杉野遥亮×清野とおる×チャンス大城が鼎談「正直出演を迷いました(笑)。ものすごく悩んだし、たくさん考えました」(杉野):東京怪奇酒

公開: 更新: テレ東プラス

「怪奇酒とは......この世のモノではない異形のモノが出没する可能性のある非日常空間で、感情を揺さぶらせながら飲酒する行為を言う」――。知人から心霊話を聞くや、そのスポットにわざわざ出向き、その場に合った酒とつまみを恐怖心や高揚感の中で楽しむ。テレビ東京で放送された「山田孝之の東京都北区赤羽」(2015年)、「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」(2016年)で知られる漫画家・清野とおるの実体験をもとに描いた「東京怪奇酒」をドラマ化! 2月19日(金)深夜0時52分より、ドラマ25枠でスタートする。

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ドラマ25「東京怪奇酒」のスタートを前に、心霊ホラーものが大の苦手ながら本人役で主演する杉野遥亮、こちらも本人役でゲスト出演する清野と、怪奇体験に度々遭遇するお笑い芸人・チャンス大城(第1話でゲスト出演)が集結。前代未聞の漫画がドラマ化され、出演すると聞いた際の心境から撮影の裏話、そして「オバケに対する恐怖感とオサケに対する高揚感が科学反応を起こす」(清野談)ことで生じる"混ざる"とは一体どんな現象なのか......? 寒空の中、熱~く語ってもらった。

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「そんなに深く考えなくてもいいんじゃない? という人もいると思いますが、僕はそうじゃなかった。もしもスタッフさんが憑りつかれたら嫌だし...」(杉野)

――まずは清野さん。「東京怪奇酒」という、ある種、前代未聞の漫画を描こうと思われたきっかけは何だったのでしょう?

清野「それまでは主に居酒屋やスナックに通いつつ、そこで体験したことを漫画に描いていたんですけど、40歳に差し掛かって飽きた...と言うと語弊がありますが、人と関わることにちょっと疲れてしまって...。"じゃあ心霊スポットに飲みに行ってみよう"と思いました。もともと怪談は好きでしたし、幽霊であれば献本したり、気を遣わなくてもいいし(笑)。一石二鳥かなと」

――(笑)。ドラマ化のオファーがきた際の心境は?

清野「正直、ドラマ化は期待していませんでした。怪奇酒自体不謹慎といえば不謹慎な行為じゃないですか? 連載中はそういうのを気にせず、自分が楽しいように描いていたんですけど、ドラマ化された今、改めて振り返ってみると、漫画の中で怪奇スポット以上にパワースポットと呼ばれる縁起のいい場所にも足しげく出向いていたので、図らずもそっち方面の力を証明しちゃったのかなと。つまり、幽霊がいるかいないかに関しては答えを出すことはできなかったけど、"こんな内容の漫画がこんな豪華なキャストのみなさんでドラマ化できちゃった..."この事象こそが、出向いたパワースポットのおかげなのではないかと思いました」

杉野「今度は清野さんにパワースポット系の漫画を描いていただいて、その作品を僕がやりたいです。『みんなで運気上げに行こうぜ!』って(笑)」

清野「ただ、そっち系の漫画を描いている人はたくさんいるんですよ。僕は常に、誰もやったことがないことをやりたいと思っているので。それも『東京怪奇酒』を描いた理由のひとつです」

――杉野さんは、1~2月にドラマ25で放送された「直ちゃんは小学三年生」に引き続き、今作でも主演されます。心霊ホラーものが大の苦手とのことですが、オファーが来た時、どう思われましたか?

杉野「正直、出演を迷いました。そもそも心霊スポットで飲む行為を理解できないですし、そんな僕が観てくださる方にどう伝えたらいいのか...。"そもそもそういう(怪奇酒をやるような)人をよしとしないのに、本人役を演じたらウソになるんじゃないか"とかいろんな感情があり、僕にはできないんじゃないかと思ったんです。ものすごく悩みましたし、考えました」

――台本を読んでも同じ気持ちのままでしたか?

杉野「それは変わらなかったです。じゃあなぜお受けしたのかと言えば、マネージャーさんに3度ほど『できないかもしれない』とお伝えしたんですけど、『どうしてもやってほしい』の繰り返しで話が前に進まなくて。マネージャーさんがそこまで言ってくれたことと、あと『直ちゃん』とセットのオファーだったので、"怪奇酒への迷い"よりも"直ちゃんをやりたい"が勝った...という経緯があります(笑)」

――そこまで頑なだったということは、心霊現象を信じているとも言えますよね?

杉野「うーん...言葉にするのが難しいですけど、そういう世界を知っている人がいらっしゃる中で否定はしたくないし、冒涜したりバカにすることはできないと思ったんです。なので、霊的なモノが見えるという場面では、僕なりの意見を言わせていただきました。それと同時に"ホラー・コメディとしてどう面白く伝えることができるのか"という点も、監督さんやプロデューサーさんとたくさんお話しさせていただきました」

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――冒涜することへの批判や憑りつかれたらどうしよう、みたいな不安があったと?

杉野「それもありました。"そんなに深く考えなくてもいいんじゃない?"という人もいると思いますが、僕はそうじゃなかった。もしもスタッフさんが憑りつかれたら嫌だし、バカにしたくないし怖いことだし...。でもいろいろ考えた結果、人を怖がらせるためにモノを作るというよりも、"こういう世界観で笑っていただこう"という方向で行こうと思いました。その方が僕の性に合っているし、観てくださる方にもお届けしやすいのかなと」

清野「僕はもちろん霊的なものを信じていますし、信じたいから見たい。100%信じたいから本当に見たいんです。だから見える人がうらやましいです」

――お酒を飲むと、霊的なものが入りやすいと言う人もいますが。

杉野「だから撮影中、ずっと赤いパンツを履いていました。赤はいい色だと聞いたので」

清野「でもお酒って、昔から神聖なものじゃないですか? 神様にお供えするくらい。お酒の種類にもよると思いますが、心霊スポットに行ってお酒を飲むという行為は、結果的に除霊とか浄化されてる可能性も否めませんよね。まあ僕は、お供えするような高価なお酒を飲んでませんけど(笑)」

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――ちなみに怪奇酒を行う中で生じる"混ざる"という現象。あれはどんな感覚なんですか?

清野「オバケに対する恐怖感とオサケに対する高揚感が科学反応を起こす現象ですね。サウナと水風呂を交互に繰り返すことで起こる"整う"に近い感覚なのかなと思います。僕は怖がりなので、シラフだと純粋に心霊スポットを楽しめないからお酒を飲むというのもあります。だから、後押ししてくれるお酒の高揚感と恐怖感のバランスが大事。そっと後押ししてくれるくらいの適量のお酒というのがポイントですね。じゃないと、ただ酔っぱらって何も感じないので」

杉野「僕は"混ざる"シーンは想像しながら演じました。顔の表情で見せるというか、それこそ、"杉野遥亮の新しい一面を見ていただけたらいいな"と思って演じさせていただきました。自分でも変な顔してるな~と思いましたから(笑)」

「怪奇酒はオバケとの戦いではなく、己との戦い」(清野)

――漫画では「事故物件に住み始めたら恋愛や仕事が急に上手くいきだした」という例が描かれていたり、清野さんご自身も怪奇酒を始めてからアイデアが浮かぶようになったとおっしゃっていましたが、何がそうさせたと思いますか?

清野「"怪奇酒はオバケとの戦いではなく、己との戦い"と言ってるんですけど、普通であれば率先してやらないことをあえて進んでやることにより、脳がビックリするんですよね。そうすることで新たな視野や価値観が得られると思うので、怪奇酒というのは僕にとっての"脳トレ"。その結果、これまでは思いつかなかったアイデアや表現が得られたんじゃないかなと思っています」

――お待たせしました、大城さん!

大城「......えっ? えーハイハイ。えーっと......今回の『東京怪奇酒』は壮大でしたね!」

杉野「聞いてなかったんですか!?(笑) "怪奇酒=脳トレになる"って話です」

清野「ひょっとして緊張してます?」

大城「おかしいな~楽屋ではあんな喋ってたのに(笑)」

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――ドラマの撮影中も、ずいぶん緊張されていたそうで。

大城「ドラマは初めてだったんで、セリフがどうしても棒読みになってしまって。でも、杉野さんやスタッフさんを始め、ものすごい温かい現場やったんで、みなさんに助けていただいた形で」

杉野「大城さんが僕にお土産を持たせてくれるシーンも頑張って一緒に乗り越えたんですけど、監督から大城さんに『怖い顔して振り返ってください』という注文があったんです。その時の大城さんがウソみたいな形相で...(笑)。スタッフさんがみんなゲラゲラ笑っちゃって大変なことになりました」

大城「あの時はもう追い込まれてましたから。ビックリするくらい寒いロケで僕の棒読みNGが連発して迷惑かけたのに、さらに迷惑をおかけしてしまいまして...」

杉野「最終的には『普通の顔をしてください』となったんですけど、出来上がった映像を観たら、やっぱりウソみたいな顔をしていました(笑)。みなさん、ぜひ楽しみにしていてください!」

大城「『普段どおりに』と言われて、途中から自分の普段がどんなんかわからなくなってきたんですよ! "俺はチャンス大城さえも演じられへんのか!"と思いました(笑)」

――大城さんは漫画でも登場されていますよね。

清野「チャンスさんとは6~7年くらい前かな? もともと知り合いだったんですけど、『怪奇酒』を始める1年くらい前、"心霊現象に悩まされている"とSNSで発信しててそれで僕にも助けを求める連絡をもらったので、"赤羽の母"という凄腕占い師を紹介したんです」

大城「あの時はものすごく悩んでたもんな~。オバケ絡みで」

清野「母の助言を求めに行ったのに、なぜかそこで恋愛相談をしちゃったらしく(笑)。幽霊に関しては何も聞かなかったんですよね?」

大城「その時はオバケより恋愛が勝ってたんですよ。仙台の女の子やったんですけど、おばあちゃんのオバケに首ひとつ差で勝って」――。

と、ようやく心霊話で盛り上がってきたところで、この続きは2月25日(木)夜9時30分に公開予定。どうぞお楽しみに!

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【プロフィール】
●杉野遥亮(すぎの・ようすけ)
1995年9月18日生まれ。千葉県出身。2015年、雑誌「FINEBOYS」専属モデルオーディションでグランプリを受賞。2017年、映画「キセキ‐あの日のソビト‐」で俳優デビュー。ドラマや映画出演が続く。公開待機作に、映画「東京リベンジャーズ」(2021年)、舞台初出演となる「夜への長い旅路」が控えている。

●清野とおる(せいの・とおる)
1980年3月24日生まれ。東京都出身。主な代表作は「東京都北区赤羽」シリーズ、「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」など。現在はコミックDAYS(講談社)にて『さよならキャンドル』を連載中。

●チャンス大城(ちゃんす・おおしろ)
1975年1月22日生まれ。兵庫県出身。中学3年時に大阪NSC入り。同期は千原兄弟、FUJIWARA、バッファロー吾郎。しかし退所した後に定時制高校に通う。その後、再びNSC入りするが再び退所。上京後の2018年、デビュー時に所属した吉本興業に復帰。同年「人志松本のすべらない話」でブレークを果たした。

(取材・文/橋本達典)

2月19日(金)深夜0時52分放送! ドラマ25「東京怪奇酒」第1話は...。

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俳優の杉野遥亮は、自身のビビリを克服するために"怪奇酒"を始めることに。怪奇酒とは、実際に心霊現象のあった現場に出向き、お酒を飲み霊と向き合うという行為。杉野が話を聞きにいったのは、今話題のカルト芸人のチャンス大城。昔住んでいたアパートには、白い服を着た女性の霊がいて、しかもそこは"霊穴"で霊がたくさんいるという。

チャンス大城、松原タニシらによる"怪談オールスターズ"によるオンラインイベント決定。詳しくは公式サイトにて。

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