美味しさで郊外の客をがっちりつかみ、2020年の売り上げは、時短営業にも関わらず前年を超えた。

そんな「かつや」を運営するのが、「アークランドサービスホールディングス」。社長の臼井健一郎さん（48歳）は、元々広告代理店に務めていたが、2000年にアークランドに入社。当時20店舗ほどだった「かつや」の店長からスタートし、会社を一部上場企業にまで成長させた。

しかし、好調の裏で臼井さんには大きな危機感が･･･。「かつや」を始め17業態約700店舗を展開しているが、中には、コロナの影響が直撃したものもある。シーフードを豪快に手づかみでかぶりつくのが売りだったレストランなど、グループ客をメインにした店はコロナへの対応が難しく、緊急事態宣言中はほぼ休業。売り上げが大きく落ち込んだ。しかし臼井社長は「数字だけを見て下を向くと、新しい行動に出られない」と、新たな戦略に乗り出すことにした。

臼井社長が新たに仕掛けるのは"週替わり"でメニューが変わるお試し店。毎週違う担当者がさまざまなメニューを"ランチタイム限定"30食・500円で提供。お客の評判が良ければ新業態として出店する"テストキッチン"だ。