親との死別、離婚の末、礼文島へ嫁いで50年。苦労と後悔の連続だった81歳女性の安否は?:家、ついて行ってイイですか?(明け方)

公開: 更新: テレ東プラス

3月15日に放送した「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜)では、北海道・礼文島で出会ったてる子さん(取材当時81歳)の家について行きました。

スタッフが礼文島で取材を始めることおよそ4時間半。興味を示してもらえるものの取材のオファーをすると断られてしまう...、そんな絶望的状況の中で人影を発見したのが夜10時30分頃。島で唯一のコンビニエンスストアにお買い物に来たという高齢の女性に声をかけると「うん、いいよ」と快諾していただきました!

20年前に肺がんで夫を亡くして現在はひとり暮らしをしているというてる子さんは81歳。「嫁いでこの島に来たのですか?」と聞くと「それが運の尽き」と冗談めかしたお返事が...。

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2LDKの平屋建てのお宅は、築100年以上。天井が落ちているため使っていない部屋あり、キッチンには使っていない冷蔵庫あり。お風呂やトイレも年季を感じます。動脈硬化対策で夏でもストーブが欠かせないそうです。

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「私2歳の時から親がいなんだよ」と、てる子さんの身の上が少しずつ解き明かされていきます。「父親がバーっと母親をぶん投げて、刑務所入ったりして」と、父親の暴力によって母親を亡くし、12歳からは宮城県仙台市の義兄の元で育ったそうです。

良くしてくれた義理のお兄さんのためにも働いて自立しなくては、との思いから「中学さ入ったら、とにかく勉強をがんばって、ここのウチを出る」と決意、中卒でも試験さえ受かれば雇ってくれるという男子刑務所に就職。

その後「20なんぼ」のときに結婚したものの、ワケあって2年間逃げ回り離婚。「あの頃は2年間別居していれば籍を抜くことができたんだよ」と、壮絶な半生をさらっと語ってくれました。

その後、北海道のすすきので働いていたときに礼文島から嫁探しの知らせがあり、会ったこともない男性と再婚。以来、礼文島で暮らしています。「それが運の尽きですよ」と、投げやりに話すてる子さん。これは照れ隠しなのか、本音なのか...、はかりかねたスタッフが「結婚生活は良かったですか?」と改めて質問すると、「良くね、良くね」...。

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長男が小学校3年生のときに白血病になったため、病院に通うてる子さん。しかし毎日8時になると「この馬鹿者、早く帰ってこい」と夫から電話があったといいます。その長男は「覚えてれ」の言葉を残して中学卒業後に出ていったきり。てる子さんも家を出ていくことを考えたそうですが、「次男が母さんと一緒に生きたいって、泣いたからさ。子どもを置いていけなかった」。

「礼文島に来て良かったですか?」と改めて聞くと「ううん、ダメ。後悔している。本当に苦労したんだよ」。

てる子さんが55歳のときに、21年間支えた夫が死去。幸せな夫婦生活ではなかったと話すものの、それでも寂しさを感じたといいます。「礼文島に来て良かったと思うことは?」の問いに、笑い出すてる子さん。何かを思い出そうとするかのように一点を見つめてしばらく考えたあと、「良かったなと思うことは無いな」と静かに語ります...。

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「今日磨いたんだよ」と言って、見せてくれたおりんはピカピカ。「毎日線香をあげてご飯もあげてるの。生きてた時はよくしてもらえなかったけどさ、死んだ人には罪はねえからさ。たまにボヤくよ。ババ(私)を見守ってくれっていつも言うよ」と語ったあと、「自分でやれる事はやった。それを思うと胸がスッとする。楽しく生きていきたい」と前向きな言葉で締めてくれました。

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取材から1年6カ月後、再びてる子さんのお家を尋ねました。人が暮らしている形跡はありますが、てる子さんの姿が見えません。よく買い物に訪れていたコンビニで「入院されていると思う」との情報を得て、病院に向かいますが新型コロナウイルス対策で会うことができませんでした。

後日、テレビ電話で再び取材を試みると、入院中でしたが、思ったよりも元気そうなてる子さんの姿を見ることができました!

転倒して足を骨折し、入院生活を送っているそうですが、息子(次男)さんや嫁さん、お孫さんがお見舞いに来てくれるそうです。最後に「おにいちゃん、元気でね。ケガだけはしないでね」と、穏やかな笑顔で優しい言葉をスタッフにかけてくれました。ご家族との交流が増えたようで何よりです。いつまでもお元気で!

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