“コロナ離婚”を避けるために考えたい”夫婦の距離感”と”イライラ解消法”

公開: 更新: テレ東プラス

木曜夜7時58分から放送の「主治医が見つかる診療所」は、第一線で活躍する医師たちが、より健康に、より快適に生きるための医療情報を紹介してくれる知的エンターテイメントバラエティです。

今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、新型コロナウイルスの影響によるテレワーク(在宅勤務)への切り替えがきっかけで起きた家庭内トラブルについてのお悩みです。同番組のレギュラー・姫野友美医師に、"コロナ離婚"を避けるために考えたい夫婦の距離感、イライラの解消法などについて伺いました。

通勤に使っていた時間を夫婦で有効活用して

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Q:40代女性です。コロナ禍で夫がテレワークになり、1年になろうとしています。「コロナ離婚」なる言葉も誕生しましたが、私たちも決してその例外ではなく、三度の飯を要求され、一緒にいる時間が増えたことで互いの主張がぶつかることもしばしば。そのうち家事のやり方にまで口出しされるように...。

「会社に行けばいいのに!」「もう離婚したい」などと考える毎日が続き、イライラしてしまいます。子どももいるので離婚は避けたいのですが、日々どんなメンタルで過ごせばいいのか......姫野先生、何か良い対処法はないでしょうか?

―― コロナ禍でこういった話をよく耳にするようになりましたが、解決に結びつくような具体的な対処法はあるのでしょうか。

「テレワークになって、仕事中は物音を立てただけで怒られるから、掃除機もかけられない、ペットボトルもつぶせない、洗い物もしにくい...ようやく夫の仕事が終わってよしここから!と思うと、今度はお酒を飲みだしてしまいそちらに気をとられる...。結局、家のことが何もできないと嘆いている女性も多く、皆さん本当に大変ですよね。相談者がイライラしてしまう気持ちもわかります。

対処法としてすぐにできることは2つあります。1つは空間を分けること。生活と仕事の空間が一緒になるとどうしてもプライベートがなくなってしまうので、うまく棲み分けをするようにします。ただ、日本家屋は居住スペースが狭く、部屋数がたくさんあったり、独立した仕事部屋のあるご家庭は少ないと思います。その場合、たとえばロールカーテンをする、ついたてをする、家具を少し動かしてスペースを作るなど、まずは1つの空間を物理的に分ける工夫をしてみましょう。押入れを改造してみるのもいいと思います。

さらに、ご主人が会議をしている最中は、買い物に行くなど外出するようにする、反対にご主人が気分転換で散歩に出たときに家事をするなど、室内と屋外で棲み分けるというのも1つの方法で
す。

2つ目は、時間を分けること。何時から何時までは仕事の時間、何時からはプライベートな時間ときっちり分けるようにします。そしてプライベートな時間は何をしてもよい時間と決め、音を立ててもOKというルールにしておきます。その際、今まで通勤にかかっていた時間がいらなくなった分、家事に当てるよう提案してみるのもおすすめです。一緒に、あるいは分担して家事をすれば "自分だけが家事の負担が増えてしまった" という気持ちにもなりにくくなります。

家屋の事情で日本ではテレワークが根づくのは難しいかもしれませんが、まずはこの2つ、"空間を分ける" "時間を分ける" ことを意識するようにしてみてください」。

―― 朝・昼・晩の食事の問題も毎日だと苦痛に感じてしまいますね。

「そういうときは、朝食づくりの段階で昼のお弁当も一緒に作ってみてはどうでしょう。私も朝、昼と夜の2回分のお弁当を作ったりするのですが、こうしておけば昼食を用意する手間がなくなります。お弁当ならいつどこで食べるかはお互い自由にできます。それぞれ好きなときに好きな場所で食べて、洗い物は後で二人ですればよいのです。

家にいる時間が長い今の状況は、考えようによっては家事がいかにマルチタスクであるか、煩雑で細かい作業が多いか、ということを夫にわかってもらうよいチャンスなのだと思います。これをきっかけに共同作業・分担作業を進めて、1人でも生きていける人に仕立て上げるのもいいと思いますよ(笑)」。

家での食事で気をつけたいのは糖質過多

doctor_20210331_02.jpg画像素材:PIXTA

―― 40代になると自身の体の変化からもイライラしやすくなりそうですが、食生活で心がけたほうがいいことはありますか。

「イライラの原因の1つはセロトニン不足です。セロトニン合成には鉄やタンパク質、ビタミンB群が必要なのですが、40代の方なら今の年齢まで25年くらい生理があるわけですから、かなり鉄欠乏になっています。そうなるとセロトニン合成ができなくなってくるんですね。セロトニンが足りなくなるとイライラしたり神経過敏になりやすくなり、何かちょっと言われだけでもカッとなったり、落ち込んだりするようになります。鉄やタンパク質、ビタミンB群は意識してしっかりと補うことが大切です。

逆に、糖質を摂るとイライラが強くなります。1日3回家で食事をするようになると、だいたい昼食は麺類などになって炭水化物が増えるんですね。それによって血糖値が変動しやすくなり、食後に強い眠気が起きたり、気分もアップダウンしやすくなったりします」。

―― 血糖値をなるべく安定させるにはどうしたらいいのですか。

「糖質を減らして、タンパク質と脂質を摂ることです。タンパク質は血糖値を若干上げますが、脂質はまったく上げません。食事のバランスをタンパク質と脂質を中心にして糖質を減らしていくと、血糖が安定してくるので、脳も安定してきます。

昼のお弁当を作るときも、おにぎりだけなどにしないで、肉や卵などのおかずを加えてタンパク質をしっかり摂る工夫をしましょう」。

―― こういった相談事でイライラしているのは女性が多いという印象ですが、何か理由があるのでしょうか。

「この相談ではそれぞれの家庭の事情もあり、何が正解ということにはなりませんが、もともと女性は男性に比べてセロトニン合成が少ないので、イライラしやすいんですね。性周期によって生理前にはエストロゲンの分泌が減り、それに伴って脳内のセロトニンの分泌も減少します。生理前になるとイライラするのはそのためで、怒りっぽくなったり、やたらと甘いものが食べたくなったりするのです。女性にはそういう体質があるのだと理解して、工夫するしかありません。

セロトニンを増やすには朝日を浴びたり、リズム運動をしたりするのが効果的です。リズム運動というと特別なことのようですが、同じような動作を繰り返すことと考えるとわかりやすいかもしれませんね。たとえばウォーキングやサイクリング、坐禅の呼吸、窓拭き、編み物などもリズム運動です。イライラしたら窓を拭くようにすれば、家もきれいになって一石二鳥ですね(笑)」。

―― 姫野先生、ありがとうございました!

【参考資料(姫野友美先生・著)】
『心療内科医が教える 疲れとストレスからの回復ご飯』(大和書房)
『認知症になりたくなければラーメンをやめなさい』(講談社)

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)、「心療内科医が教える 疲れとストレスからの回復ごはん」(大和書房)など著書多数。近著に「認知症になりたくなければラーメンをやめなさい」(講談社)。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った姫野先生も出演する主治医が見つかる診療所(4月1日木曜夜6時25分)は【主治医が見つかる診療所!春の芸能人ガチ検査SP】!

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